3-1 なぜ、公募で一次落ちするのか
これを読む皆さんの中には、webからのデビューではなく、新人賞を獲ってデビューを試みている方もいることでしょう。
というか、私もかつては投稿していた時期がありますし、実際、フォローしてくださった方達の中には、○次通過とかで同じくPNを拝見した方もいらっしゃいます。
(それと、同じくwebからのデビュー組の方もいらっしゃいますね。いやぁ、世の中、狭いですね。笑)
それで本題ですが、新人賞ではどういう小説が望まれるのか?
これは、実はwebで書いている方にも大いに関係あることなので、少し書かせてください。
まずだいたい、よく聞くのは「面白ければいいんですよ!」的な、実に漠然とした指針ですねぇ。
ただ、まだ公募(新人賞)に挑戦して日が浅い方は、この指針を、そのまま真に受けてしまわれるかもしれません。
「えっ、違うんかーい!」と言われると困りますが……まあ、百パーセント間違ってはいないものの、必ずしも正確な指針ではありません。
ええ、そのままの意味ではありません。
私個人の意見として、この「面白ければいいんだよ!」という指針には、かなり補足文章を付け足す必要があると思っています。
この点、公募で戦って長い方は、おそらくその機微がわかっていると思います。
でも、そのまま素直に受け止める方もいないとも限らないので、ちょっと説明しますね。
いつものことですが、あくまでも一個人の意見として。
では、私はどう思うか?
例えば貴方が、一念発起して新人賞デビューを目指し、○○賞を目指したとしましょう。
それで、初めて書くので、当然、嫌々書くようなことはしません。自分の好きなジャンルを選び、せっせと書き上げました。
ここまではいいとします。
そのジャンルがファンタジーで、大まかなプロットが「村に住んでいた平凡な少年が、ある日勇者として覚醒し、魔王を倒すまでの物語」だとしましょう。
これを素のままで送ると、おそらく一次落選で終わりだと思います。
もちろん、絶対ではないですけどね。何事にも例外はあって、あまりにも「読ませる」ものだと、一次くらいは通過する可能性はあります。
でも確率だけで見るなら、落ちるはずです。
貴方は、自分の名を求めて、ネットで先行発表された一次通過リストを見ますが、見事に欠片も載っていません。
そ、そんなはずは……と思い、落胆するのは当然です。
再び――あるあるあるあるっ!
お気持ちはよくわかります。もう本当にがっかりですね。初めての投稿だと、人によっては一週間くらいはショックが抜けないかもしれません。
でも、貴方がご自身で自分の小説を、なるべく客観性を持って読んでも……割と面白い気がするわけですよ。
そこで、「はあ(ため息)。もういよ、ならせめて、な○うにでも投稿しよう」と思い、投稿したとします。
この場合、必ずブクマ(ブックマーク)が激増するとは断言しませんが、同じ小説として比較した場合、少なくとも公募の一次通過よりは、その確率は高くなるはずです。
貴方の面白さの感覚は、必ずしも間違っていない可能性があります。
では、仮に本当に「なぜか落選作を○ろうに投稿して、ついでに某掲示板で『○○賞落ちたけど、読んでっ』とヤケクソで募集したら、その後で日刊ランキングに載っちゃったんですけど!」ということが本当に起こったとします。
あ、仮定設定がやたらと込み入っているのは、ご容赦ください。
私なりに、最もありそうなケースを考えたので。
すると、そこで貴方は愕然とするわけです。「あれ……一次落ち作品なのに、なぜかブクマが一気に三千オーバーしたよ? となると、最低三千人は続きに期待してくれたってことだよね? でも、一次落ちだよ、これ」みたいに。
……まあアレです、別に悩むことはありません。
あっさり言いますが、貴方の「面白さの感覚」は、何も間違っていなかった、そういうことです。素直に喜びましょう。
こと「面白いか面白くないか」だけを問題にするなら、正しいのは貴方であり、見誤っていたのは賞の方です。
(より正確には、「まさかアレが売れるとは思わなかった」と言い換えてもいいかもしれません)
そんな馬鹿なっというご意見もおありでしょうが。
しかし、ここで少し冷静になって考えてみましょう。
一次選考の審査を担当するのは、通常一人の下読みさんであり、慎重な賞でも、だいたい二人です。ダブルチェックというやつですね。
さらに慎重な賞だと、編集さんもざっとプロットくらいは落選作をチェックするかもしれません。
でもまあ、本気で慎重な賞で、そこまです。
翻ってみるに、なろ○はどうでしょうか? まあ、哀しいことに読まれない小説は徹底的に読まれませんが、ひとたび「あ、面白いかも」と思われ、大勢の読者がつくと、その数は加速度的に増えていきます。
一ヶ月もしないうちに、ブクマが一万突破したりすることも、たまにあります。くどいですが、このケースで言うと、つまり最低一万人は貴方の投稿作を読んでいるわけです。
実際はもっと多いでしょうね。
何度でも書きますが、貴方の感覚は間違っていませんでした……選んだネタと、内容のことは置いて、貴方が書いた小説は、大勢を楽しませるに値する、「面白い」ものだったのです。
これを否定することは難しいです。
下読みさん二人の方が、数千数万の読者より正しいのだと主張することは、少々乱暴な気がしますし。
もしも穏当な言い方に変えるなら、「つまり編集部にとっては、つまらなかったんだよ」と言う他はありません。
昔はそれでも「所詮、webだけの~」的な見方が大半だったんですが、今はこのような結果になった場合、割と高確率で実際に売れてしまうことがわかっています。
まあ、単純に数だけで比較すれば、判断する人数がお話しにならないほど差がありますからね。
――あくまでも可能性の問題で、もちろん違うケースも否定しませんけど。
でも、どちらがより正確に市場を見極めるかといえば、そりゃな○うの方が可能性としては高いと思っています。前の項目で書いたように、書き手さんは読者を得るために、冗談ごとではなく、日夜凄まじい心理戦を繰り広げていますし。
どっかのコピペではありませんが、ある意味、実に殺伐としています。
最初の数ページほど読んで、そこで全然面白くなければ、もう見向きもされません。面白いとかつまらない以前に、選択したジャンルが不人気ジャンルで、そのせいで読まれないということも、多々あります。
あそこはあそこで、厳しい世界なのです。
そこで、話は戻ります。
それならばなぜ、貴方の「大勢の支持を得た小説」は、新人賞では全く歯が立たず、一次落ちだったのでしょうか?
本当に編集さんの目が曇っていたからでしょうか?
わかってる人は普通にわかってると思いますが、このあたりのことを、次に書きますね。
結論を急がないでくださいね。先に書いちゃうと、新人賞は新人賞で、大いに意義があると、私は思っています。
むしろ、最近は賞の数が減ってきたのを、危惧してるほどで(汗)。