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神様?いいえただの悪魔です。  作者: 次元
第2章:熱血学園編
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第57話:昔話

「その魔王がアイリスなの」


アリスが俺を指さして軽く独白する。

俺とハッシュ、スージーは互いに顔を見て一呼吸置くと


「「えええ!!!!」」


盛大に驚く。

当たり前だわな。

500年以上も昔の『A LongLong Ago』な話ですよ。


「アイリス…お前やっぱり魔王だったんだな! 道理で入学当初から普通じゃないと思ってたんだよ」


そう言いながらユラリと音も無く立ち上がると、ハッシュは魔法剣を展開する。

スージーもハッシュの動きをひとしきり見て、笑顔で魔法杖を展開させた。


「何をするつもりかな? そんな物騒なものは仕舞ってのんびり座ろうじゃないか」


ドウドウと俺は優しくなだめた。

何だこれ? なんのコントだ?

俺って今、討伐されそうになってたの?


「それよりアリス、話の続きはよ」


アリスが"つまらんコントを見せるなボケ"って顔をしているので大人しく話を聞く3人。

そう言えば、スージーってこんなキャラだっけか?


「あの話は全てが嘘だったの」


「あの話? 嘘?」


言葉足らずで意味不明だったのでフォローにスージーがアリスに端的に問いかける。

俺とハッシュはアリスの目に震えるだけでした。

何でって、オーリオンの話をしている時からアリスにドス黒いオーラが漂い始めた(気がする)からだ。


そんなアリスにハッシュと寄り添って震えていたのは私の黒歴史です。

いや、ハッシュにとっても黒歴史認定だな。


「そう、魔王が倒された事もモンスターを操って人間を攻撃した事も勇者が魔王を倒したことも」


「え? どういう事? 全く話が分からないわよ?」


大昔から伝えられたおとぎ話が嘘と言われれば誰だって理解できないだろう。

しかもその話は人間の世界では英雄譚として語り継がれ、演劇の命題にもなっているのだ。


「人間神オーリオンが自分たちの都合の良いように作ったのよ」


首を傾けるハッシュとスージーを尻目にアリスは話を続ける。


「実際、魔王はモンスターを操っても居ないし人間に攻めてもないの」


「ね? アイリス」


アリスは顔をこちらに向ける。

どす黒いオーラと共に。

いきなりアリスにそう言われて無意識なのか保身なのか分からないが首を縦に数回振る。


「そうだな。そもそも、あれはアスラのシナリオがあって俺たちはそのシナリオ通りに進めていただけだからな」


俺はボンヤリと視線を上に向け思い出す。



「あの時代は人間に獣人と魔人が虐げられていた時代だったの。人間は正義で、魔人は悪、そして獣人は魔人と人間の間だから敵だとね。でも、人間と獣人と魔人が協力すれば魔王を倒せるように誘導したの。それで今までの蟠りや偏見が無くなると思ってたのだけど」


そこまで言うとアリスは少し眉間に皴を寄せてハッシュとスージーの方へ瞳を送る。

何でか分からないがハッシュとスージーはピクリと肩に力を入れる。


「現に、どうして人間より力のある獣人や魔人が人間の下の立場になってるか不思議に思った事ない?」


スージーは少し考える。

ハッシュは普通に何でだ? って顔をしている。


「そういわれれば、獣人は人間より力が強いし、魔人は人間より魔力も力も上よね?」


スージーは右手を顎に付けて考える。

アリスに指摘されて初めてこの世界の事を考えた。

指摘されるまで考えた事も無い。

しかし、確かにアリスの疑問は核心を得ている気がする。


「でも、何で人間が上位な立場なんだ?」


考えるスージーを尻目に脳筋ハッシュは質問に対して質問を返す。


「そこよ! このおとぎ話よりさらに大昔、人間神オーリオンは人間の中から勇者を大量に作り上げたの」


それは今に至るまで脈々と受け継がれてきた神秘であり呪いだ。


「それって、加護を人間に与えたって事か?」


「そう。神と呼ばれる天人の力の源って何だと思う?」


そう言われて首をひねりながら考えるハッシュとスージー。

案の定と言うか当然と言うのかスージーが思いついたことを口にする。


「やっぱり巨大な魔力?」


スージーの答えを聞きゆっくりと首を振り否定するアリス。


「いいえ、信仰心よ。オーリオンは人間に力(勇者)を与え、人間から信仰心を得たのよ。それによって、人間神オーリオンは神界でも頂点の一角の力を手に入れたの」


アリスは眉間に皺を寄せこぶしを握る。


「もともと人間であるオーリオンの力では加護を与えられるのは人間だけ、加護を与えられない人類以外は敵という構図を作り出したの」


スケールの大きすぎる話にハッシュもスージーも思考が止まってる感じがするがアリスの話はまだ続く。


「でも、それは信仰と言う名の洗脳。本人は自発的に行動したと思っても実は洗脳されているから。勇者と呼ばれる人はなぜ罪もない獣人や魔人を殺せると思う? 洗脳により罪の意識が無くなってるから。そんな勇者を有する人間によって獣人や魔人は大量に殺されたわ。その時から人間は勇者の存在をチラつかせて獣人と魔人を支配したの」


「そんな事が…」

「なるほどな…」


妙に納得する二人。

今の話の中でツッコミどころ満載なんだが、もう少し黙っていよう。


「で、それに対抗したのが私たち。こんな不平等な世界間違ってると思ってね。人間も獣人も魔人も元は同じなの。皆それぞれ元を辿れば同じ種族なの。だから、どの種族が一番とか無いのよ。在ってはいけない筈なの。私はアイリス達に魔王をやってもらって…それが今から500年前ね。その時、人間神オーリオンは更に勇者を降臨させたの。全ての予定が狂ったのは人間を優先し、獣人、魔人の状況を変えなかったオーリオンが突然横から手を出した事から始まったわ」


ギリギリと歯を噛みしめやりようの無い怒りを右コブシに込めるアリス。

握ったコブシから力を抜くと話を続行させる。


「まず、アイリスたちが襲い来る勇者を倒したの」


「「え?」」


目を見開く二人に目もくれず昔話を語るアリス。


「人間だけで魔王を倒したとなったら、また人間が獣人や魔人の殲滅思想を助長するでしょ」


やんわりとした眼差しでハッシュとスージーを見るアリス。


「あ…ああ、そうだな」

「ま…まぁ、そうね」


二人もアリスの一挙手一投足が怖いのか頬が引きつりながらも返答する。


「500年経って、その思想も揺らいで人類、獣人、魔人が偏見を持たない世界になってきた」


ハッシュとスージーも何となく理解できたようで、アルフレート学園に来た交換留学生を思い出す。


「そうだな~交換留学で来た2人も人間に偏見とかそういう感情無かったもんな」

「そうね、逆に最初の頃は私たちの方が気をつかったものね」


アリスは首を一つ振ると説明を続ける。


「そう、その思想は王都やその上層部しか残っていない。そして法王は当時の勇者の血筋なの」


俺も何となく理解した。

理解はしたがどうにも納得と言うか、合わない箇所が出てくる。


「そうか、なるほどね~俺たちがオーリオンに呼ばれてた時にはすでにこっちでは500年経っていて俺たちが居ない間にオーリオンは新しくシナリオを作ったと…」


何となくだが今までの経緯が朧気ながら分かってきた。


「そう、それに気が付いた私がオーリオンの元へ向かった時にはアイリスはすでにこの世界に転生させられた後だったの」


あの時の理不尽な物言いと行動、そして不意打ちを思い出しコメカミに血管が浮かぶ。


「あんのやろ~! 相変わらずやる事が回りくどいよな!」


「本当ね、だからあいつ嫌いなのよ…そもそもいつまで経ってもあいつが―――――」


俺がオーリオンの悪口を言い出すとアリスが逸れに追随して悪口大会が始まる矢先、俺はこのままでは朝を迎えると思って無理矢理アリスを止める。


「おいアリス? アスラ? 脱線してるぞ」


「ア・リ・スよ!」


とりあえず徹夜回避に成功。


「で、アイリスがこの世界で生活してる間に、オーリオンは…自分に信仰を集める為に、裏で色々画策していたの。それは、この世界と他の世界を結合させようとしたの。そもそも、宇宙って沢山の泡の集まりの様な感じなの。でも、大きな泡一つに集約すると、それそれの世界で別れていた魔力は分散する事なくある個所に集約してくる。そして、ある場所では力を付け、ある場所では衰退するその結果、モンスターに影響が出て異様進化種が生まれたって訳。複数の世界より、纏めた方が信仰も集めやすいしね」


話の内容は分からないがとりあえず思い浮かんだ疑問をアリスに投げかける。


「で、どうやって奴は信仰を集めるつもりだ?」


「オーリオンが元々支配していた次元では結合を食い止めるのは無理だった。でも、他の次元では辛うじて人間の暴走を食い止めているわ。それはカノンとカインにお願いしているの」


「おおぉ! やっぱりあいつらも生きてたか!」


「でも、初めは別次元だから中々転移先が分からなくってね。そこで、アルに協力してもらって最初にカノンを探し出したのよ。しかも転生術が完全じゃなかったらしく、転生と言うより転移ね。何も変わらず、向こうで大暴れしてたわ。それこそ、大魔王って言われる位」


カノンの状況を頭に思い浮かべ笑顔になる。


「あいつも相変わらずだな」


カインの情景があまりにも分かりやすく頭に浮かんだからだ。


「でもそのおかげで、人類だけじゃなく獣人や魔人が協力していたわ。だからその世界では信仰心が揺らいでオーリオンの力が及ばなくなったの。それから程なくカインのいる次元を探し出す事が出来たの。状況はカノンとほぼ同じ状況」


ここで完全に笑いが出てしまった。


「私たちが動いたことによって、オーリオンも表だって行動しだしたの。だから私も堂々とこちらの世界に意識を飛ばすことが出来たのよ」


「13年の間に色々あったんだな~。って13年の割に話が凄く進みすぎてないか?」


俺がこの世界に飛ばされて今13年。

オーリオンの勢力拡大や宇宙を繋げるって、13年じゃ無理だよな?

それにカインやカノンがやってる事だって凄く壮大な話でとても13年で完結するとも思えない。

俺が今まで疑問に思っていた箇所だ。

アリスはその事について知ってるようだが


「まあ、この世界は色々細工したからよ」


アリスなのかアスラなのかよく分からないが色々ってなんだよ。

余りに答えがぼやけ過ぎだろう。

そんな答えを言う場合、アスラは絶対に正解を言わない。

アリスも同じだろう。

であるならばここで追及するのは時間の無駄だと悟った。


「でも、他の神は相変わらず自分に被害が及ばない限り動かないのか?」


「ええ、みんな天人になる前の情熱なんて無くなったのね。でも、隣の宇宙でオーリオンが本腰を入れ始めてね。それに気が付いたハデスさんが色々動き出してくれたんだけどね」


ハデスのオッチャンか~また懐かしい名前が出て来たな。


「向こうの次元ではカノンやカインも頑張ってるんだけど予想以上にオーリオンが力を付けてて結構危うい状況なのだからこの先、近い宇宙であるこの世界も異様種が増えると思うわ」


フム、みんなが早々に異様進化種が討伐できるような力を付ける事が必須か…。


「でも、そこが奴の狙い。異様種に手が負えなくなった時に勇者を降臨させる。そうすると今以上に人間の信仰が増えて奴に力が注がれるって寸法よ」


文字通り全世界規模で迷惑千万な奴だな。


「奴は結局何がしたいんだ?」


「光の完全支配よ」


「はぁ? そんなことしたら世界が滅ぶぞ?!」


何だよそのどこかのゲームみたいな大魔王、いや大神王のようなシナリオは。

最終的には"すべてを無へ"とか言い出すんじゃないだろうな。


そんなこと思っているとハッシュが珍しく質問してくる。


「おいおい、神が世界を滅ぼすのか? 何で光の世界になると世界が滅ぶんだ? 平和になるんじゃないのか?」


ハッシュやスージーには世界の成りを知らないんだっけか。

仕方がない、説明してやるとするか。

ある意味、この宇宙の絶対的な真実と言うか、言わば真理みたいなものだな。


「ハッシュ達は知らないと思うけど、光と影は一心同体なんだわ。光があるから影が生じるって事は、影を消したら光もまた消える。いや違うな。光る必要が無い。光る意味が無いと言えばいいか」


ハッシュとスージーが目をぱちくりして明後日の方へ視線を向ける。

全く分かって無いご様子。

そんな二人にアリスはもう少し分かりやすく説明をする。


「そう。アイリスの言う通り、光が完全支配すれば闇は無くなり、光ある者たちの楽園と考えてるのでも、実際はそうじゃない、光だけの世界では闇が存在しない。闇が無いとは、光以外構成するものが無くなった世界。つまり終焉と何ら変わらないの。でも、光が世界を覆いつくして世界が滅ぶのなら、それも良しと考えてるのよ」


「全く、あの頭でっかちのバカ野郎は…ある意味、光の大魔王ならぬ大神王だな」


少し理解できたスージーがアリスに疑問を投げかける。


「じゃぁアリス、その神を倒せばいいんじゃないの?」


単純に考えればそういう事が一番手っ取り早いとは思うが、しかし。


「そうは簡単にいかないわ。天人とは精神集合体であり、簡単に滅する事が出来ないの。精神を無限に生み出すことも可能なの。つまり生と死が同一の存在。それこそ終わらない戦いが始まるわ」


俺は遥か昔の神とのケンカを思い出した。


「あ~あの時も厳しい戦いだったよな~」


俺のつぶやきにハッシュが呆れ半分でツッコんできた。


「あんたたちは何年生きているんだよ」


そんなツッコミを入れてくるのでお返しにボケてみた。


「いや何千億年とかだよな?」


「それ位経つかしらね?」


「「―――――」」


ハッシュとスージーは異次元の会話に精神が飛んでいるようだ。

おいおい、俺とアリスによるボケだからな?

正直に真面目に取るなよ?

早くツッコめよ!



話が壮大になってきた。

でもなるべく風呂敷は広げないでこじんまりとしたい。

でも俺には文才は無い訳で。

読みづらかったり表現が変だったり意見やアイデアがあれば遠慮せず待ってます。

待ってますから!

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