大切な存在。
テルペント冒険所、今日も色々な冒険者で賑わっていた。俺達がこの街にきて4日が経った。あの冒険の日、ダンジョンにはDランク以下の冒険者が50名ほど潜っており、例外モンスターを目撃した者は口外しないようキツく言われたらしい。
過去こんなにも多くの例外に見舞われたのは数回程しかないらしいが、ミントさんの話によればモンスターが階層を上がってくる事例は無かったらしい。
ランダムで配置される階段を登るということは少なくとも知能が必要。モンスターにも賢い奴はいるがそれはある程度下の階層に出現する。ので、10階層などにいるものではないと聞く。
今回の1件に関して冒険所はテルペント3大クランの1つ、「星々の彼方」に協力を仰ぐと言っていた。
テルペント3大クラン。テルペントに存在するクランで最強と呼ばれているクランのことで、今回協力を要請するらしい星々の彼方は、魔法最強と言われている。
そしてダンジョン到達階層は60階層、クランのトップらしい。
「あ、レイシャさん、今日は何用ですか?」
俺を見つけたリルさんは笑顔で俺を出迎えてくれた。
専属、確かに悪い気はしないでもないが、男性陣からの視線が痛い。痛すぎる。いつか闇討ちとかされそうで怖い。
「僕とお姉ちゃんもいるんだけどー?」
「あ、失礼しました。フィーネさん、……さん。」
「わざと僕の名前ぼかしましたね!!」
「いえ、噛みました」
睨み合うアルネとリルさん。フィーネはやれやれとアルネの視線を切り他職員の人がリルさんにゲンコツをし宥めた。
暫くして落ち着いたリルさんは俺たちの元にやってくると頭を下げ謝礼する。リルさんが説教されているあいだに別の職員の人のところに行ってもよかったんだけどそうするとリルさんが泣きそうでなんか怖かった
「いいかレイシャ、女に涙は絶対に流させるなよ?女の涙は凶器だ、男を惑わす武器だ。それを胸に刻んどけ?いいな!」
涙ながらに力説する親父。今思えば女の人絡みで何かあったのかと思う。母さんとか。
「それで今回もダンジョン探索ですか?それともクエストですか?」
「いや、今回はその、のんびりできる場所とかリルさんオススメの店とかを教えて欲しいんだ。」
今日の予定は3人でこの街を見て回ること。この四日、ただひたすらダンジョン探索に火がついてしまっていた俺達3人は久しぶりにどこかに出掛けようと言う話になったのである。
「そうですね…ここから30分程歩きますが少し離れた先に疲れを癒すにはうってつけの温泉施設がありますよ。それにそこの温泉施設には新鮮な魚介類の料理が楽しめますよ」
成程、魚介料理か。そう言えば村にいた頃はほとんど食べなかったな…親父が川に連れてってくれた時とかにしか魚は食べなかったし。1人だった時も頭にはなかったからなぁ。
フィーネはリルさんから他にはどんなものがあるのか目を輝かせて聞いていた。
食には貪欲なフィーネとアルネにはいい場所かもしれない。それに温泉か、行きたいな。
「じゃあそこに行ってみます」
「はい、ゆっくりしてきてくださいね」
リルさんは笑顔で俺達を見送ってくれた。こんどお礼に料理でもご馳走してあげよう。
詳細な地図を貰い歩くこと15分、リルさんの言っていた温泉施設に到着した。30分って言ってたけど案外早く着いたな。
「レイ兄、お姉ちゃん!早く!早く入ろうよ!!」
アルネは俺とフィーネの手を引っ張り急かしてくる。余程楽しみだったのか、フィーネより顔が緩んでいた。
中に入るとシックな雰囲気漂うエントランスに森人族の人と熊人族の人が俺達を出迎えてくれた。
「ようこそ、リルさんから話は聞いております。こちらへどうぞ」
聞くと、リルさんは俺達が来ることを事前に伝えてくれていたらしい。つくづく頭が下がらない。本当に感謝しないと。アルネも不服ながら思うところがあるようだ。
案内されるままついて行くと男湯、混浴、女湯と書かれた札が掛けられた扉の前に着く。
「こちら、当施設自慢の温泉、癒夜の湯です。混浴もありますので、是非」
この人達、俺みて親指立ててるし。絶対図ったな。
「レイシャはどっち入りますか?」
上目遣いで、俺と一緒に入りたいと目で問いかけてくるフィーネ。多分ここで男湯なんて言ったら甲斐性なしって思われる。それは男として絶対にダメだ!!だけど、この美少女二人と入るとなると俺の理性は保つのか、否。前みたいに鼻血出して終了だな。
だがここで引いたら男が廃る!!!
「フィーネとアルネが良ければ混浴に入りたいけど…」
「……うん!!一緒に入りましょうレイシャ♪」
ヤバいです。この笑顔本当にヤバい。何か後ろで鼻血出して倒れてる従業員いるし。
大丈夫だ、俺は親父の息子。このくらいで音をあげていたら親父を越すなんてできやしない!!
「うおぉぉぉぉ!!!」
「レイ兄どうしたの叫んだりして?」
「精神統一だ。気にするなアルネ」
「??、うん、わかった」
覚悟が決まったところで混浴の札が掛けられている扉へと入る。最後に従業員の人達が「グットラック!」、そんなことを言っていた。
扉の先は脱衣場になっていて何ヶ所かに設置された服を入れる場所があり思った以上に広かった。俺は早速入る為服を脱ぐが
「レ、レイ兄の体…すっごい逞しいね…」
「本当に、かっこいいです」
ん?何か熱い視線を感じる。何だが恥ずかしくなってくる。下を脱ぐ時は腰にタオルを巻いた。俺は先に温泉に入っていると伝え脱衣場の先の扉に入る。
「あれ?お姉ちゃんまた大きくなった?」
「ちょ、アルネそこは…ん、触らないでください…」
「むむむ、この、押し返す張りのある弾力…癖になる」
「ぁん…!ちょっとアルネ!いい加減にしないと怒り…んんっ!、」
無心無心無心無心無心無心無心無心。俺の心の邪念を取り除け。あの声は、そうプリンだ。きっとプリンで遊んでいるんだ。フィーネのプリンで……
「うおあぁぁぁぁ!!!!」
「レイシャ!?どうしたんですか!?何かすごい音が聞こえましたが!!」
「心配ない、転んだだけだ。」
脱衣場から心配するフィーネの声。俺は頭を床に打ち付け何とか邪念から逃れる。クソ、何て手強いんだ…親父、俺はまだまだひよっ子らしい。
必死に己の邪念と戦いながら体を洗い終える。そしてやっとの思いで湯に浸かるのと同時に脱衣場の扉の開く音が聞こえる。
カラカラカラ。
「あっ、レイシャもう入ってるんですか、ズルいですよ!ちゃんと体洗いましたか?」
「レイ兄お待たせー!」
そこにはタオルを巻きながらもその薄い布だけでは隠しきることのできない二人の麗しさ、可愛いさ、綺麗さ。そしてその布のおかげで、際立つ二つの膨よかな膨らみ。
プロポーション、スタイルの良さをより強調させるそのタオルに俺は多大なる感謝をした。
二人は体を洗いっこしながら体を洗い終え俺の元にやってくる。遠目でも分かるほど美しかった二人の体が間近にやってくる。
頭が熱い。きっと湯に浸かっているせいだろう。きっとそうだ。
「今日は鼻血は大丈夫そうですか?」
「何とかな」
フィーネとアルネは俺の両隣に座り湯に浸かった。暫く沈黙が流れる。でも嫌な沈黙じゃない。
「……レイ兄といると凄く落ち着く」
「そうですね、凄く落ち着きます」
そう言って二人は俺に密着すると肩に頭を乗せてくる。普段の俺なら既に気絶していてもおかしくないのに何故だが何ともない。
静かな、とても静かな時間が流れる。俺は二人の存在がこの日にまた大きくなったのを感じた。
「レイシャ…」
「レイ兄…」
見ると二人の頬は紅潮していて、俺を呼ぶ声は何だか色っぽかった。
「これからもずっと一緒ですよ?」
「これからもずっと一緒にいようね?」
そして二人は俺の両頬にキスをした。その時の二人の唇が俺の頬に触れた感触は一生忘れないと思う。
まだ続きます、温泉回!