4話 ピッキング
「うぅぅ、、」
廃れた小屋の小窓から日光が漏れている。猛烈な喉の渇きに襲われて、俺は目が覚めた。
あれ、俺今どこにいるんだ?
なんで、檻の中にいるんだ?
「うわぁぁぁ , , , 」
そうだった。パンに夢中になっていたら、やって来たおっさんに脱走がバレたんだった。気絶させられたのかな。これじゃあ振り出しからじゃないか、、、
いや待てよ、また鍵を破壊すれば、、、
ガコン ガチャン ガチャコン ギャチャン
今度は全く壊れる気配がない。
今回こそ、真面目にピッキングするしかないのか?
そうだ俺には既に2回もの解錠経験があるんだ(経験として数えていい物なのかは知らんが)
ならもう一度くらいいけるだろ。うん、そう決まったらやるしかない。
「やってやるぞぉぉぉ」
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あれから何時間が経っただろうか、もう小窓から見えていた光は茜色に染まって来たその時、
カチャ
「お?ぉぉおおおお」
「開いた。開いたぞぉぉぉぉおおお」
ん?おっさんが駆け寄って来た。
だが俺の第六感は素早くそれを察知。即座に寝たふり体制へ移行。今度は見つかるようなヘマはしないね。そもそもピッキングに励んでいる最中に何度かおっさんが覗きに来たから、感度が磨き上げられているんだよ。
しかし困ったものだ。これでは檻から出られてもパンの時と同じことを繰り返すだけじゃないか。
そうだ。どうせまた捕まるのなら、次もすぐ逃げられるようにピッキングの精度を上げようじゃないか。今も適当にやってたらなんか開いただけだしな。
よし。俺は覚悟を決めて、隣に並ぶ檻に自ら入った。
俺は鍵をガチャガチャしながらふと考える。
これって本当に夢なの?
どう考えてみても夢としておかしい、初めはちょっと長い明晰夢くらいに考えていたが明らかにおかしい。夢のくせに痛覚があり空腹を感じる。それに夢の中で眠るってどういう事やねん。第一、しゃぶココを決めたせいでここにいるのだが、俺のしゃぶの処女航海であったにしてもおかしいのではないだろうか、、
「あっ、開いた」
「よし。次だ次」
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こうして並んでいる十個程の檻に自ら入り、自ら脱出するという馬鹿行動を終える頃、いい加減に喉の渇きがシャレにならなくなって来た。小窓を見ると空が黒鳶色のようななんとも言えない茶色みのある黒に染まっている。
そろそろもう一度この倉庫から這い出る時かな。もう檻に入れられてもすぐに出てこられる自信はあるし、針金も各檻に隠してセッティングを終えたし、いざ出てみるか。
俺は檻から離れて、倉庫の入り口のドアへ向かう。鍵穴に針金を刺すと、
ガチャ
「相変わらずここはザルなんだね」
針金をさすだけで開錠できるザル扉を開けて、恐る恐るマーケットだった場所を覗くと、意外にもそこは無人であった。
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無人なのを良いことに、マーケットを行っていた場所の中を色々と探し回ったが、もう食べかすすら落ちていなかった。ようやく見つけた使えそうなものといえば、隣の子の皮を剥がしていた軽いトラウマのあるムチくらいだ。
あと探してない場所といえば、外に繋がるであろうこの少し大きな扉の先くらいだ。
「喉も渇いたし、もう行くしかないよね」
いざ、覚悟を決めて外へと続く重い扉を開けると、、、
「えっ、砂漠。。?