福澤諭吉の謎
1984年に、
一万円札の肖像画が、
聖徳太子から福澤諭吉へ切り替わった。
たぶん、1980年頃には、
その噂が流れていたと思う。
正式な発表が何時だったのか? 記憶に無いが、
国民の関心は、一点に絞られていた。
(大量の聖徳太子を抱え込んだ三億円事件の真犯人が、
苦し紛れに、名乗り出るのではないか?)
民事訴訟の時効は、
1988年なので、
そこまで我慢していると、
聖徳太子が全て紙屑になってしまう。
でも、
現れなかった。
この事から、
真犯人は、
1 既に、お金を使い切っていた。
2 被害者の銀行と、
非開示設定の示談を成立させていて、
被害者の銀行に、
全財産を預金していた。
ちなみに、この時代は、バブルの前なので、
(まさか? 銀行が潰れる?)とは、
夢にも思っていなかった。
3 1968年十二月十一日から、
三億円を小分けして、
各銀行の各支店に預金した。
これはね?
例えば、
一口座十万円で、一日十口座新規預金したとしても、
三億円だと一年以上かかる。
それに、
十万円も預けて口座開設するのは、
この時代だと、ちょっと目立つかな?
まず、間違い無く、
「定期預金はいかがですか?」とか、
銀行員に目を付けられる。
それに、
毎日、百万円も持って出歩くのは、不安だよな?
話はズレるが、
日本にも、『百万長者』という言葉が有った。
たぶん、1968年頃に百万円持っていれば、
金持ち認定されたんじゃないかな?
その百万円を懐に忍ばせて行動するのは、
気が気でなかったと想うよ。
話を戻すと。
三億円事件の真犯人は、
事件成功直後から、
この新紙幣の発行を意識していただろう。
だって、
戦後の日本は、
強烈なインフレだったから。
時効の1975年の前に、オイルショックが起きたけど、
その後は、
不景気なのに物価が上昇するスタグフレーションに成った。
貨幣価値が下がると、
コストのかかる硬貨を中心に、
新通貨を発行しなければならない。
それをしないと、
一円玉の様に、原価割れしてしまう。
その典型例が五十円硬貨。
三億円事件が起きた1968年当時は、
まだ、穴の空いていない大きな五十円玉が流通していた。
私も、
御釣りで貰った事が有る。
話は、また、ズレるが、
事件当時、
私は、
昭和六年に建てられた木造校舎の小学校に通っていた。
ボロい教室で、床板の隙間を覗いたら、
穴の空いていない大きな五十円玉が落ちていた。
磁石か何か? で釣り上げようと、
色々、考えたんだけど、結局、実行出来なかった。
話を戻すと。
1968年に三億円事件が起きた時、
日本政府が新紙幣の発行を宣言してしまえば、
三億円事件の真犯人は、
完全に干上がったと思うよ。
(三億円事件の真犯人を捕まえるための新紙幣発行とか?
流石に無いだろ?)
と思われるかも知れないが、
1972年には、沖縄の返還が控えていたんだよ。
日本国民にとって、
沖縄返還よりも御目出度い出来事なんて、
無いだろ?
尖閣諸島とか竹島とかと、次元が違う。
後に沖縄サミットで二千円札が発行されたけど、
その程度で新紙幣が発行されたのに、
何故? レベルの違う沖縄返還で何も無い?
しかも、
返還前の沖縄では、
ドルが使われていた。
返還後、円に切り替えるため、
史上空前の大現金輸送が、
本州から行われた。
私も、
テレビのニュースで見てたけど、
この時は、
ちゃんと白バイが護衛に付いていた。
輸送された現金も、
未使用の新札が増刷され、
番号が記録されていた。
「三億円事件の教訓」
と、
マスコミが強調してたけど。
オイオイ?!
保険を二重掛けする様な慎重な人達が、
気付いていなかったって?
それに、
新札を増刷するくらいなら、
新紙幣を発行しろよ!
祝賀ムードを盛り上げる効果も有るだろうけど、
なにしろ、
絶対に狙われないから。
『現金輸送車襲撃犯しか持っていない新紙幣』とか、
最高傑作だろ?
手に入れても、使えない。
沖縄が返還されたのに、
新紙幣が発行されなかったのは、
『三億円事件で奪われた現金が、
【と或る所】に、
この時、既に、流れていたのではないか?』
と、
私は考えている。