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神様?いいえただの悪魔です。  作者: 次元
第2章:熱血学園編
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第41話:特訓は苦ではない

特別授業は来週からなのに既に全高等科の生徒たちが集まっている…。



「あれかっこいいよな~」

「何かああいう必殺技も憧れるよな」

「正義の味方って感じだな!」

「早く使いて~~!」

「おい! 早く魔法剣教えろよ!」

「そうだそうだ!」



…こいつら、リハウス初日と全然態度が違うじゃねーか!

こういうのを本当のツンデレって言うのか。

獣人はツンデレ種族だな。


「ねぇ、早く教えてよ~」


はうっ! 猫耳美少女が腕をからめて…柔らかい水風船が腕に当たってます!

獣人は巨乳が多いのですね!!

はぁ~転生してきて良かった~


「嗚呼…ここが楽園ですか」


キーーン! …ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ


こ…この殺気はアスラ?!

いや…アリス!


和気あいあいだった雰囲気が一瞬にして無人の廃墟の様に静まり返る。


腕をからめていた獣人美少女もさっと俺から離れ距離を置く。


皆の耳がピンと耳を前向きにしているか、耳を横に寝かせているか。

種族ごとに違うのだろうが警戒色たっぷりと言うのは理解できる。


そして共通して誰もがビクビクとしながらアリスの動向を窺っている。

初日に対戦した女子たちのほとんどが腰砕け状態。

その場にへたり込みガクガクと震えている。


アリスは光線でも出すのではないかと思う冷たい瞳をこちらに向け即死級の言霊でも練り込まれてるような言葉を発する。


「アイリス…いっぺん…死んでみる?」


「え? 閻魔?」


アリスの体の中から魔力とは違う力が溢れだし言霊を紡ぎ始める。


『赤き地に石曜の風ふぶき、御柱の虚を取り繕い給うは…』


こ、これは祝詞。


俺は肉体強化でも体感できない様な素早さで超高速土下座&心の深淵からの謝罪を言葉に発する。


「すいませんでした~! 本当にすいませんしたぁ~~!!」


隕石の如く高速に迫るかのような素早き初動とオデコを隕石の如きインパクトを伴って床に激突させる。


『空へ向かえぬ羽衣の、在りゆくは…』


途中まで紡がれていた祝詞は、俺のビックバンアタックによりフッ…と強烈な波動が消え、アリス(アスラ?)が一言。


『次は無い』


と仄暗い闇の底から語り掛ける様な言葉に全力で


「わかりました!!」


と答える。


途端に手をパンと叩きアリスが笑顔でみんなに合図する。


「さぁ特訓しましょう」


先程の雰囲気とは打って変わり、いつものアリスに戻った。


「おい、アイリス」ヒソヒソ

「なんでしょう?」ヒソヒソ

「本当はお前よりアリスの方が強いだろ」ヒソヒソ

「俺もそう思いますコリー先輩」ヒソヒソ


「何してるの? 早く特訓するんでしょ」


天使のような笑みに内包されている鬼神のような気配を隠し持ってるアリスに敬礼をする。


「「はい!」」


コリーも俺と同様にキレのある敬礼をする。

教えてもらった訳でもなくこのような敬礼をw見せるとは、魂の深淵から敬礼を感じ取ったんだな。と訳の分からない解釈をする俺も大概だと思った。

まあ、俺はいつもの事だし悲惨ではあるが悲観はしていない。


対してこの学院性と言えばそうではない。

今回の出来事でこの学園でアリスに逆らう事が出来る人は居なくなった。

そして、この学園の美少女達は俺に触れる事が無くなった。


「嗚呼…ここが地獄ですか…」


アリスの事には悲観はしてない。

しかし獣人美少女たちとの触れ合いが無くなった事に悲観するのは一男子としては仕方がないのは理解できるだろ?


「なに? アイリス」


「何でもないです」


俺は気分を切り替えてみんなの方へ眼を向ける。

俺の影が入った顔とは対照的にこの上ない笑みを浮かべるアリス。

にこやかに爽やかにみんなに福音を振りまくアリス。


「じゃぁ、魔法剣の説明をしますね」


「「「「「はい! 先生!!」」」」」ビクビク


そんなアリスとは裏腹に、ここに主従関係が成立したのを理解できなかったのはアリスだけとなる。

しかし流石のアリスもみんなの空気が読めだしたのか、険しい顔となってくる。

それに合わせて学園生も表情が強張ってくる。


「…アイリス…代わって」


「はい?」


アリスが意気揚々と特訓を開始しようとしたのだが、全員の委縮する雰囲気を感じたのか、進行するのにやり辛い空気を読み取る。


「それでは…皆さんがファイアースリングが出来る前提で説明します」


アリスに代り、みんなに魔法剣の説明を始めると先程の凍てついた雰囲気が一転し和気あいあいとなる。


「まずは戦闘時に爪が多いと思うので爪や牙で戦う人は私が説明します。剣などの武器を使う人はアリスに教えてもらって下さい」


俺の号令と共に爪組と剣組に分かれる。


「…コリー先輩?」


「ん?」


「先輩は爪で戦わないですよね?」


この前戦った時も剣を使っていたし、ソニックブームを連発する位、剣の達人でもあったはずのコリー先輩がここ(・・)に居ることに疑問に思う。


「剣は卒業かな? なんて…」


コメカミ辺りを人差し指で掻くコリー先輩の視線はアリスに注がれている。


「…アイリス…」(´・ω・`)


その視線の先、アリスの方に目を向けるとアリスの周りに誰も集まってない…。

アリスも寂しそうにこちらに視線を向けてくる始末。


俺はヤレヤレと後頭部を掻く。


「皆さん…強くなりたくないのですか? アリスは最高の先生ですよ? ここからは皆も真剣にお願いします! さぁ、コリー先輩も向こうですよ」


俺に促されて耳を寝かせたままアリスの方へ向かう剣術者たち。


「すまなかったなアリス」


コリーは申し訳なさそうにアリスに謝罪する。


「いえ。それでは始めます。まずは、木刀を持ったままファイヤースリングを飛ばしてみてください」


アリスは何事も無かったかのように説明を始める。

程なくして、色々な質問がアリスに投げかけられる。


教え方や術の発生方法、魔力の流れなどを見てアドバイスできるアリスは先生としても優秀なのだ。


「木刀を持ったままでどうやってファイヤースリングを飛ばすんだ?」

「魔力でスリングをイメージして飛ばさないのか?」


その質問を受け取り、アリスも笑顔で答える。


「皆さんにアドバイスです。炎を投げるのに弓である必要あるか? です。」


そう言いながらコリー先輩に視線を送る。

俺がハッシュに質問した受け売りな言葉なのだが、これ以外に的確な言葉が見つからない。

アリスの質問に何となく理解を示したのはコリー先輩。


「おいアリスこういう事だろ?」


そういってコリーは炎のソニックブームを放つ。


「さすがコリー先輩、正解です」


「ええ~!」

「俺、ソニックブームなんて打てないぞ」

「ソニックブームが打てない人はどうすればいいんですか?」


「ソニックブームは剣術の技ですが、魔法剣は魔法なのでイメージです」


剣を持って身振り手振りで説明するアリス。


「ソニックブームをイメージして炎を撃ってください。コリー先輩すいません。コリー先輩も出来ない人にアドバイスして下さい。」


「おう! 任せとけ!」


うん。

向こうは問題ないようだな。


「では、こちらは爪で戦う人がメインですね。爪は剣と違い、自分の体の一部なので剣より簡単に習得できると思います。」


俺は自分の手首をヒュンヒュンを振り説明する。

さながら"南斗水鳥拳"のように。


「但し、デメリットもあります。爪は、剣のように長くないのでイメージをしにくいのが難点です。イメージが出来れば、剣のように爪を長くすることも可能です。それではみなさん一緒にやってみせましょう。できれば皆さんもご一緒に」


俺は自身の爪に炎を顕著させ、イメージが湧きやすく実戦してみせると発動までの順序を説明する。


「では、ファイヤースリングを展開します。そうそう、展開した炎を飛ばさないで下さいね」


暫く炎を展開させたまま維持するように指示を出す。


「これは…」

「アッチ!!」

「うへ~炎を飛ばさないで維持するのって結構大変なんだな」

「アッチ!!」


「では、炎を飛ばさないで爪を伸ばしてください。指先や爪が燃えてる人はいませんか? 居たら言ってくださいネ。治療しますんで」


「そんな奴はいねーよな」

「それで火傷するなら体の中ですでに大火傷だよ」

「だ…だよな」アチチ


一部強がってはいるものの火傷をしてる人が大半だ。

それでも自傷癖が無ければ自分で自分を燃やす人はいないので、コツを掴める人が出てきた。

剣より時間がかからない分、全ての人がコツを掴めたようだ。


「はい、みなさん! 魔法剣の第一歩が完了です」


「「「え???」」」


「すでに体の一部を武器としている皆さんは炎の魔法で火傷をしたりはしません。爪も体の一部と言うイメージがあるからです。炎を飛ばさないで爪に纏わせるのが魔法剣ならぬ魔法爪でしょうか。あとは魔力の精度によって強靭な爪となっていきます」


「「「おおぉ!! なるほど!!」」」


自身の魔法で熱がっている人は居るが、大した事もなさそうなので華麗にスルー。


「例えば、私には皆さんと同じように爪が伸びません。しかし、爪に炎を纏わせてその炎が伸びるイメージをすると…」


シュッ!! と炎の爪が伸びる。


「「「おおぉ!!」」」


「このように、爪が伸びているように見えませんか? この長さは魔力の精度で自在に操る事が出来ます。長ければその分、魔力の精度が必要になり切れ味は劣ります。ですから、長く強靭な魔法爪は魔力の精度に左右されると言う事です。皆さんには、これから毎日体内の魔力をより洗練に強靭に高精度で紡いでいく練習がメインになります」


皆も納得したように「わかりました!」と声を上げる。


時間的に数秒しか展開できないが、爪に炎を灯すと


「へっへっへっ、この燃えてる感じかっこいいよな!」

「だな!!」

「よし!練習するぞ!!」

「おおぉ~~~~!」


とみんなやる気満々となっている。

うん、良い事だ。

何よりも獣人は強さに貪欲なところが良い。


アリスの方へ進みより様子を見る。


「アリスの方はどう?」


「みんな剣から炎を出すのに苦労してるみたいだけどコリー先輩が一人一人にアドバイスしてくれてるから呑み込みは早いね。これだったら、思いのほかみんな早く覚えそうよ」


俺はコリーに習っているみんなの方へ顔を向ける。


「そのようだね。あとは、魔力の訓練くらいかな」


「やっぱり肉体的にも魔力的にも人間より強いわね」


「ハッシュの必殺技だったんだけど、必殺技じゃ無くなっちゃったね」


申し訳なさそうに人差し指で頬を掻く。


「また違うのを教えてあげればいいんじゃない?」


新しい技を教えることに別段問題はないが問題があるとすればハッシュだろうね、でも。

ハッシュの事を思案し、俺は笑みを浮かべながら答える。


「大丈夫でしょ」


とアリスに顔を向ける。


「魔法剣って結構応用が利くから侮れないよ」


「そうね、炎、水、雷、氷、光、闇、毒…魔法の属性が剣になるってマジックアイテムを自分で作ってるのと同じだものね」


「うん、自分を鍛えれば最強の剣を持つのと同じだからね」


「でも…」


「ん? どうしたのアリス?」


「みんなを強くさせて、この先どうしようと言うの?」


「え?」


俺はアリスの素朴な疑問を考える。

皆を強くさせてどうしようというのか。

強くなることは悪い事ではない。

強さによって出世コースも望めるのだし、この世界は強さが全てのところもある。


「国同士で戦争になったら、みんなで殺し合いをするんでしょ? その時に魔法剣とか使われたら…私たちの教えた魔法剣で互いが死んだら嫌だな…」


確かにアリスの言いたい事はとてもわかる。

悲しそうな表情をするアリスの頭に手を乗せて軽く撫でる。


「そうなりそうだったらさ…俺とアリスで国の暴走を止めればいいんだよ。それだけの力は俺たちあると思うしアスラも賛成すると思うよ」


アスラの名を聞き、安心したかのように笑顔になるアリス。

第一、アスラにはいつものように(・・・・・・)やれって言われてるから何の心配も無い。


「そうね。そうならないように祈るけど」


戦争が起きるとしたら人間・獣人・魔人の国が戦争をすると思っていた。

しかし、全世界を巻き込む戦争は三種族間の戦争ではなく違う形の戦争になるのだが…それはまだ先の話。



++++++++++


別の世界


「やっぱりアスラの言うとおりだったね」


「ああ、あいつらがやっぱり絡んでやがった。いや、絡んでいたんじゃなく首謀者だ」


「どうする? アイリスにも帰ってきてもらう?」


「いや、アスラはアイリスたちに救援を求めるのはまだ早いって言ってた。あいつ今は獣人たちを鍛えてるんだろ?」


「うん、多分次は魔人の学園だろうけど間に合うかな?」


「俺たちの踏ん張り如何だろ。アスラだって多次元宇宙の泡を消さなくするので精いっぱいだしアルだってアスラの補佐で忙しそうだからな」


「実働隊は実質僕たち2人しかいないもんね」


「その分、アイリスが帰ってきたら思いっきり楽させてもらおうぜ!」


「そうだね!!」



++++++++++




特別授業開始で講師達も合流したのだったが、既に特訓を受けていた生徒の魔力を見た講師は、アイリスとアリスのやっている事に慄いた。


マジックアイテムを自身の魔力で再現できる事。

参加している生徒の魔力量。

精度の高さ。

そして、魔力を外部から調整できるアイリスとアリスの途方もない実力に…


極めつけは、アイリスとアリスが行なっている事を、今後は自分たちが行うと言う事に。



獣人の皆さんは明るく無理難題に邁進するのあります。

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