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神様?いいえただの悪魔です。  作者: 次元
第1章:転生
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第6話:浄化儀礼

やっと生後1歳となったこの年。


このアルテリア地方で生誕した子供たちの浄化儀礼が街の教会で厳かに行われた。


前半は神父の言葉と讃美歌と焼きたてのパンをそれぞれに配って終了。


そして午後に待ちに待った判定の儀式。

アイリスは領主の息子と言う事もあって一番最初に受ける事となった。


その頃には親バカロックの噂は町中に広がっていた。

アイリスがハイハイをしたら酒場で皆にふるまう。

アイリスのハイハイの速度が上がったら酒場で皆にふるまう。

アイリスが立ち上がると臨時のお祭りを開く。

歩くに至っては無償で屋台を出して領土中で盛り上がった。


盛り上がった後に冷静に村人からは領土の財政大丈夫か? と心配されてたりする。


しかし、生後間もない赤子がハイハイはともかく、歩くとは話半分でも少なからずアイリスには何かあると言う期待感と、将来この地を治める領主の地位になるであろうの息子であるアイリスの期待感が嫌でも領民たちを滾らせる。


ガヤつく教会内を「それでは判定の儀式を始めます」の神父の声に一斉に静まり、厳かな雰囲気が一気に場を締める。

教会の頭上では儀式開始を知らせる鐘の音が響き渡る。


神父の祝福の言葉の後、準備が整い判定の儀式が始まる。


水を張っている大きな銀の皿の中央に水晶が置かれ四隅に燭台が置かれる。

四隅に立てられた蝋燭の光が水晶を照らし、水面を明るくしている。

赤子なので父親が持ち上げて母親が俺の手を水晶に翳す。


そうすると、水晶を置いている燭台の下の水にボンヤリと子供の魔力・属性・加護名が浮かび上がる仕組みらしい。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~~~魔力:9500~~~~~~~~~~~~~~

~属性:ヒーリングマスターEx~~~~~~~~

~~加護:くぁwせdrftgyふじこlp;~

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



ほう…このように水面へ浮かび上がるのか。

色々な国、いろいろな星、いろいろな世界を旅した俺にも分かる言語が浮かんでいた。

って事は過去に来たことのある星なんだな。


魔力が9500か。

この世界で魔力9500と言われても基準が分からないからどうにもピンと来ない。

属性がヒーリングマスター…Ex?

ヒーリングマスターってあれだろ?

ドラ〇エで言う所の僧侶とか、回復補助系だよな?

ま、元々の属性もそんな感じだし、違和感はない。

Exってところ以外は。

加護に至っては文字化けしてるのか?

いや…ここに至っては触れないようにしておこう。



両親も揃って水面の文字を見るが、少し間をおいて父、母が一斉に噴き出した。

おいおやじ! 飛沫が飛んだぞ!

臭い…臭いぞ!


俺は飛沫(しぶき)を吹き出したおやじに向かって不機嫌そうに眼を向ける。


おや? そんな俺の視線に目もくれず水面を凝視している。

ん? と思って母親を見ると親父同様に水面を凝視して動かない。

おい、俺の両親は大丈夫か? 生きてるのか?


少し心配になって神父の方へ顔を向けると両親と同様だった。


神父は空いた口がふさがらない状態で、瞼だけが激しく開閉している。

助手のシスターは十字架を両手に握りしめ頻りに祈っている。


周りに居た後続の親子連中も、「どうした」「ドウシタ」と様子を窺っている。


基本的には個人情報だから判定の儀式を盗み見する人はいない。

個人情報って言うのは嘘だが、厳かな儀式に盗み見するような輩は町から弾き出される雰囲気になるので出歯亀をする者は居ない。

しかも相手は民の生活を守る領主様だ。

嫌われ領主ならいざ知らず、領民とも隔てなく接するロックを煙たがる人はこの町には居ない。


それは親しいビッチでも同様だが、こんな一大事は早急に情報漏えいする。

当然、漏えいの元は父であるロックなのだが…


しかし…どうしたものか。

正直、魔力9500が凄いのかどうかわからない。

が只事でない様子なので、父の顔を両手でペチペチしながら待っていた。


そうすると、フリーズ状態の思考が戻ったのか「おお……アイリス~~~~~」と涙目の父が頬ずりしてきた。

髭がほほを撫でていくのに鬱陶しくなり、髭を引っ張ってみた。

しかし親バカ代表のロックに、この赤ちゃん必殺攻撃スキル「髭引張」にも動じずスリスリしてくる。

寧ろ、喜んでいると勘違い発言をしている。



このスキルが効かないとなると………残るはあれしかないな…

赤ちゃん最終最強スキル「ギャン泣き」を発動させる。



「ウギャ~! フンギャ~~!!(鬱陶しいんじゃ! このボケおやじ!!)」



アイリスの堰を切った様な大泣きに、さすがの母も我に返ったのか、オヤジから俺を奪いとる。


「まぁまぁ…アイリスがこんなに泣くなんて、本当に苦しかったのね。よしよし、私の可愛いアイリス」


母のふくよかな胸に抱かれ一安心。


さすがのロックも悪いと思ったのかしょんぼりしながら


「…すまなかったな~アイリス~とうちゃん嬉しすぎて我を忘れていたよ~」


と、どこぞのはっちゃくのパパ口調で謝ってきたのでとりあえずは、ロックパパに向けたスキル発動を中止した。


ところで、魔力9500はどうなのよ? と思い、神父に顔を向けてみた。


「ロック様、この子は神の子ではないでしょうか?」


フンス! と腰に両コブシを当て胸を張るロックは未だ興奮状態なのか鼻息が荒い。


「そりゃそうだろう! 魔力9500だぞ?! ところで加護の方は?」


その言葉を聞き申し訳なさそうに神妙に答える神父


「それが、水面に波が立ち読み取る事が出来ません。」


それを聞きながらも、笑顔のまま首を横に振るロック。


「しかし、さぞかし名のある神なのだろう!!」


そうなのか?

くぁwせdrftgyふじこlpだぞ?

ふじこフジコだぞ?

まあボインボインのフェロモン振りまくりのかの大泥棒さえ骨抜きにされるフジコとは違うが…正体は多分…。


「名前も読み取れない強い神であれば、最高神オーリオン様かあるいは……いや…それとも…」


「な~に、我が息子アイリスを加護する神なのだぞ! 最高に強く、慈愛いに溢れる神だろう!! この子は人類を導くやもしれぬぞ!!」


パパ、大当たりです。オーリオンは大っ嫌いです。

あんな卑怯な神は大っ嫌いです。

あんなに卑怯なのに神を名乗らせることに苛立ち増す。

そして、この世界にもオーリオンの名が普及している事にも多大に苛立ちが募る。

後ろからの不意打ち野郎は全宇宙から抹消されてしまえばいい!


自分たちで光とか言っちゃう輩に真っ当なのは居ない。

何が正義だよ。

自分に都合のいいことを正義とは言わないんだよ!


普通は他人の目から祭り上げられ奉られるはずなのに、自分たちで舞い上がっちゃうような連中は鬱陶しいを通り越しウザい。

マジあいつら、いつかやっちゃるけんね! そう心に決め硬くコブシを握る。


ふと、後方に目を向けると、案の定、領民たちが感嘆の声を上げて祝福している。


「魔力が9500だってよ!!」

「さすが領主さまの御子だけはある!」

「これでアルテリアもこの街も安泰だ!」


各々声を上げて喜んでいる。

この街、今日は祭りになるんじゃないか? と言う勢いだった。

当然その資金はロックが出すんだろ?

しかも自分から出すとか言っちゃうんだろ?

本当にこの領土の財政は大丈夫なのか?



とりあえず魔力9500と言うのは強いようだ。

領民たちもお祭り騒ぎになる程凄い事と言うのは理解した。



そして属性がヒーリングマスターEx……?

さっきも言ったがヒーリングマスターは何となくわかる。



回復職とかそんな類だろう。

もともと魔法は極めていた事だし、取り分け回復系を得意としていた訳なのだが、それにしてもExが分からない。



そう思い父の顔と神父の方へ顔を向けた。


「ところで神父よ、このヒーリングマスターExという属性はどういうものだ?」


オヤジも分からんのかい!!

心の中で盛大にツッコんでみた。


神父も


「ヒーリングマスターは分かります。私を含む神職につく者や戦闘時に回復する役目を担っているのが属性で言うとロック様もご存じのヒーラーになります。そしてその最上級がヒーリングマスターになります」


「なっ!! 赤子の状態で既にヒーリングマスター(・・・・)なのか?! ヒーラーの最上級といったら…」


「そうなのですロック様。私も目を疑いました。生後1年の赤子が既にヒーリングマスター。すでに法王の器を持っていると言う事です」


「何と言う事だ!!! さすがわしの子アイリス~~~~~~」


オヤジスキル「髭じょり」が発動される前に

今度は即座に赤ちゃん最終最強スキル「大泣き」を発動させた。


母も即座にロックから俺を離し目に少し涙を浮かべ頬ずりしている。

うん、ママの頬ずり気持ちいい。


パパの頬ずりには最終最強スキルを発動したがママの頬ずりには赤ちゃん最高対人スキル"無垢なる微笑"をした。

後ろでオヤジが悔しがっていたが見なかったことにしたのだが、その更に後ろの方では領民たちが更に騒いでいる。


「ヒーリングマスターなんて初めて聞いたぞ!」

「法王様だってよ!!」

「この儀式で既に法王様レベルって…」

「バッカ! 聞いてたのか、ヒーリングマスターにExが付いてるんだぞ!」

「法王様より上なんじゃないか!?」

「やっぱり神の御子なんだ!」

「神父様も分からない神の加護って!」

「神の加護じゃなく、既に神の子なんじゃないか!?」

「この町から神が現れた!!」

「神童様万歳!」


等々と驚嘆する者と若干引き気味の者とに分断されたが、総じてウルサイ事に替わりは無かった。



完全に俺の個人情報はダダ漏れなんだね……このバカ親父め!



「よし今日から3日間で祭りを執り行う!」


ああ、やっぱりバカロックの悪い癖が出たよ。


「費用はこちらで出す! 早々に準備に取り掛かるぞ!」


ロックの言葉を聞いて村人も盛り上がったが、ママの「まだ儀式の最中です」という空気を凍らせるほどの圧力にロックも村人も声を押し殺す。


だんだん冷静さを取り戻した神父がバカ親父に真剣な眼差しで話しかける。


「ロック様、この事を教会本部や王様にご報告なさいますか? きっと最高な生活環境で、最高の教育の元、最高の人物と成長するかと」


ロックはしばし考え目を瞑る。

腕を組み目を開け、俺とママに視線を向けると神父に顔を向ける。


「いや、この事は内密に頼む。我が子は我々が育てたいのだ、頼む!!」



ロックの父親たる懇願を聞き神父も笑顔で答える。


「畏まりました。面を上げてください領主様。実は私も身近にアイリス様の成長を見届けたい一人です。」


「ありがとう神父! 恩に着る!!」

「ありがとうございます。神父様!」


バカ親父らしからぬセリフに思わずロックを見て感心する。

だが、この眼差しにロックは再び親バカを発動し領民がドン引きするのだが、俺は相手にしない様、母の懐に収まって決してその場を離れようとはしなかった。


こうして、父と母のホクホクした顔と共に屋敷に戻ってきた。

余りにもご機嫌だったので、その日から3日間は領主主催のお祭りとなったのだが、それは別のお話。




「ああ、アイリス様、私はどこまでも傅せて頂きますわ(ハート)」


ビッチの態度に俺の危険察知のスキルがレッドゾーン振り切り猛烈に警告を発していた。



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