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神様?いいえただの悪魔です。  作者: 次元
第2章:熱血学園編
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第24話:アイリスvsアリスVol1

今回は少し短い。

決してやる気が無くなったわけでは無い…と言っておこう。


翌日の剣術授業


授業とは?

模擬戦とは?

練習とは?


そんな疑問を浮かべた昨日の出来事を思い浮かべながらアリスに対峙する。


「じゃあ始めるよ? アリス」


「よし! 来い!!」


アリスの掛け声は戦闘訓練をするときのカノンの掛け声とダブった。


アリスは掛け声と同時に体内で魔力を練り上げると瞬時に魔力の光が現れる。

あれは"グランドプロテクション"の光。


早くもアリスは戦闘モードだ。

いや戦闘モードと言うか決闘モードだな。

でも"スフィア"を出さなかっただけ、やっぱり訓練の一環なのかな?


よしよしと安堵した俺も"グランドプロテクション"をかけるが…フッと不安が脳裏をよぎる。


"アリスの本気か…何か危ないがする"


チラリと見学者の方へ視線を向ける。

俺とアリスの"グランドプロテクション"で騒いでる連中が視界に入る。



ついでにここに居る全員に"グランドプロテクション"をかけた。

そして念には念を入れて校庭全体を"スフィア"で覆った。


それ程までに、本気になったアリスは何をしでかすか分からないし予想がつかない。


見学者は自身を覆う"グランドプロテクション"に気が付いた人たちは俺の魔法に驚愕としている。

防御型魔法の最上位である"グランドプロテクション"を複数人に同時発動可能な術者は王都にも存在しない。

そんな俺とアリスの真剣勝負から生徒はもちろん、先生達も目が離せないでいる。

で、気がついた人は当然気が付いてるが…


「なんじゃ? この気配…スフィアか!」


次の瞬間、ドタドタとノックもしないで学園長室に駆け入る出来る女の代表である副学園長。

出来る女なのだがその慌て具合と表情は、ただの慌てる女性講師に見えなくもない。

それほど焦燥したような感じだったと後に学園長から言われて膝から崩れ落ちる副学園長なのだがそれはまた別の機会に。

そして、副学園長の怒りと慚愧は俺に向く事になるのだが、それもまた別の機会に…。


話を戻そう。

学園長に凸してきた副学園長が叫ぶ。


「学園長!」


そんな副学園長の様子とは正反対に冷静を装う。

軽く目を瞑り右手で顎髭を数回撫でると、最適解を口にする。


「多分…いや、間違いなくアイリスかアリスじゃろう。そう言えば今日はアイリスとアリスが模擬戦を行うとか」


「あ、そう言えば、昨日珍しくアイリスが愚痴を言ってましたね」


この頃には副学園長にも冷静な判断力が帰って来たのか、グラウンド方面に張られた"スフィア"の魔力を観察する。


学園長と副学園長以外にも"スフィア"を感知した人物が複数存在する。

そこには当然のようにジーク先輩も含まれていた。


"こ、この気配…まさかスフィアなの…か?"


他の生徒がアイリスとアリスに釘付けなのにジークと複数の講師はグラウンドを覆う魔法に視線が泳いでいた。



「いくよ! アイリス!!」


「よし!!」


その言葉に、アリスが正眼の構えからまっすぐ突進し、右上段から振りぬいてきた。


そのまま剣を交差し受け止めたが、これはフェイクで俺の死角であるアリスの背後に恐ろしいものが浮いているのが確認できた。

と同時に『スタンアローレベル4』を唱えた。


「ええええ!!!!」


とっさに俺もタブレットを呼び出し『マジックバリアレベル4』を唱えてスタンアローを回避する。

今のはマジでヤバかった…ってか、アリスさん?

この子、簡単に約束破ったぞ。

しかもこんな見学者の多い状態で!


「アリス…マジ?」


禁断の魔法(タブレット魔術)を使用してきたアリスを咎めようとしたが


「最初から本気の真剣勝負って言ってたでしょ!」


と強い口調で言い包められてしまった。


これはまずい事になった。

マジで真剣勝負だ。

本気の真剣勝負だ。


アリスの目が怖い…。

そしてみんなの目が痛い。


俺は元々剣士ではなく補佐する立場だったんだけどな…剣での最強を目指していたのはカインだ。


ああカイン懐かしいな。

カノン、カイン、アル、アスラ…大昔の想い出が走馬灯のように駆け巡る。

…生きていたらまた会おう!


って死期を悟ってどうする!


「アイリス、何か余計な事を考えてるでしょ?! 真剣勝負なんだからね!」


何を考えていたか分からないが雑念と言う事は分かってしまった様で、アリスに怒られてしまう。


「じゃ…本気で行くよアリス」


「うん!!」


全く…こうなったらアリスもアスラも変わらんよな。

俺は気を引き締めて心の中で気合を入れる。


よし…行くか!!

こうなったら回復・補佐役の技を極めた俺の力を出すしかないな。


「ビーフアップレベル4、スタンアローレベル4、ダークネスレベル5」


勝負は一瞬だった。


ビーフアップで肉体強化を行い、魔力を電気信号に変換して脳からの指令よりも早く腕に命令を送る。

その際、電気信号で痺れるのも、限界突破した筋肉が痺れるのも痛いのも嫌なので腕にフルキュアを同時掛け。

と同時にタブレットから二節棍を取り出しダークネスレベル5で二節棍の片方を覆い隠す。

その二節棍に放出しないスタンアローを縫いとめておく。


木刀と思わせた二節棍の根元側を木刀と錯覚させアリスに切りかかる。


アリスは木刀と思い込んで木刀で受けるが目に見えていない二節棍の片割れがアリスの背中にヒットする。


「がっ!!」


背中にヒットした瞬間、スタンアローがアリスに電撃+マヒの攻撃をする。

その瞬間アリスが倒れた。


勝負ありである。




そして、何が起こったのか分からない観客は一斉に「「「おおお!!」」」と歓声を上げた。


ジーク先輩も笑顔で近づいてきて肩を叩きながら「今度は俺と模擬戦ではない真剣勝負(・・・・)を頼むよ!」と言ってきた。


何やら背中に冷たい汗が流れる気がしたが、アリスを視界に収めると我に戻るや、すぐアリスにフルキュア―をかけた。


アリスはすぐに目を覚まし「また…負けた~悔しい~~~」と言葉とは裏腹に満足気な顔で言っている。


「やっぱりアイリスにはまだ敵わないか~…でも次は勝つからね」


ビシッと人差し指をこちらに向けるとドヤ顔で再戦の約束を言ってくる。

どうやらアリスの中では確定と言うか決定事項らしい。

が、その前にアリスさん?

次はこっちの世界の魔法を使いましょうね。


端から見学していた皆さんには、俺が何をしたのか理解できる人はいないと思う。

それこそジーク先輩でも理解は出来ないだろう。

なぜならば、タブレットは扱える権限者もしくは参照権限が無ければ目に見えないからだ。


始めは使う気なんか毛頭無かったのだが、アリスが不意打ちと言うか予想外に使用したからだし。

その前にタブレット魔法なんて使ったらアスラに起こられるんじゃないか?


我儘アリスも偶には痛い目を見れば良いのさ!

その意志返しと言うか今後もアリスには負けないし負けるつもりも無いけどね。


とりあえず今回の俺のコンボを見破った人は居ないという事で安堵の溜息を吐き出す。

この世界の魔法+タブレット魔法+タブレット武器召喚のトリプルコンボで繰り出した結果、皆さんの目に映ったのは『木刀を一振り』だけだったのだから。


で、当然と言うかなんと言うか。

タブレットの使用についての応用を教えろとアリスに責められるのだが


「何でも俺に教わってたらいつまでも俺を超えるなんて難しいんじゃない?」


って言葉に妙に納得したようで、それ以降あまり俺に聞いてこなくなった。

代わりにと言っては何だが一人で特訓しているようなのだが…


アリスさんよ、タブレットは使わない方向でお願いします。


さてさて、そんな真剣勝負…と言っても、俺にしたらまだまだ本気の部類でもないのだが。

先輩や講師にはそんな風には映っておらず、只々俺とアリスは化物と言う印象が広がった。


結果、それ以来俺たちに剣術でも魔法でも高圧的に絡んでくる輩は後を絶った。


ただ一人、ジーク先輩を除いて、であるが。

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