第54話:人外への一歩
誰が毎日掲載するって言った?
ホントすいません。
自宅作業だと中々執筆できなくて(仕事しろ)
衝撃的な独白が未だに復帰できてない俺の頭だったが、昔から"分からないことは置き去りにする"の精神で今まで生きてきた。
そして今回もその考えは間違っていないようで何とか平静を保っている俺の精神。
人はこれを投げ槍と言う。
でも、正解なんて今考えても正解にたどり着かないんだから仕方がないよね。
考えたすべてが憶測なのだから。
正解かもしれないが間違いかもしれない。
そんな事に頭を使うより現状を考える。
これ大事。
「今度は私から質問!」
右手を上げてスージーに詰め寄るアリス。
その距離はお互いの呼吸が判じられる程近い。
「な…なに? アリス」
突然のアリスの急接近に苦笑いと言うか若干引き気味のスージー。
スージーは条件反射的にアリスの肩を両手で掴むと、首だけを後方に仰け反らせる。
「スージーはあのモンスターを出したじゃない? フェンリルだっけ? あれのやり方教えて!」
スージーが後方に首をやるとその分顔を突き出すアリス。
元々言われれば拒まないつもりだったのだが、アリスの好奇心に心底感服するスージー。
そう言えばアリスの属性はマジックギャザーだったか。
魔法収集家とかそんな意味合いだったよね。
だからか、自分が理解の及ばない魔法には知らずにはいられないと。
「良いわよ」
半分引きつりながらも承諾するスージーと、その声を聴いて満面の笑顔になるアリス。
それでもアリスはスージーに顔を突出し、スージーは懸命に後ろに仰け反る。
何だこれ?
キスを迫る男と必死に逃げる乙女って感じか?
うむ、見眼麗しい光景に思わずほっこりする。
そんなアリスとスージーの攻防を眺めていると不意にハッシュに問い掛けられる。
「そういえば、アイリスもスージーの真似をしたよな?」
ピクリとスージーがこちらに顔を向ける。
その様子にアリスもスージーとの攻防を終了させるとこちらに瞳の焦点を合わせる。
が、事のからくりを凡そ知ってるアリスは俺の答え合わせよりスージーの魔法の方に興味が移る。
「あれはあくまでも幻を作っただけだからスージーのとは根本的に違うよ」
アリスもやっぱりと言う目を向ける。
「って事は、突然現れたモンスターも、俺が切ったと思ったアイリスも幻だったのか?」
「幻と言うか…質量を持った残像かな」
ほら、放熱する為に塗装や装甲、じゃなかった垢や皮膚が剥離して撒き散らされるという現象。
―――違うか。
「最初に召喚したファントムって杖で幻影を作り出しただけだよ」
アリスは俺の言葉を完全に無視して正解をハッシュに説明する。
「そういう事か。でもよ、剣が折れたようになって最後に俺にダメージを与えただろ? あれって、何か特殊な武器を召喚したのか?」
ハッシュも俺が武器を召喚可能な事を知っているのでその部分には疑問を持たない。
逆にそんな武器が存在するのか、興味はそちらに向く。
「あれは、魔法剣だよ。って言っても棍に近いけど」
俺のジョークはここでは放置されるのでボケず真面目に答える。
「魔法剣……剣じゃなくても応用が利く訳だな」
ハッシュは目からウロコでも出るように俺の魔法…棍? に感心する。
ハッシュの頭の中では剣以外にも何が今の自分に具現できるか思案する。
そしてその考えを体現させるため体内の魔力が巡っている。
ホント、君も案外努力家だね。
「へ~なるほどね~! 凄いわねスージー!」
スージーとアリスの方もスージーの顕著させた魔法の説明が終わったようだ。
その魔法に対してアリスが驚きの声を上げている。
「おっ?! スージーの説明が終わったようだぜ?」
スージーの説明を聞いてアリスは自分の手をグーパーして自身の魔力を練る。
「ねぇねぇ、アイリス見てて!」
「ん?」
「こんな感じかな?」
そこには空飛ぶ金トカゲ、いやレオレオスが現れた。
「どう? スージー」
説明だけされて再現をして見せたアリスに毎回驚かされるスージー。
「そ……そう…そんな感じ」(汗)
まさか、説明しただけで簡単に再現できるなんて…
やっぱりアリスは化け物だわ。と感心する。
「なるほどね~」
10mを超す巨大なモンスターの鼻先を撫でながらアリスは感心している。
心なしか撫でられているレオレオスも目を細めている。
「アリスどうやったんだ?」
ん? とこちらに眼を向けるとウザい程のドヤ顔で説明する。
「異様進化種を倒した時に出てきた丸いの覚えてる?」
剥ぎ取りで手に入れた竜玉のことか?
実際ははぎ取ってもいなければ竜玉でもないのだが、ほら、雰囲気ってあるじゃん?
しかしその事は俺の心に留めておこう。それが正解だ、きっと。
「ああ、結晶が圧縮されて丸くなったようなやつ?」
「そう、それの魔力の流れと自分の魔力を結合させてそれを体外に放出すると…ほら!」
2体目のレオレオスが現れた。
「おおぉ~そういう事か!」
「そうそう!」
「―――――!!」
説明されてすぐに実践するアリスに驚きもしたが、アリスならすぐに出来ると予想していたスージーではあったが、予想外の事が目の前で起きて今度は本当に困惑し驚嘆してる。
「おいスージー、あれ2体も再現するの難しいんじゃないのか?」
ハッシュがスージーに耳元で囁くと、ギギギと擬音が出るようにゆっくり、それでいて錆びついた機械のようにハッシュに顔を向ける。
「難しい所じゃないわよ…元となる魔力の消費だって半端ないのに…」
「スージー…」
慰めだろうか、ハッシュがスージーの肩に手を置くと、その手を包み込むようにスージーがハッシュの手に被せる。
「ハッシュ…もう何も言わないで」
「お…おう」
そんな二人のやり取りを知らずアイリスも再現して見せていた。
…もう何なのこの二人…と声にならない声を絞り出す。
そんなスージーに何も言えないハッシュであったが、それも正解であった。
対象があのアイリスとアリスなのだから。
「あ! そうだ! 今度の特別授業でこれ使えばみんなも死ぬ心配なく異様進化種を討伐できるように特訓できるんじゃない?」
「そうね! これだったら何匹でも出せるから良い特訓になるわね」
スージーが考えに考え抜き、努力に努力を重ねて会得した魔法を簡単に再現した二人が、今度は簡単に複数顕著させその扱い方法まで提案してくる。
「…スージー」
「黙ってて! ハッシュ!」
「うん…」
実は今アイリスが言った案は既に学園では実践されたのだが、何分にも巨大な魔力を包括するモンスターの具現化は、時として暴走する危険を孕んでいた。
その事を感じた学園長から特別授業での実戦は、完全に具現化したモンスターを意に扱えるまで中止となっていた。
今回スージーがこの魔法を行使したのも、半ば暴走の危険を孕んだ最後の手段だったのである。
しかし二人が具現したモンスターからそう言った危険を感じる様な仄暗い魔力を感じない。
逆に具現化した術者を親と慕っているような感じでもある。
この事でスージーも戦いで負けたよりも、この魔法を自身が使役したモンスターより高度に具現化している二人に完敗したと同時に感服した。
「そういえば、アイリス!」
「なに? ハッシュ?」
「お前らの使っていた武器って俺も使えるのか?」
ハッシュはアイリスが召喚したクニミツに関しての質問であった。
「あれ? タブレットに武器防具や道具の欄は出てないの?」
「いや…魔法しか出てないぞ」
「あれ? そうなの? だとすると、武器とかの召喚は出来ないみたいだね」
そう聞いて明らかに落胆の表情を浮かべるハッシュ。
こいつ何だかんだ言っても物理攻撃系に偏ってる感じがする。
魔法剣をあれほど見事に使いこなしているのだからそれなりの魔法だって使えるのに。
あ、残念な事に頭が追い付かないだけか。
と失礼な事を考えてみた。
「マジかよ! あれ恰好良かったのにな~なんか、正義の味方みたいじゃね?」
やっぱり俺の考えは間違っていない様だ。
こいつは第二のカノンと考えて間違いない。
「まぁ、武器の召喚は出来ないけど再現は出来るでしょ?」
は? って言う感じで顔を傾けるハッシュ。
やれやれと俺は右手を上に掲げ叫ぶ。
「召喚! 炎の剣」
すると、アイリスの手にいつも使う炎の剣が握られている。
「おお! いいなそれ! 俺も今度っからそうしていいか?」
剣の方へ食いつくより、剣を召喚する様子に興味をそそられるハッシュ。
昔はカノンも剣の召喚に食いついていましたから全然問題ありません。
ハッシュがそれで納得して頂けるのでしたら。ハイ。
「でもな」と言いながら残念な顔をする。
「アイリスとアリスが召喚できる武器って…結構凄い武器だよな?」
ああ、そりゃ伝説の武器とか宝剣ですからね。
それでもあの時のハッシュの剣を思い返すと、イヤイヤと首を振る。
「いや、あの魔法剣だって相当なレベルだよ。伝説の武器に相当するんじゃない?」
そう言われるとガバッと顔を上げるハッシュ。
その顔には気味の悪い程の笑みが浮き出ている。
「おぉ分かるかアイリス! やっぱり分かる奴は分かるよな!!」
そう言いながら俺の肩をバンバン叩いてくる。
脳筋ハッシュはとりあえず満足した様子なのでスージーの方へ眼を向ける。
「あれ? スージーの元気がないね」
ふと横を見ると、若干青い顔したスージーが目に入る。
ハッシュはスージーのテンションが下がってる原因を分かっているので温かく見守るモードのようだ。
「ああ、アイリス…少し放っておいてあげてくれ」
「うん…?」
スージーの視線の先には、巨大な自作モンスターレオレオス二匹と戯れるアリス。
「とりあえず、反省会は終わりって事で学園に帰ろうか」
「そうだな」
「じゃぁ転移!!」
人に見られる心配も無く、俺たちの生い立ちやその前の事まで洗いざらい話してしまう。
しかしそんな事に引っかかるハッシュとスージーでは無かった事に安心する。
逆にスージーは違う事で引っかかってるのだが、それは自身の努力が解決するだろう。
何たって二人ともアスラの加護を受けてるんだから。
「全くアイリスめ…こんな暗くなるまで帰って来ないなんて………いつ帰って来るんだ?」
寂しさに暮れるロックだった。
ストック増やして毎日掲載できるように頑張りますんで、高評価頂けると嬉しいっス。




