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Web小説デビュー  作者: (こちらでは)名無しの物書き
ポイント3 面白さという、謎の要素
9/21

3-3 小説において、エッジは必要ないのか?


 問題はそこですね。


 私的な意見として――こと、読者数とか売れ行き「だけ」を問題にするのなら、「必ずしも必要とは言えない」という結論になります。

 わかりやすいように、ここで少し、ご自分のこととして考えてみましょう。

「編集さんが言うんだから」とか権威主義的なことを思わず、あくまで一読者としての自分のこととして、です。


 実際には、多くの読者さんは「小説にエッジと呼べるような目新しい何かがあるか?」などという、ディープかつコアな視点で、自分の読みたいものを探していません。

 まず、少ないと思います。

 多くの人の嗜好とは、そこまで簡単でわかりやすいものではないでしょうし。

 エッジのみが「売るための真理」なら、今の出版不況はなかったことでしょう。


 ご自分のことを思い出しましょう。

 貴方は果たして、新しい要素エッジの有無だけで小説を選んでいるでしょうか? 

 イエスというコアな読者層もいらっしゃるでしょうけど、統計を取れば、おそらく私は「最大の基準はそこじゃない」という結果になると思います。

 それが、ある意味で最もわかりやすく、そして残酷に出た例が、な○うさんのような巨大な小説サイトでしょうね。





 私的な結論としては、やはり多くの編集さんが注目するエッジは、大勢の読者を得るための、最重要要素にはなり得ません。

(実際には、エッジが「ない」と思えるweb小説にも、何かしらの類型的ではないエッジがあったりすることも多いのですが……まあ、気付かれにくいことでしょう)


 編集部というか編集さんは、おそらくこのエッジを常に評価の中心に置くので、当然ながら、それらしきエッジがない見当たらない場合は、選考で拾われる可能性は少ないことでしょう。

 別にこれは編集さんの責任というわけではなく、従来はどこの出版社であろうと、この要素を「売れるにはこれだ!」という認識を持っていたためでもあります。

「エッジもないような小説が、どうして売れるのか?」ということですね。 

 だからこそ、「なんでアレが売れるんでしょうね?」という疑問となり、ふと出てくるわけです。

 いや、逆恨みじゃなくて(笑)、複数の編集さんから聞くくらいだから、やはりかなり共通認識だろうなぁと思うわけです。


 ネットには、そこで発表された様々な小説賞の選評がありますが――。

 そこで編集さんの評価などを注意深く読むと、「要するにエッジがないと思われたのかな?」と推理できる内容のものが、多く見つかります。

 たまに、落選の小説が(一部の編集さんから)ボロカスに論評されていたりすることもあり、気の毒に思います……。




 ただ、現在は少し事情が変わりました。


 エッジを重視される姿勢に変わりはありませんが、なろ○のような場所でランキングの上位に入っているなら、話は別だと思います。

 この場合は、「俺にはさっぱりわからんが、ランキングに入っている以上、統計的に見て売れる可能性は高いからなぁ」という――

 最近になって見つかってしまった、「web小説における、売り上げエッジ」がありますしね。

 見も蓋もなく繰り返しますが、「売り上げ」ということに関して述べれば、明らかに売れる可能性が高い小説を見逃すことは、まず有り得ないと言っていいと思います。

 貴方が出版社の社長さんだとしたら、売り上げが見込めるのに、見逃すでしょうか?

(もちろん、この場合、「ちょっと売れそう」くらいじゃ駄目で、「かなりの売れ行きが見込めそう」という場合ですよ)




 仮に編集さんがどう思おうと、大きな売れ行きが見込める場合、自分達がスルーすれば、他社さんが「じゃあうちが!(喜)」とばかりに、さらっていくだけの話です。

 web小説の特性上、必ずそういう結果になることでしょう。


「いいよ、他に出してくれるところが見つかったから」と、こうなりますね。


 でもって、実際に他から出して爆発的に売れた日には、目も当てられません。

 ですから、いきおいエッジ重視の編集さん達も、慎重にならざるを得ません。

 ネット上で多くの読者を獲得しているというのは、「現在においては」大きなアドバンテージになり得るのです。


 ここで遅まきながら少しまとめると、最初に小説の賞でよく言われる「面白ければいい!」という指針は、私の私的な意見を入れて補足すると、以下のようになるかと思います。

 当然ながら、webとは違い、判断するのは編集部の編集さん達と、下読みさん(最大二人)です。


「まず(編集部の視点で)読んで面白く、なおかつ編集部の目を引くエッジがあり、さらに編集部の予測で売れるかも? と思える小説。――とはいえ、例外的に大規模小説サイトのランキング上で大人気というのなら、まあ念のために送ってみて」


 ……私の「現在の新人賞で、編集部に望まれる小説」の予想としては、こういう感じです。

 あまりにもぶっちゃけ過ぎてちょっとためらいました。

 もう少しオブラートにくるもうかなぁとも思いましたが……でも、自分もwebから出ていることですし、ここは思うところを素直に書いておきます。


 編集部としては、妙な枷をつけない方がいろんな小説が集まって選択の幅が広がるので、「面白ければよし」という条件で、ざっくりと括るわけです。

 そこら辺の機微がわからなければ、わかるまで何度でも書いて精進せよ、ということですね。


 でも私は、自分も投稿していただけに、皆さんが余計な苦労をする必要はないと思っています。

 新人賞に投稿するなら、最初から自分なりのエッジを見つけて、それを小説に取り入れましょう。

 少なくとも、そうしなかった時よりは、よほど選考通過の可能性が上がると思いますよ。


 もちろん、本当は編集さん達が全然違うことを考えている可能性も否定しませんけどね。

 


 ――ただし、話はここで終わりません。

 まとめも済んでいるのに恐縮ですが、私は私が個人的に考える真の結論として、あっさりここに書いておきます。


「たとえ、エッジがなくても売れるんだとしても、やはりあるにこしたことはないですよ。いや、むしろweb小説にも取り入れた方がいいです!」


 とこれが結論です。

 話が違うではないか! とお怒りかもしれませんが、まあそう結論づける理由も、ちゃんとあります。

 



なろう版の補足。

そういえば、アニメ化やコミック化などを決める業界の人も、いってみれば「審査する側の人」ですよね。つまりその人たちもまた、面白さとか人気面だけで判断してないってことです。単純に、アクセスや売れた部数だけメディア化などが決定されないのも、その辺りに原因があるかも。

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