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神様?いいえただの悪魔です。  作者: 次元
第2章:熱血学園編
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第97話:魂の座

89話が抜けていたようで申し訳ない。

本当に申し訳ない。

「ねぇアイリス。アスラ様どうなったんだろう?」


ライバー同士で盛り上がってる会話を断ち切って突然アリスが話しかけてきた。


「え?」


アスラがどうなったって、向こうの情報が一切来ないから分かる訳も無いが、とりあえず盛り上がってる会話での突然の質問に素っ頓狂な返事をしてしまう。


「だから、アスラ様はどうなったんだろうと言ってるのよ!」


アリスは俺の両頬を片手で攫み持ち上げる。

この魔力の流れ…片腕に魔力を収束させ腕だけ強化してるようだ。

アリスがその気になったら、身体強化していない顎の骨なんて簡単に砕けるのだろう。

いや、その前に、普通の人間が身体強化した位では人間の骨なんてアリスにしてみたら泥団子を握り潰すくらいに容易い事だろう。

ってか、なんでそんなにお怒りなのでしょう。


「アイフふぁん? わわふぃ、あひはふはふはひへはふは、ふうひふいへふほへほうは?」

(訳)「アリスさん? 私、足がプラプラしてますが、宙に浮いてるのでしょうか?」



「ふん!」



アリスは不機嫌そうにアイリスを無造作に放り投げる。

アケミは我関せずを貫き、蒼い顔をしながら虚空を眺めている。

この場合、アケミの行動が正解だろう。

障らぬ神に祟りなし、ってね。


「あてて、そう言えばさっき電脳にメモを飛ばして無かったっけ?」


「飛ばしたよ。でもアスラ様からは何の応答も反応も無いの」


確かにおかしい。

この前はメモを飛ばした次の瞬間にはスレが立っていた。


それが今回はそれなりに時間が経ってもアスラからは何も動きが無い。

そして電脳を開き見て時間を確認する。

…あれ? アケミと話を始めてから何で6時間も経ってるんだ?

知らない内に時間移動でもしたのか?


…と言う事は、アリスがメモを飛ばしてから6時間も経過しているのか。

それにしては、アスラから何の応答も無いのはおかしい。

メモを飛ばしたのが俺でなくアリスだったんだぞ?

俺が飛ばしたならまだしも、アリス大好きアスラがアリスを無視するとは考えられない。


「ねぇアリス。そのメモに何て書いたの?」


「『ママ、助けて!』って」



「―――」



ん~あながち間違いでもないが、いやしかし…

アリスにアスラに対する扱いと言うか、軽くない?


「だって、そう書いたらすぐに連絡してくれると思ったし」


どうやらアリスとアスラのお約束らしい。



俺も真剣に考えてみる。

アリスの問いにアスラが答えない訳がない。


目に薄く涙を浮かべいつ癇癪が起きるか分からないのでアリスの頭をナデナデしておいた。


アリスの目が細められ至極の表情を、いや悦ってる…?

んな訳ないか。


俺は頭の上に「?」を浮かび上がらせながらある仮説を考えると席を立つ。


「アリスはここでアケミと今後の構想を考えておいて。当然、魔王様の魔王様による魔王様の為の世界侵略だからね」


アスラの事で頭がいっぱいなアリスには、今一度真剣に魔王様が何たるかを考えてもらう。

じゃないと魔王を放りだしそうな感じだし。


「え? アイリスはどこに行くの?」


「ちょっとね」


「え~あたしも行くよ~!」


「魔王様! 作戦を考えててください」


そう言いながらアリスの肩に手を置く。

アリスは不安な眼を向けるが、アケミもアリスの肩に手を置く。


「ねえアリス、アスラ様の事、私にも教えて?」


泣きそうだったアリスの顔が一気に明るくなる。


「よし! 任せろ!」


アケミは此方に視線を向けると軽くウインクしてくる。

この女、中々デキル!


俺は軽く頷いてアリスから延びる糸を頼りに転移する。



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「良く来ましたね。私はこの世界を作った女神アスラ…あら?」



どうやら無事仮想天国に行けたようだ。

俺の考えではここにたどり着くには五分五分の博打だった。


下手したら無限回廊に落ちたり最悪、魂の坩堝(るつぼ)に落される可能性も無い訳ではないのだ。



そんな不安もあり、俺だけで転移した。

アリスが残ってくれれば最悪、魔力の糸? を辿れば迷っても何とかなると思っていたし。


そんな訳で無事に仮想天国での仮想アスラに話を聞きにやってきたわけだがそれはもう途方も無く苦難な道だった。

魂の回廊と言うのだろうか。

時間の概念が存在しない世界。

糸から逸れたらそれまでの無限回廊。


それはそれはもう、途方もない大冒険だったのだが、それはそのうち語るとしよう。

そんな紆余曲折があり目の前には仮想世界が広がり、辿り着く魂をお出迎えするアスラ。


「それは、ここに来る人全員に言ってるのか?」


目の前にはアスラ(仮)が驚いた表情というか不思議そうな表情で俺を見ていた。


「そうですよ。 じゃないと洗脳できないじゃないですか」


そう言って悪戯な笑みを浮かべた。


「いや、言葉悪いな」


「と言っても、実際は精神に働きかけているので、時間的問題はありません」


「ほう、精神に? って事は、ここに来る連中は精神生命体になってるのか?」


「一時的にそのような状態になってます。肉体を構成する塩基配列は電脳に保存してます。また、記憶は一時的に魂に定着させているので問題ありません」


「おいおい、それって、人類の上位である仙人とかの状態じゃないのか?」


「そうですね。解脱に近い状態です」


「うわ…相変わらずアスラのやる事はえげつない…そうだ! 聞きたい事があったんだ!」



「…アスラ様の事ですね?」



「ああ、アリスも心配しててな」


「ああ、アリス…可愛いよアリス…」


うん、はっきり言ってキモイ。

ってかまんまアスラなんだけど。


「お前、本当に仮想アスラなのか?」


「え? 当然じゃないですか。しかし、思考構造は同じですので」


さも、何言ってるんです?あたりまえじゃないですか! 的にドヤ顔で言ってきたので

「な、なるほど」と苦笑いをしつつ無理やり納得した。


いや、しておいた。


「で? 本当のアスラはどうしたのさ?」


「今は天界にはおりません。一時的に暗黒の女神も別の人に引き継いでいるようです」


「ああ、それは知ってる。ベルセネだよな」



「はい、ベルセネ様はアスラ様の思考、思想を考慮した上でオーリオン様に敵対しない様にしております」



「もしかして、勇者降臨って他の神も行っているのか?」


「はい、全てはオーリオン様の意向で、全ての神が勇者降臨を行っています」


「…まさかとは思うが、別神が同じ世界に勇者を降臨させていたり?」


「はい、しております」


「っ! あいつ! 何て事を!」


俺たちの事やれ、勝手に死者を生き返らすなだとか自然の摂理とか言ってたくせに、自分は好き放題か!


「はい。その事はアスラ様も危惧しておりました」


俺は一つの仮説を思い浮かべる。


「まさか、オーリオンは天界でも戦争を起こそうとしているのか?」



「オーリオン様の意向は分かりませんが、オーリオン様程の上位神が勇者降臨の結果について分からないはずないので恐らく…」



まさか、事態がここまで深刻になっているとは。

カノン、カインの行方はアルが知っているしサポートもしてるはずだ。にも拘らずアルが中々こちらに様子を見せないと言う事は、それほどまでに余裕がないと言う事か。



天界に行くには精神生命体にならないとならないが今の俺は完全な生まれ変わりだ。

肉体に依存している今の状態では天界に行く事は出来ない。

以前の肉体だったら可能だったのだが、この体はたかだか14~15歳の体だ。



「今の状態がもどかしいな…」



「大丈夫です。アイリスとアリスの行いは正しいとは言えませんが必要悪とは言えます。」


「ふっ、アスラに言われてるみたいだよ」



「恐れ入ります。アイリスはいつも通り頑張ってくれれば良いのですよ」


時折、アスラ(仮)がアスラ(真)に見えるときがある。

ま、俺にしたらどっちでもアスラだからどうでも良いが。


「そうか、しかし…ここまでややこしくなった種族を一つに出来るのかな? しかも、この人類の種族間の差別は神の意志を感じるぞ」


「大丈夫です。この仮想世界は、アイリスが今居る世界の全員(・・・・・・・・)の収容が可能です」


アスラさん?

今さらっと怖いこと言わなかった?


「―――最悪、あの世界を全て滅ぼしても大丈夫って聞こえるが?」


アスラは冷たい笑みを浮かべる。


「全てはアイリスの思行くままです。私はその為の後方支援しかできません」


ま、最悪全ての生命がここに来ても何とかなるって言うなら何とかなるんだろ。


「そうか、ありがとう」


アスラは俺に優しく微笑みかける。

今まで、何度この微笑を向けられただろう。

その都度、不思議と心の奥底で燻っていた炎が再燃するのを感じる。



俺はアスラの頭を軽く撫で、元の世界に戻ってきた。


当然、戻るのにも相当の困難が待っていたのだ。

帰り際、アスラ(仮)に戻りは楽ですよ。


と言われた気がした。

そう言えば帰りは確かに楽だった。


1年の片道が10カ月くらいに感じられる程度に。


直訳してやろうか?

たいして変わりはねーよ!


そんな事なら、前みたいに超楽に戻りたかったんですけど。

って回廊の出口に辿り着く直前、アスラの声が聞こえた。


「あの時はアリスが居たから」


うん、この困難もアスラの手のひらの上での出来事だったのね。

もう二度と一人で来るもんか!



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