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水の失われた神々  作者: 主道 学


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龍のアギト3

 武もそうであった。

 鬼姫にはまったく敵わなかった。

 当然だが、二人ともまったく実力をだしていないのだ。

 恐らく、高取も面喰っているのだろう。


 今は夜の七時。

 大船での初めての夕餉の席だ。

 あの三人組は丸テーブルの一端で何故かひそひそと小声で話し合っていた。

 ここからでは、聞き取りにくいので、放っておく。

 せせこましい食堂であった。

 丸い窓に丸テーブルに丸い椅子とここも殺風景だ。

 しかし、何故かとても温かい感じがする。

 五十人以上での席で、男は武だけだった。

 後は美女ばかりなのだが。まあ、三人組は実は可愛い姿形なのだが、あまり、気にしなくてもよかろう。


 武はいつも精神を極度に集中しているかのようだ。箸が一定のリズムを醸し出しているようにも思えてくる。武は今でも、何かの修練をしているのだろう。

 当然、寝床以外はそうなのだろうが。

 そのため、より一層女子たちの視線が集まるようになっていた。

 献立はカブと大根の酢漬けに、白米。味噌汁。後は、色とりどりの刺身であった。醤油もあり、陸と大差ないのではなかろうか。

 後は、風呂の時間なのだが、まったく武は気にしていないようだが。私にはかなり困ったことが起きる予感がするのは、何故だろうか?

 皆、何度も言うが、女子である。

 そして、一人だけ男なのだし、思春期でもあるので嫌な予感が的中するような……。


 ここは、激戦区となった。風呂場である……。湯気がたちこもる樫木でできた風呂場は大浴場といっても差し当たりはない。何も気にせずに、浴槽に武は湯に浸かっていたのだが……。

 武の入っている湯船にまで、大勢の声が聞こえてきている。

 そう、それは背中を流したいだの。これは三人組である。

 武芸の稽古の疲れの取り方を教えるだの。これは鬼姫である。

 切り傷の薬湯を持って来た。地姫。

 マッサージでもと。蓮姫。

 周囲を睨んでいる。高取。

 湯築は、面倒だといいながら風呂場に入ろうとしていた。

「ちょっと、待ってー! はずかしいから来るなー! へっくしょん!!」

 武は、必要最小限の入浴を余儀なくされ、およそ五分で風呂を上がった。

 悪い予感があたったといったところだ。皆、女子たちは修練とは別に対抗意識を燃やしていたのだ。

 武の休息の場は、かわいそうだが、これから食堂しかなくなるだろう。

 寝床は鬼姫が占領し、日々の厳しい修練は武にとって、気が抜けないものであろうし。

 やむなきことであった……。

 

「龍が一匹近づいている……」

 高取が自室で占いをしている時に感づいたようだ。

「これなら………。私たちでも大丈夫……」

 ここ大船の中でも、高取は武のことを頻繁にタロットカードで占っていた。先のことはあまりわからないが、そうでもしないとと思っているのだろう。

 高取のライバルはほぼ全員なのだから。

 



 轟々と音のする大荒れの海で、武は刀を抜いていた。神鉄という特別な鉄を鍛えた刀身だった。

 ここは存在しないはずの神社から二日後の南西へ約300キロの地点。

 もうすでに、太陽が厚い雨雲に覆われ。大泣きの雨が激しく降りかかる海であった。武の目の前には龍がいた。

 こちらに気が付き、咆哮を上げている。

 湯築が船から飛び降り、海の上で助走して海面下へと潜った。

 龍もすぐさま海面下へ潜って大口を開けて迎え撃とうとしたが、その時、雷が一本龍の頭上を直撃した。

 雷を降らしたのは高取である。

 もんどりうった龍の脇腹を湯築の槍が海面下で見事数回穿った。

武が甲板から飛翔し、たまらず浮上してきた龍の頭を一刀両断にした。


「武様……凄い!」

「上手い! みんな、よくやったわ! 」

 鬼姫と蓮姫はただそう言うしかなかった。

 それだけ武たちのコンビネーションと腕前は、もう申し分ないのであろう。


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