3-5 webでも公募でも反応なかった場合
本来、次の項目に行くところなんですが、ここで少し、前項までの補足的に書いておきます。
本にする場合は、その都度、前に戻って書き直しですが、そういう予定はないので、webの利点を活かして、中途で追記的に書いておきますね。
まず――新人賞で落選してもwebでは大勢の読者さんを得ることがある、と私は書きました。
では、そちらで公開しても読者さんがつかなかった場合、その小説は本当に市場では受けないような作品なのでしょうか?
そうとは限らないと思います。
いきなり雲の上の作家さんを上げて恐縮ですが、たとえば宮沢賢治先生などのように、生前はついに売れずに終わってしまった方もいらっしゃいます。
しかし……今、日本でこの方のお名前を知らない人は、まずあまりいないと思います。
これは私の考えに過ぎませんが、売れるということにも、タイミング的なものがあるのかもしれません。
昔ヒットしたものが、今再び売れるとは限りませんし、試しようがありませんが、逆もおそらく同じことでしょう。
ただ、昔はネットなどはありませんでしたが、今はこうして存在します。
市販された小説の大部分が、多くの図書館に残るのと同様、webにアップした小説も、場合によっては後世にまで残るかもしれません……私的な希望ですが。
そして、時が経って改めて爆発的な人気を呼ぶことも、ないとは言えないことでしょう。
……なにが言いたいかというと、仮に新人賞でもwebでも無反応だったとしても、決して絶望しないでくださいと言いたいわけです。
人の好みはまさに千差万別であり、アマゾンの評価欄などを見ても、数百万部を売る有名タイトルが必ずしも絶賛の嵐とは限りません。
むしろ、一巻だけで見たら、罵倒が半分以上なんてことは、ザラです。
貴方の小説が好きだという方も、きっとどこかにいるはずです。
時間が経てば天の時を得て、さらに増えていくかもしれません。
今はただ時を得ずにいるだけで、売れるタイミングはすぐそこまで来ているかもしれないのです。
事実、ちょっと例に上げた作家さんを始めとして、生前に出した本がことごとく売れなかったのに後に評価された作家さんは、全く珍しくありません。
編集さんに酷評されて出版を断られた例となると、さらに多いことでしょう。
(たとえば「まことに残念ですが」という本には、有名作家さんの多くが、編集さんに駄目出しくらって原稿を拒否された例が、たくさん載っています)
貴方が「まあ遊びで書いているだけ」というのなら別ですが――。
そうではなく、小説を書くことが好きでいつか本になることを夢見ているとしたら、諦めないで続けてほしいと思います。
補足ついでに、もう一つ。
印税の説明のところで、あの時書いた以外に、まだ種類がありましたね……後から気付きましたが。
その忘れていた一つは、「エージェント制」というものです。
多分、検索すると、専門にやっているサイトさんも出てくることでしょう。
これは外国などに多い制度らしいですが、貴方の代わりにエージェントさんが出版社と交渉として、印税などの決めごとも引き受けてくれるという制度です。
貴方があくせく営業する必要はありません。
全て、エージェントさんが代わりにやってくれます。
……ものすごくよい話に聞こえますが、ここで忘れてはいけないのは、不動産の仲介料と一緒で、エージェントさんもきちんと報酬をもらうということですね。
それはどこから出るかというと、もちろん、貴方です。
貴方がもらった印税から、何割かがエージェントさんの取り分となるわけです。当然だと思いますし、どこもそうだと思いますが、もし「料金固定かな?」と思っていたら、それは違うと思っておいた方がいいですよ。
(私の知る例だと、エージェント料はおそらく、貴方の想像よりは高いと思います)
そしてこれが最後の補足ですが。
これも印税のところで、「実売印税にも利点が~」的なことを書きましたし、それは嘘ではありません。
しかし――決して、それを当て込んで飛び込まないでください。
危険すぎますし、おそらくはがっかりするかと思います(単純に確率で見ても)。
そういうやり方を採用するのは、出版社さん側から見れば、リスク回避と経費削減のために他なりません。
我々のためではないのは、当然のことです。
だから、万一の爆売れに賭けて飛び込むのは、かなり危険だと思います。
本当に本当に、万一に賭けるのはお勧めしません。
おそらく、がっかりする結果に終わると思いますから。
この「タイミング」というのは本当に不思議なもので、かつて受けなかったり売れなかったりした本が、後から嘘のように爆売れすることがあります。大抵、なにかのきっかけがあって、ですが。
そう考えると、本当に面白さというのは不思議だと思います。




