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神様?いいえただの悪魔です。  作者: 次元
第2章:熱血学園編
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第21話:アリスの特訓

さてさて、今日も手直しを頑張るかと席につく。

「このバグ修正お願いします」

「こっちの評価もお願いします」

「クライアントからの連絡です」

仕事(執筆)させろー(え?)

試験が終了したその日の夜。

寮の部屋にスージーやハッシュたち1年先輩の同級生が集まっていた。


「やっぱりお前らはスゲーな!」


「アイリス! 今度魔法教えろよ!」


「あたしも魔力は分かったんだけど螺旋とか良く分からなくって」


「じゃぁ今度からここで魔法の特訓しようぜ!!」


「魔法だけじゃなく剣術も教えてくれよ!」



別に教えるのは良いんですけど僕の意見は無視ですか?

アリスも笑顔で喜んでいるから否定はしないがアリスの特訓は…地獄だぞお前ら。


特訓はアリスが納得するまで終わらない。

それはアリスから見た他人であっても、一切の妥協を許さないからな。

そして教えてる側もそれ(・・)は例外でないようで、何度も何度も何度も何度も―――…出来るまで教えなくてはいけない。


だから俺をその特訓に巻き込むな!


こうして1学年生は2学年生に進級した。

そして俺とアリスの同い年の後輩が入学してくる。

同い年の後輩って言うのも何だかむず痒いが、俺とアリスもこれから10歳以上の年齢差がある大先輩達と体術や魔法を学ぶのだから先輩達と同じ心境か?

いや、違うか。


そんな俺たちも魔法と剣技以外の授業は皆と同じ授業を受ける。

だから寮の部屋も変わらずみんなと同じこの階のこの部屋だ。


2学年になり勉強も少しずつ難しくなり魔法の難易度も上がる。


スージーやハッシュが言い出した特訓も今は2日目。

後悔してももう遅い。

本当の地獄はここからだからな。




特訓初日の参加者はスージー、ハッシュを筆頭に8名。

この部屋の常連なのだが16m2(10畳ほど)の部屋に総勢10名はどう考えても狭い。

そして暑苦しい。


そこで寮のエントランスを使用していたのだが、寮生からうるさいと苦情が来たため学園の大広間の一角を使用した。

それもそうだろう。

アリスの成果到達点に達しない限りは特訓なんて終わりを見ないのだから。


学園の大広間を使用させて頂くので当然ながら学園長と副学園長には承認取得済み。

承認済みなのだが条件が付けられた。


「その特訓とやらにワシか副学園長が立ち会いが条件じゃ」


2日目の今日はとりあえず副学園長が保護者として同伴するのだが、この特訓が行く行くは講師をひいては学園全体を巻き込み拡散していくのだがそれはまた別のお話。




参加者の魔力を俺とアリスが本人承認の後、ライブビューで一人一人見ていく。


スージー(女)

魔力:384

属性:ヒーラー

加護:なし


ハッシュ(男)

魔力:267

属性:剣士

加護:なし


ローグ(男)

魔力:324

属性:ヒーラー

加護:なし


キャサリン(女)

魔力:358

属性:剣士

加護:なし


ポーラ(女)

魔力:367

属性:魔術師

加護:なし


ロイス(男)

魔力:283

属性:結界師

加護:なし


ルイーズ(女)

魔力:374

属性:ヒーラー

加護:なし


モンド(男)

魔力:312

属性:弓師

加護:なし


皆、可もなく不可もなく、ごく平凡な魔力だ。


授業でも習っていることもあり、みんな自分自身の魔力の流れはつかんでいるようだ。

あとはその魔術をどのように練っていくか、そして発現させるかが課題となる。

と言っても6歳の下級生徒には魔術発動自体高難易度で本来であれば12歳の授業なのだ。


そんなのお構いなしとばかりにアリスが特訓初日の課題を発表する。


「じゃあ、みんな今日の課題はキュアね」


アリスがいきなりの無茶ぶりをする。


みんなも声を合わせて


「「「「「ええ!!??」」」」」


とか言ってるし。

それでもアリスはケロッとした顔で


「大丈夫だよ! 私でも1日で覚えれたんだから!」


と言われるとまたまたみんなも声を合わせて


「「「「「ええええ!!??」」」」」


とか言ってる。

1日で出来たと言われても全然現実味を感じないスージーは一般論を確認する。


「でも、キュアって12歳の魔力科修了課題じゃない?」


「そうだよ、5歳とか6歳とか下級生徒が覚えられないよ!」


「いやいや無理だよ!」


「まだ学園で魔力を感じる事しか習ってないのに!」


みんなが否定の言葉を述べている。

確かに魔力を感じる事が出来るだけでも優秀な部類なのだがアリスは魔力を感じるなんて当たり前と言うか"何言ってるの?"って顔をしてる。


ふう…ヤレヤレ…みたいな顔をした後、アリスは一人一人に"ビシッ!"って擬音が出る位の勢いで人差し指を向ける。


「みんな魔法覚えたいんでしょ? そのための特訓でしょ? アリスだって出来たんだからみんなもできるよ!」


なんて鬼畜な事をこれでもかのドヤ顔で答える。


「みんなだって、空気を感じる事は考えなくても息をすることは出来るでしょ? 水に入ったら教わってないのに泳げるでしょ? それと同じよ」


アリスの言いたい事が的を得ているのか、見当違いなのか、イマイチ掴みづらい所ではあるが、みんなも「む~」と考え込んでいる。

ハッシュに至っては騙されやすいのか「そうだよな!?」とか言って納得してるし。



確かにアリスがキュアを覚えたのは1日だけど、問題はその時点で加護が付いていたのかどうなのかだろうがな。


加護が付いていなかったらすぐに魔法なんて覚えられないのでは?

そんな疑問が頭をよぎる。

しかし俺は極力、アリスの特訓に口出しをしたくないので苦笑いで無言を貫く。


あの時は、俺がアリスの魔力の螺旋の描き方を教えて…あ! アリスさん、そういう事?


「ねぇアリス?」


俺は出したくない口を思わず出してしまった。


「なに? アイリス」


「もしかして、俺がみんなの魔力を読んで螺旋を教えろと?」


「大丈夫! アリスも手伝うから」


そうか、俺はもはや他人事では過ごせないんだ…。

アリスにとって俺の特訓参加は無条件で強制参加だったんだ…やっぱり地獄の特訓になるんだよな。

みんな大変だな~って傍観を決め込んでいた俺の浅はかさよ。


アリスの性格上"今日の課題"って言った時点で今日中に"みんなキュアを使える状態"にするつもりだろう…。


そして、あの時も俺が教えた後に徹夜でキュアをマスターしたのだからな。

当然、俺を含めたみんなも徹夜が確定した瞬間だ。


はぁ、アリスさんや…5歳6歳に徹夜はきついんだぞ?

みんなはアリス並みの負けん気の強さは持ってないんだぞ?


「じゃあやろうか!」


アリスは皆の成功している姿が瞼の裏に浮かんでいるのか非常に晴れやかに特訓開始を告げる。

アリスの言葉にハッシュが「やってやる!」と気合で答え、他のみんなもそれに合わせて「よ~し!」と気合を入れていた。


みんなは数時間後にその気合は消えて後悔だけが膨らむのであった。


後悔先に立たず…とはよく言ったものである。

いや俺は前もって後悔してたけども。


とりあえずやるのならやろう。

今日の徹夜は確定でも2日目まで尾を引きそうな事案なので俺も俺の為に頑張ろう。


男チームは俺。

女チームはアリスが担当する。

そしてなぜかチーム対抗戦みたいになっている。



「ねぇ、アリス、みんなも疲れてるし、今日はこの辺で…」


ダメもとで皆には福音となろう提案をするのだが


「なんで? まだキュア誰も覚えてないよ? 私は使えるのにみんなが使えないのは悔しいじゃない!」


本気で疑問に思ってるアリスには何を言っても無駄。

それこそ目の前に小さなアスラが居る様な錯覚に陥る。


それにアリスさんそのお言葉、それ完全な独りよがりです。

悔しいのはアリスさんだけです。


「でも、スージーはあと少しでキュアが出来そうだよ?」


「え? そうなの?」


突然アリスに言われてスージーは目を見開く。


「うん。スージーのここの魔力をもう少し滑らかにすればすぐだよ」


「それが難しいんだけど……滑らかに…螺旋を………滑らかに、キュア!」


ポウと、手のひらから緑色の光が出る。


「あ!」


「あ! やったねスージー!!」


「出来た! アリス出来たよ!!」


アリスとスージーはお互いの手を取り合って跳ねまわっている。


その後、ルイーズもキュアを覚えた。

一人が出来始めると、次々とみんなが出来始めるのはお子様の不思議。

勢いとは怖いものですね。


一番最後まで難儀していたのは我らがリーダーのハッシュだった。


対抗戦はヒーラーの多い女チームの勝ち。

一番気合の入っていたハッシュだったが「俺は剣士なんだからキュアなんて覚えられないんだよ!」と、気合が乗りに乗っていた始まりと同一人物かと疑いたくなるようなセリフ。


剣士だろうが何だろうがそんなの関係ないアリスにとって、全員が"キュア"を覚えられなければこの特訓は終了しない。


『分かってるわよね?』


と言わんばかりのアリスを含むキュア成功者たちの視線に、喉から無理矢理声を出しましたって声で答え、ハッシュに懸命に『キュア』を覚えて貰えるよう努力する。

俺は魔力の巡りが悪い所を俺の手のひらを当てて指示しようとしたのだがハッシュの魔力に微力ながら変化が出たのを感じた。


「…あれ?」


「ど、どうした…アイリス?」


魔力の操作に焦燥しきった顔を向けるハッシュ。

その顔は最早『気合とは何ぞや』『男とは何ぞや』と男塾3号生、鎮守直廊・万針房番人独眼鉄みたいな事を言ってみたくなるハッシュの表情に苦笑いしながら


「ん~とね…」


と煮え切らないような返答をしながらハッシュの腹部に手を当てる。

ダメ元でハッシュの魔力の流れが悪い所を無理やり俺の魔力を注ぎスムーズに流れるようにイメージしたら突然ハッシュの魔力の流れが良くなった。


これは…?


「おいアイリス、急に魔力が…おま…何か!?」


自身の魔力の奔流を感じたのかハッシュもどうしていいのかオロオロしている。

それもそうだ。魔力の流れは血液の様な圧力で押し出されるものではなく個々の細胞から湧き出てくるようなイメージだ。

自然と体温も上昇し頬も紅潮している。


「ちょっと待ってね……今! "キュア"を唱えてみて!」


突然振られた言葉にアタフタしながらハッシュはキュアを唱えながら掌に意識を集中させる。


「き…キュア!」


ハッシュの手のひらから緑色の光が出る。


「おおぉ!! アイリス!! 出来たぞ!!!」


自身の掌の光を見ながら飛び跳ねるハッシュ。


「やったね! ハッシュ!!」


二人でハイタッチをする。ハッシュはそのままの流れで全員とハイタッチする。

ハッシュが異様にハイテンションとなっている。


「俺も剣術科だけじゃなく魔法科も行けるか?」


ハッシュのこの言葉に、他のみんなも釣られるようにそれぞれの夢を口にする。


「俺も王都に行けるのかな?!」


「私も行けるんじゃないの?」


などなど希望に満ちた会話をしている。


そこでニコニコのアリスがテンションの上がっているみんなに衝撃の一言を発する。


「じゃあ、明日はファイヤをマスターしてみる?」


アリスのその一言に「え…」「あ…」「いや…」と煮え切らない返答をしている。

分かる。分かるよ。夜中もぶっ通しで特訓してるんだからみんなの戸惑っている気持ちが良く分かる。


「ねぇアリス。明日からはもう少しペースを落としてゆっくりやろうよ」


俺の言葉にみんな頷いている。

が、頷きと同時にハッシュからツッコミが入る。


「明日もやる前提かよ!」


当たり前だ。

アリスがやる気…いや、やる前提で話をしてるんだ…もう、逃げられないんだよ…だから言っただろ? 地獄だって。


いつ出来るか分からないのに、出来るまで終わらない。ただ単に時間を過ごせば良いと言う話ではない。

出来るまで終わらない。

結果を伴わないと終わりが訪れない。

だから地獄なんだよ。



―――――もうすぐ夜が明ける。


体感時間的には凄く充実している事もあり、みんなもとても短く感じただろう。

しかし徹夜と言う事に替わりは無く睡眠時間が殆んどない状態で明日も同じペースは無理だろ。


その前にみんな授業大丈夫か?


本日の授業…特訓参加者は眠気を抑えながら授業を受けている。

ハッシュなんか、あれ完全に寝てるだろ。


先生がチョークを指先で弾くと一直線にハッシュの頭に直撃させる。

うむ。無駄に凄い技術だ。


高等科の生徒が試験中でも俺たちは普通の授業中。

俺たちの魔法の授業はいつも学園長と勉強していたから皆と魔法の授業は久しぶりだった。


何でも学園長は試験を見守らなければいけないとか。

と言う訳で俺とアリスの特別魔法授業は中止。


今日は皆と魔法授業を受けていた。

そしてなぜか副学園長もここに居る。


俺たちに魔法を教える為だとか何とか……妙に笑顔な副学園長が怖い。



でもその日の魔法授業中に事件が勃発した。

恐怖の特訓を受けたスージー、ハッシュを含めた8人が全員キュアを使える事をみんなに自慢したのだ。


7歳でキュアが使える事自体ありえないこの世界。

そのキュアを使える一般児童が1日に8人も現れたのだ。


それには副理事長も講師も驚愕だった。

もちろん学園を含めた今後の教育方法や方針に係る大問題なのだが目下おれの問題は"今日も眠れないのでは"と言う方が問題だったのだが。

そしてその考えをに同調する8名の男女。


スージーやハッシュの話を聞いて「俺(私)にも教えて」と訴えてきた生徒はクラス全員。

約30名に教えるのか? と思っていたら

アリスの軽い「いいよ!」の一言で引き受けてしまった。


俺はがっくりうな垂れる…徹夜2日目が確定した瞬間だった。

仕方がない、ハッシュに使った魔力を強制的に循環させて魔法を発現しやすくする状況を作り出そう。

そして俺の睡眠時間を自分で手にするのだ!



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