緊急事態宣言の配達①
「緊急事態宣言でみんな在宅してるでしょー」
「再配達が減って、楽になったんじゃないんですか」
「あははははは…………」
コロナ感染症の問題で、多くの方々が不要不急の日々をお過ごしかと思います。
これからの未来にも大きな爪跡を残す事でしょう。
感染症の問題、経済の問題。それらと今、現場という立場で奮闘してらっしゃる方もいると思います。
物流もその1つです。
これを断ったとあれば、経済に関わること。
「楽なわけねぇーーーだろうが!!!普段の4倍の量の荷物とか、ふざけんなああぁぁっ!」
今はそんな怒りなど、誰も気にしてはくれない。
◇ ◇
山積みという表現なら多い。
ただ、これは山積みじゃなくて、中層のマンションが建てられるんじゃないってくらいの荷物の建物だ。
「おい、なんだよ。この量……」
「マジでこの量。今日一日で捌くん?」
普段の流れなら、午前は確かに多いが……。昨日の夜から今日の早朝までだから、多いのだ。
しかし、今はその一日分が午前中に丸ごと来ることなんて、まず異常事態。
「包装や仕分の人達とかも間に合ってないらしい……」
配達側もそうだが、送る側の準備もまったく追いついていない状況。
細かいサービスも今は利用できない状態なのは、納得はいく。
それでも
「俺達をなんだと思ってんだよ!!」
「緊急事態宣言だからって、みんなアマ○ンや楽○とか○○マとか、……ネット通販やりすぎだろうがーー!」
「おい、マスクの商品だけ500箱くらいあんぞ!!」
「はああぁぁっ!!?俺達のマスクの備蓄は3日前に切れてんだぞ!」
「マスクを洗って、今日の仕事してんのに!仕事のねぇ奴等にマスクを配るのかよ!!」
「2週間は同じマスク使ってんぞ!!」
文句を言いつつ、荷物の仕分に、配達順に並べて、積み込み……。
「ちょっとーーー!いっぱいなんですけどーー!!」
「こっちもだよーー!」
「マスク以外の日用品もめっちゃあるじゃん!嵩張るんだけど!」
とにかく、朝の準備が激ヤバ過ぎる。
朝から昼にかけての仕事量が、通常時の2倍か3倍はある。
「え、みんな在宅してるよね!?」
「ほとんど再配達になったら、ヤバ過ぎるぞ!」
これで再配達が多くなるようであれば、目も当てられない。
全員の出発もいつもより30分から1時間遅くなるほどの量。午前希望の荷物を道路に捨てたいぐらいの気分で行ってくる……。
夜は確かに半分以下の仕事量だが、朝と昼に偏っているせいで仕事のキツさはさほど変わらない。
むしろ、周る軒数なら通常以上。
ブロロロロロロ
「学校はやってねぇとか言うけど、教師とかはいるのか~」
生徒達が休んでるからって、先生が休んでるわけねぇだろ。
ここもまた、コロナの影響下で混乱しているんだろう。
教育現場の遣り繰りは大変だ。
そんな教育現場に反して、子供達が元気に家の中や外で遊んでいる姿もある。
両親が揃って仕事で、1人の時間が長くて友達と一緒に過ごしているとかだ。仕方ないか。
病院に行けば、当たり前のように手の消毒。荷物を受け取る受付さんは、失礼と言いながら、目の前で手を消毒し、ビニール手袋をつけてサインをする。そこまでしたくはないけど、するべき場所だ。
「お」
道路の上で工事をしているおっさん達。
彼等は主に水道やガス管を直したり、取り替えたりする連中だ。地域のライフラインを支えている存在。まぁ、あのおっさん達はそんな風に考えていないだろうが、仕事として取り組んでいるんだろう。工事が終われば、すぐ近くでタバコ吸って、酒を飲んで帰っていく。いつもと変わんねぇな。
思ったよりは、外でやっている仕事はいつも通り。多少の時短はあると思うけど。
誰かがやっていなきゃいけない仕事だ。
別に明日とかでもいいんじゃないって思うかもしれないけど、その現場は思った以上に人がおらず、受け持っている個所は相当な量だと思う。あくまで個人の見方だけど。
◇ ◇
「自粛要請で休業中ならこっち手伝えよ」
そりゃあ、ちゃうやろって大勢が思う。だが、自分はそんなのが出せない仕事。
止めても影響は出ない……というわけじゃない。
アマ〇ンなんて1日2日、遅れてもいいだろうって言えるんだが。そもそもの数が今は多すぎるから、やらないと永遠に終わらない。かといって、じゃあしません。だったら、アマゾ〇の倉庫なんてあっという間に荷物で溢れかえる。倉庫関係者も、場所によっては困っているとは思う。ネット通販がエグイ。
正直、なんで俺達は休みにならんの?
確かに体調不良を訴えた人は検査を受けて、自宅待機まで行くけど。
人員が足りてない状態でどれだけ持つか……。
他のみんなの休みを削って、なんとか業務を繋ぐけど。それが精一杯。
仕事ができないで困っているなら、こっちに来てくれ。ドライバーがいない。地元の土地勘あればできると思うし、給与が他より安くて、悪天候でも、多少の体調不良でも勤務。客からは少しのミスでクレーム。そーいうお仕事ですが
「やるわけねぇーじゃん」
「こーいう時だからこそ、お前等はちゃんと働いていろ」
「止めるんじゃねぇぞ…………」
……まぁ、物流全般。やりたくない仕事だ。
っていうか、こんな状況かでも普通の仕事をする人達の仕事は、やりたくてやっている仕事じゃないってのは、大まかに予想はできているとは思う。
言いたくはないが、どうしても仕事が決まらなかったり、事情でここに来るという人達がするお仕事だ。
毎日のように、補償しろ補償しろ。マスクがないマスクがない。
そんなニュースを見てしまうと、
「いや、俺達も補償してよ……」
「マスクなんてとっくに尽きてるんですけど……(手作りしてるけどさ)」
自分達はなんでこんな仕事をしているんだろう。それが仕事だろ?ってすぐに答えが出るけれど。
やるせないね。けど、仕事。
続けてもなーんもないけど、やらないとね。
注。
このお話は、4月初旬頃での仕事内容を元に書いています。
この時はまだ周りの会社が働いていたので、荷物はかなりの量でした。
現在は、相変わらずネット通販関係の荷物やその他の重要物は大量なんですが、それ以外の荷物はほぼほぼないので、結構楽になってます。とはいえ、流通は相変わらず緊急事態対策の方式をとっており、荷物の到着の遅れは若干あると思います。
パート②も書こうと思います。