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2話 しゃぶるタイプ

 喜ぶべきなのか、そうでないのか、よく分からないが俺はとりあえず売れ残った。ひとまず安心しておこう。

 マーケットから人が居なくなり暫くすると、ムチを持ったおっさんが俺を'担ぎ上げ'倉庫?らしき場所に放り込んだ。


 ボーッとしているとふと、なぜ俺が売れなかったのか疑問に思った。何故なら俺は一応日本の学生である。勉強も運動も中途半端ではあったが、周りにいた中学生にも満たなそうなガキ達や、何の為に買うのかわからない老人達よりは利用価値があるはずだ。


 何故売れ残ったのか疑問だが、

 まぁ所詮、"夢"だし目が覚めるまで待っていればいい話なので放っておくことにした。


 のだが、いつまで経っても夢から覚める気配がない。これは某会社にクレームを入れなければならないかもしれない。いくらなんでも夢が長すぎる。


 おぉ、少しばかし眠くなってきたぁ、、、z,z ,z




 ーーーーーーーーーーーーーーー


 目が覚めた。おかしい。幾ら何でもこれは無い。

 なんで俺はまだ拘束されたまま暗がりの倉庫で横たわっているんですか?

 目が覚めたら、日本のお家のソファーで寝てましたみたいなオチじゃなんですか?

 そうですか。ありがとうございます。どうしましょう。本当にどうしよう。

 てか、腹が減った。なんで夢なのに腹が減るんだよ。おかしいだろ。

 ほんと、どうかしている。


 あと、あることに気がついた。 

 俺、小さくね?

 俺、しろくね?


 寝るまで気が動転していたのか、気がつくことができなかったが、視界入る腕足が明らかに短く小さい。さっきまで周りのガキを嘲笑っていたが、これは馬鹿にできない小ささだ。

 そして色白だ。その白さが、白人とか黒人というレベルで無い。気色悪い白さだ。

 こりゃ売れないわぁ。


 ま、夢だし、どうでもいいんだけどさ。


 そして、どうでも良く無い問題が出てきた。

 腹が減っているのだ。


 何故夢なのに腹が減るんだよ。とはつくづく思うが、そんなのどうでもいいくらいに何か食べたい。

 食欲故にもがいていると、体が小さいことが幸いして手足が縛られていても、物にくっつけられているわけではないから、コロコロ ,ピョンピョンと少しづつだが動くことができることに気がついた。


 気づいてしまえばこっちのもの。倉庫内を物色して回ったが、中で動き回ることは想定内なのか、ゴミだの、空の木箱が転がっているだけだった。


 そろそろ本格的に空腹がヤバくなってきた。


 「このままでは商品が死んじゃいますよぉ」「商品価値どんどん下がって行きますよぉ」などと叫ぶが、猿轡の上からまともに声が出るわけもなく、案の定誰も倉庫に入ってこない、、、ん?


 お?ぉおお

 さっきのマーケットにいたバイヤーのおっさんが入ってきたぞ

 俺に最低限の飯を与えにきたのか。さすがおっさん信じてたぜ。敬意をもってこれからおっさんAとでも呼んでやろう。


 俺は喜びの余り、おっさんAにピョンピョンと駆け寄っていく。


 すると、おっさんAは怪訝な表情を見せ、俺をとっ捕まえると手足を拘束している鎖を外した。

 そして、独房らしき小さな檻に放り込み鍵を閉めた。


 チャリィィン


 ん?

 おっさん鍵落としたぞ?

 これは鍵を拾って俺の無双がスタートするパターンか?


 「よいしょっと」


 んなわけありませんよねー

 おっさんは鍵を拾うと、倉庫から出て行ってしまった。


 よくよく考えてみれば当然だった。縛られた状態で身動きが取れた俺は異常だから怪訝な顔を向けられ、檻に入れられる。当たりまえだ。これは'おっさんA'から、ただのおっさんに降格だ。


 あれ、でも、おっさん、手足に拘束解いて行ったよな?

 檻に入れるから脱走の心配はないのだろうけど、これ、猿轡外せるんじゃ無いの?


 あ、外れた。

 「やった。声が出せる」

 あれ、ちょっと待てよ。周りにいた奴隷達、そういや猿轡してなかったよな。なんで俺だけ猿轡されてるんだろ。


 「ん?これ、おしゃぶりじゃね?」


 外れないように頭に回す紐のあるただのおしゃぶりじゃね?

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