やっぱり、名乗り出たほうが、お得
『真犯人と名乗る人物』の様に、
三億円事件の真犯人が、
組織に属さない個人だった場合、
特に単独犯だったら、
(盗まれた三億円は、ほとんど使われずに、残っているのではないか?)
と、
1975年の時効当時、
一般に、思われていた。
まっ!
『人類史上空前の好景気だった高度経済成長期の超一流企業のボーナス五千人分』だからね。
ボーナスが三ヶ月出たとして、月給一万五千ヶ月分。
単純計算なら、
千年暮らせる。
それを、たったの七年で使い切るためには、
余程派手な生活をしないと。
そして、
警察史上空前の大捜査でも、見つけ出せなかった時点で、
三億円事件の真犯人は、
(かなり地味な生活をしていた)
と思われていた。
それは、
現在とは違って、人間関係が濃密だったから。
事件が起きた1968年当時、
日本人は、まだ、ムラ社会で生活していた。
『人間関係の濃厚さ』という点では、
江戸時代と大して違わない。
しかも、
貧乏だった。
そんな環境下で、派手にお金を使ってしまえば、
最も身近な人達から疑われるのに決まっている。
ドラマでも、
ジ○リーは、
無駄使いする事なく、大量の現金を隠し持っていた。
それでも、
周囲の人達にバレてしまう。
それに気付いた刑事は、
証拠を得るため、
病気の妹を誘拐して身代金を要求した。
無茶苦茶なストーリーだけど、
金を使わせないと、捕まえられないよな。
『真犯人と名乗る人物』は、
その点を軽く見ていたため、
(『遠くへ逃げた』と書けば、読者は納得するだろう)と考えていた様だ。
日本は、
元々、約三百の小国に別れていた。
方言も文化も風習も、
そして、
感覚さえも、それぞれの地域で違う。
「テレビの普及によって、
地域差が縮まって来た。
特に、
方言が薄まって来た」
実は、これは、
アメリカで言われていた事だ。
1975年頃の日本の大学入試の英語で、
よく出題されていた。
だから私も、
模擬試験で、方言に関する英文を読んだ事が有る。
そんな状況下で遠くに逃げれば、
その場所が遠くであればある程(特に外国)、
悪目立ちして、余所者としてマークされる。
その余所者が派手な生活をしていれば、
妬みを買い、
「あの余所者は犯罪者で、逃げて来たのでは?」とか、
非ぬ噂を流される。
さらに監視は強まって行く。
話はズレるが、
私は、
(地下鉄サリン事件の指名手配犯ではないか?)
と疑われて、
警察官が二度ほど偵察に来た事が有る。
アパートを借りて、大家に無断で塾を闇営業していただけなんだけど。
やっぱり、
女子高生が出入りすると、
目立っちゃって、
警察を呼ばれちゃうんだよね。
話を戻すと。
大金を使うためには、
社会的に公明正大で、安定した立場にいないと、
現実には難しい。
どう考えても、
金は残っていたよな?
そんな、大量に現金を抱え込んだ状態で、
時効を迎えたとしたら、
やっぱり、
名乗り出て、
被害者の銀行に謝罪して、
示談金を提示するのが、最善手だろう。
その理由は、
次回。