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神様?いいえただの悪魔です。  作者: 次元
第3章:死者の星
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第85話:ユウコりんという少女

ユウコりんの過去が!?

少し長いですけどお付き合いお願いします。


そんなわけで続きをどうぞ


―――私、一条裕子は物心つく前から戦場にいた。


戦場と言っても、親に捨てられたわけでもなく、親に見放されたわけでもなく、寧ろ親の愛情を一身に受けて育っていた。

だから日本に居るのかアフリカに居るかの違いだけで、親がアフリカに居てその場所で紛争が在っただけ。

紛争があるから子供を日本に残すと言う選択肢をしなかった父親と母親はどんな場所でも子供を育てる事に妥協はしなかった。


ただその親の仕事柄と一貫した信念と斜め上を行く教育方針を持っていただけ。


日本の常識では考えられない非常識極まりない思考も、当の両親は分かっている。


戦争をしている国にも生活している一般人が居て、家族が居て、子育てをしている。

戦争はそんな無関係でその国に住んでいると言うだけで男も女も老人も子供も分け隔てなく死が身近にあるだけ。


そんな場所でも住む人たちにはそこに住む理由があり、逃げ出したいのに逃げ出せない理不尽な環境がある。


そんな劣悪な環境でも、例えどんな場所でも良くも悪くも逞しく生きて欲しいと両親は願った。


愛の溢れる家庭と愛が枯渇した環境。

どちらも人間の営みであり本質である。


戦争のある国では自分が生きる為に人を殺すことが当たり前となっている。

人を殺さなければ自分が死ぬ事が当たり前になっている。


そんな常識を両親は教えたかったのではない。

そんな常識を非常識にするため、死が当たり前に存在するこの国に入国した。


自分が生存する為に人を殺さなければならないのであれば、自分以外は全て殺さなくてはいけない。

そんな常識を非常識にするために。


一個人が一夫婦が、ましてや子連れの夫婦が何を寝ぼけた事を。

そんな事で紛争が、戦争が終われば苦労はしない。

一国の代表者であったり友が死んでゆく現実を目の前にして尚も戦地に向かわねばならぬ戦闘員にしてみたら夢のようなバカげた話だ。

しかし、この子連れ夫婦は夢を夢と見ていなかった。

夢を現実として戦場に降り立った。


この頃には齢5歳と言えど、子供のスキルは一般兵の射撃よりも正確で、各種兵器の使用方法も扱い方法も熟知していった。

この地に数年も居ると自ずと使用火器や戦闘車両の扱い、ヘリやVTOL機の操縦も玩具を扱うように覚えた。

大人の1年と子供の1年とでは、全く同じではない。

子供の1年とは濃密過ぎるほどに濃密で、詰め込まれる情報が多すぎて大人になったら忘れてしまうほどである。

この頃にはほぼ戦場での作戦を指揮する上での最終結果も、幼いながらに理解が出来るようになった。


だから余りにも無謀で胆略的な作戦には最大限に子供の立場を利用し修正を加える。

両親は自分の子供の発言を理解した上で、子供の発言を最大限利用し尽くした上で司令部の作戦を方向転換させる。


普通に聞けば無理難題で極めて政治的背景が絡む内容なのだが、その事を踏まえての修正なので時の大統領だろうが総司令だろうがこの夫婦は権力者の暴走を許さなかった。

既に人外な能力を持つ夫婦に対抗できる部隊は無く、両親に追随するように人外への道を歩む子供にさえ対抗できる組織は無かった。


その両親は古の時代に伊賀・甲賀と呼ばれ、忍術と呼ばれる人外の術を継承している。

そして、その子も例外なく。


海外に諜報員は数多く存在する。

それは日本とて例外なく、各組織に諜報機関は存在する。

しかし、表だった諜報部員では無く、裏で人知れず暗躍する事から忍ぶ者として古来より忍者(しのび)と呼ばれている。


忍者に銃器は効かず、忍者に計略は通じず、忍者に屁理屈は通じず。

忍が仕える殿に敵対する者生き残る事叶わず。

時の大統領は、極東の小さな島国が強大な大陸を制する大国に牙を向けて無事で済むはずがないと思っていたが、追い込まれているのは自分たちと思い知る。

それ程までに日本とは例外多き国なのだ。


そして、いつものように人知れず争いは収束してゆく。

忍者と呼ばれる影の存在も知らぬままに。

忍者と呼ばれる夫婦と子供の存在など知らぬままに。



「―――これが私の過去よ」



ユウコりんは銃の整備をしながら淡々と自分の過去を語った。

その想像もできない修羅場を懸命に想像し、想像の中の出来事や境遇にみんなは絶句する。


そんな状況でも淡々と銃の整備をするユウコりんを背後から抱き締めるまゆゆ。

小さいほうのまゆゆはユウコりんの言ってる事に理解が出来ないようだが、ユウコりんが黙々と淡々と行う銃の整備に興味があるようでその様子をジッと眺めている。


抱き締めたまゆゆも、そんな境遇で幼少期を過ごしたユウコりんに何と声をかけていいのか分からず、目を強く瞑りただひたすらに抱き締めている。


俺は宏樹のバツが悪そうな顔や、そんな宏樹を心配するハルちゃん。

目を大きく見開き驚愕の表情を浮かべる美智子さんとノンたん。

机の上で握りコブシを更に強く握るキヨシ。


皆の表情をひとしきり眺めた後、溜息ひとつ吐き出しユウコりんに声を掛ける。


「………で、本当は何で沖田さんの事知ってるの?」


「お、おい」


宏樹がユウコりんのつらい過去に更に追い打ちをかけるのかよ?

もういいだろ?

充分だろ?

もういいじゃねーか!


って顔をして俺の方を見る。

その姿は今にも俺の襟首を掴まんと前のめりになり、表情険しく顔も赤い。

明らかな怒りを感じる。

宏樹のこんな表情も珍しいなと繁々と見てしまうと吹き出しそうなので敢えて視線を逸らした。

宏樹も視線を逸らされた事で、俺が反省していると思ったのか椅子に深く座り直す。


背後からユウコりんを抱き留めているまゆゆも『そうですよ!』って顔をして俺を睨む。

他のみんなも、敢えて口には出さないが宏樹の言葉に賛同しているのが窺える。


その様子に俺は鼻から息を『ンフ~』と吐き出すと、まゆゆにコーヒーを淹れて貰うように頼む。


私が今裕子ちゃんを抱き留めているのは裕子ちゃんの心の傷を癒す為なのに…。


と明らかに表情が強張っているのだが、反論するでもなく、まゆゆは抱き締めた腕から力を抜きコーヒーを淹れて戻ってくる。

お盆の上には各人専用のマグカップが乗っている。

まゆゆはブラック派の俺と宏樹と美智子さん用、砂糖ミルク大目の小さいまゆゆ、ノンたん用、ミルク大目砂糖少な目のユウコりん、自分用まゆゆ、ハルちゃんキヨシ用をそれぞれ配膳するとユウコりんの隣に座る。


俺はまゆゆの淹れてくれたコーヒーを一口含むと、再び鼻から息を吐き出す。

その風味は芳醇で、なぜインスタントなのにこんなに旨いのだろうと気分を落ち着かせる。

皆もまゆゆの淹れたコーヒーで落ち着いたのはホッとした表情を浮かべている。

俺はその表情を確認し再度ユウコりんに質問を投げかける。


「………で、本当は何で沖田さんの事知ってるの?」


再びみんなの顔がこちらに一斉に向く。

それも若干怒気を含んだ表情だ。


当のユウコりんはマグカップを両手で包み込むように持つと『空気を読めよ』って顔をしてくる。


俺はまゆゆ特製コーヒーを再び一啜りして「はぁ…」と再び溜息を口にしてユウコりんに視線を向け


「いや、全部とは言わんが、作り話はそれ位でいいだろ? 何で沖田さんの事知ってるの?」


「あ?」


宏樹が椅子から立ち上がり俺に怒気を含ませた声を荒げる。

他の人たちも同様に俺を軽蔑する眼差しを向けてくる。


何でそんなこと言うの?

裕子ちゃん可哀そう!

お前は最低だ!

裕子ちゃんが嘘を言ってるとでも!?


一様にそんな感情丸出しの表情だったのだが


「あら、やっぱりバレちゃいます?」


当の本人から、今まで語った想像を絶する過去話が作り物だと宣言されると、今度は皆の視線がユウコりんに集中する。

目だけはユウコりんに向き、口元は酸欠状態の鯉の様にパクパクと動いている。

これこそ放心状態と言う奴だろう。


「そりゃばれるよ。何だよ忍者って」


「ですよね~、ちょっと風呂敷を広げ過ぎちゃいましたか?」


「広げ過ぎだよ! 悲惨さをもうチョット前面に押し出せば少しは信頼性も上がると思うけどね」


「そっか~、ま、私もそんな話を信じるなんて夢にも思いませんでしたよ…」


「…だよな? 普通はそんな突飛な話、信じる方がどうかしてるよ…な?」


そう言って、金魚の如く、鯉の如き連中を一瞥して、再びコーヒーを一啜りして溜息を吐く。


「………で、何で沖田さんの事知ってるの?」


ユウコりんは壮大な嘘物語を本気で信じた仲間たちに、先輩に申し訳なさそうに苦笑いを浮かべながら


「前に両親が自衛隊員だって言ったじゃないですか。私の両親、教導隊ってのに居てね。沖田さんもその時の教え子だったの。だから時々家に遊びに来てくれてたから知ってるだけだよ」


「へ~、両親が優秀だとその子供もこうなると…」


「鬼軍曹とか要らないからね」


「いやいや、そんな事少しも思ってませんですサー!」


「サーとか要らないから!」


なんて話をユウコりんとしていても他のみんなは中々再起動を果たせずにいたのだが「再起動後には怒られるのを覚悟しろよ。」と言うと、さすがのユウコりんも何となく空気を察し、降って来るであろう拳骨を想像して頭を擦る。


翌日、まだ痛むのか頭頂部を気にするユウコりんと、


「ごめんね~」


と優しく氷水に浸したタオルをユウコりんの上に乗せるまゆゆ。


「いや、麻由先輩こそ頭大丈夫でした? 私、こう見えて頭丈夫なんですよね」


そう言いながら、まゆゆが当ててくれた冷えたタオルをまゆゆの頭に乗せる。


その光景にほのぼのする俺。


あの後、再起動を果たした面々から色々怒られ、ただただ謝るユウコりん。

そんなユウコりんに助け舟を出す俺。


「あんな与太話をすんなりと信じる方がおかしい」


と言ったら、皆も冷静に考え


「…そうだよね」


と賛同してきた。


ただ、まゆゆだけは心から心配したのか、話が嘘だと分かって安心したのか、安心したと同時に怒りが込み上げてきたのか。

ま、恐らく両方だろうが、拳骨を強く握るまゆゆ。

拳骨を貰うと思っていたユウコりんは身構える為に少し頭の角度を変えたのだが…

まゆゆの色んな感情がユウコりんへのハグと言う形を取った訳なのだが、運悪くと言うかタイミング悪く、ユウコりんとまゆゆの頭が衝突した。


何というか、本当の姉妹みたいだった。


ユウコりんが冷やされたタオルを頭の上に置きながら自衛隊の沖田さんから託された無線機で通信を行っている。


ユウコりん以外はいつもの如く、水耕農園で野菜の成長を見守りながら収穫したり。

近くのガソリンスタンドでガソリンを調達したり、付近を警備したりしていた。


全ては明日の作戦の為だ。


夕食時、本日の作業報告を各々説明する。

一番ほのぼのしたのは、大きいまゆゆと小さいまゆゆが一緒にお風呂掃除をした話。


一番気を引き締めたのは、鬼軍曹の表情で明日の作戦内容を淡々と話した内容で久しぶりに緊張感のある夕食だった。


話の内容は

①ユウコりんのヘリからのミサイル斉射と駐屯地からの援護砲撃で縦田基地から一時的にゾンビを遠ざける。

②遠ざかったのを確認し、縦田基地内へ潜入。

③駐屯地からも縦田基地内に立て籠もる人たちに無線で状況を伝える。

④その間に縦田基地内に放置されている武器弾薬を強奪(これ内緒)

⑤縦田基地内にいる人たちと合流し駐屯地に誘導。

⑥並行して駐屯地の自衛隊員が基地のフェンスを修繕。

⑦再度基地内を砲撃しゾンビを誘導し基地内にゾンビを閉じ込める。


以上が今回の大まかな作戦。

俺達が一番注意しなくてはいけない個所が当然ながら④だ。

基地内だから当然武器はあるはず。

しかし現場を知らない俺達だけではどこに在るのか見当も付かない。

そこで一番役に立ったのが縦田基地内に立て籠もる人たちからの情報だった。


後は、建物内なのでゾンビに最大限注意を払う必要がある。


映画やドラマじゃないから暗闇から突然降って湧いたように襲い掛かっては来ない。

あいつらはいつでも人の肉を求めているからね。

こちらが隠密行動を取らなければ向こうも勝手に自分たちの居場所を教えてくれる。

唸り声でだけどね。


それに、何で一度は追い出したゾンビをまた基地の中に呼び込むのか?

皆がそこにツッコんできた。

話を聞いた沖田さんや自衛隊員の人々も当然の如くツッコんできたのだが。


「まだ武器が在るかもしれない基地に略奪者が来た場合、強力な武器を得る可能性も有ります。そうなったら、略奪者は鬼に金棒ですよ?」


と言う俺の言葉に「だったら、基地にも民間人を移せばいいのでは?」と自衛隊の人も進言してきたが


「何千人単位を一度に移動させるんですか? そんな大移動、ゾンビだって気が付くほどに大仕事だよね」


「確かに、移動用の車両だって手配しなきゃならんし…」


「うむ、民間人に武器を持たせるわけにもいかんし…かと言って警備が出来るほど自衛隊側も人手が多い訳でも無いし、話も通じない暴徒(ゾンビ)とは言え民間人に銃を向けるのはどうもな…」


渋々だがみんなも納得した。

と言う訳で、各々の役割分担。


ユウコりんはヘリの操縦兼無線での指示発令。

俺とまゆゆは国道側ゲートの監視。

宏樹とハルちゃんは国道側ゲートとは反対側ゲートの監視。

美智子さんとキヨシは俺と宏樹からの報告後、基地内に入り取り残された人たちの救出と回収。

そのまま自衛隊が警備するシェルターへ送り届ける事。

俺と宏樹は用意していた車両で武器弾薬の回収。

ノンたんと小さいまゆゆは自宅警備。


ノンたんも作戦に参加すると言っていたのだが、小さいまゆゆの御守りと騒音が鳴り響く事によるゾンビの動向が不明慮なため、自宅屋上で警備をしてもらう事で落ち着く。

何より、ノンたんはこう見えてユウコりんやまゆゆに負けず劣らすの射撃の名手。

近接戦闘は未知数だが、遠距離攻撃は俺より高ポテンシャルを保持している。

だから安心して任せられる。


ノンたんと呼ばれる少女は美智子さんと同様フォレストタウンで保護した一人。

ユウコりんと同学年と言う事もあり、ユウコりんと意気投合するのは早かった。

それでも襲撃者の恐怖はトラウマとなっていた様で、笑顔は見せるが表面上の笑顔でしかないと誰もが気が付いていた。

凌辱を免れたノンたんと凌辱を受けた美智子さん。

この差は大きいものだが女性としての年月を重ねた美智子さんと、女性と言うより少女の年月しか重ねていないノンたんでは受けた傷は同じようで、同様に自身が強くなくてはこの世界を生き残る事は出来ないと心に強く誓わせる。


妙齢の女性は一回り違うパートナーを得て知識と経験そして生き残る事に尽力する。

それは、生きる上での娯楽なのかもしれないが、衣食住の内、食に関して多大なレパートリーを持つ。

それは絶望する世界において空腹を見たし気持ちを満たす正にオアシス。

美智子さんはこの死が隣りあわせの世界での俺達の母の様な存在。

これを言うと俺と宏樹にしたらあまり歳が離れていないから怒られそうなのだが、いつまでも子供な俺達にしてもやはり母で間違っていない。


少女と言う殻から抜け出す年頃であるノンたんには知識と経験が無い。

心を満たす調理方法も料理も知らない。

しかし、ユウコりんと言う教官を得てサバイバル術をスポンジが水分を吸収するが如く知識の宝庫へ収めてゆく。

その知識が特に生かされるのが銃器の取り扱いと射撃術だった。

長距離射撃であれば多少、団体さんで訪れるゾンビに対してもなんら遅れはとらない。


美智子さんとノンたんの長所両方を持ち合わせるまゆゆと、こと戦闘に関して人外の戦力であるユウコりんが味方であることでこの世界は勝ち組。

いや、この世界で生きるチートと言ってよいだろう!


本当に、女性は…母は強しだ。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


宏樹達が基地の偵察時に使用したマンション屋上に到着する。


先にヘリでホバーリングしてゾンビを誘導したおかげか、マンション近隣にゾンビは居なくなっており、何の障害もなく到達する。

屋上から無線で知らせると、別ゲート監視部隊である宏樹からの無線が聞こえる。


「こっちも屋上に到達したぞ」


屋上から見たその光景に絶句する。

マンションから基地まで数100m程。


ユウコりんの誘導でマンション付近のゾンビもみんな基地内に集まって行く。

ノンビリであるが確実に基地内にゾンビは集結しつつある。


「もう基地内に砲撃した方が早くね?」


俺がそんな事を言うと


「それは自分が許可しかねる! こんな世界だが我々は自衛隊員であり日本国と日本国民を守る――」


「あ~、スイマセン。」

「沖田のおじちゃん。武志さんも冗談なんだから、真に受けちゃダメだよ~」


沖田さんはユウコりんが操縦するヘリにタンデムしている。

その沖田さんの吟じを心構えを信念を語り出したところで無理やり割り込む。


急遽、ヘリに搭乗したのにも理由がある。

簡単に言えば、ヘリからのミサイルでは足りなかった場合、ヘリから無反動を撃ったり、手榴弾落したり、駐屯地からの砲撃座標修正を指示するためなのだが、いざとなったら後部座席から地上へ向けての援護射撃も視野に入れているとの事。

日本国民に銃口を向けるには抵抗があるのだろうが、自衛隊員の言う"暴徒"に俺達が襲われるのを見過ごすよりは、守護者としての使命として武力行使はやむを得ないと無理矢理納得しているらしい。


簡単に言えば、軍事行動を起こしてまで仲間を救出するのに国を守る自衛隊の替わりに民間人が主導なのが沖田さんや駐屯地に残る隊員たちには我慢がならなかったようだ。

今まで国を国民を守る為に訓練をしていたのは何の為なのだと。

せめて指令を出す人は最前線で状況を見極める事になっての登場だ。



「って事で作戦開始~っ!」


ユウコりんのこれから軍事行動を行うには余りに軽い言葉で攻撃が開始される。


ゾンビが登場してから静寂が包み込む世界になって早数ヶ月。

そんな数ヶ月の均衡を破り、トチ狂ったヤンキーが基地から射出されたミサイルやロケットで盛大な終焉に花道を飾ったが、終焉の終焉を飾るのもミサイルやロケットだった。


上空を飛ぶヘリの音にまるで手を振っているようなゾンビ達だったが、数キロ離れた場所から鳴り響くもう一つの号砲で上空からと彼方から鳴り響く轟音で行動にばらつきが出てくる。

ヘリからも榴弾の着弾地点付近にミサイルを一斉射したところで駐屯地の方へ一目散に戻る。


ヘリの音でゾンビを分散させない為の処置だ。


比較的至近距離(数キロメートル範囲)を着弾地点に設定している為、爆発は少し時間を置いてからとなる。

程なくして、ヘリの音も発射された時の号砲も気にならない位の爆発音が響く。


屋上から眺めていると数キロ先の方でユウコりんが発射したミサイルの黒煙が上がっているが、その付近に狙い定めたように次々と爆発音が響き渡る。

その轟音でゾンビも我先にと爆発が響く方向へ歩き出す。


その姿は、急遽始まった花火大会を見過ごさない様にワラワラと集まる観衆の様だった。


一定時間ごとに射出される砲弾。

一定時間ごとに着弾し爆発音を響き渡らせる榴弾。


民族大移動の様にその音源を求めて移動を開始する。



何だかんだと総トータルで200話を超えました。

初投稿から実に5年の歳月が経過しております。

途中、放置プレイや逃避行など色々ありました。

おい、話が変わってるじゃないか!

何てお叱りもあるとか無いとか。


今後もノンビリ投稿してゆきますのでお付き合いください。


誤字脱字や矛盾等がありましたらご報告お願いします。

あと、こう言う風にしたら良いとかこんな展開も希望等ご意見ご感想もお待ちしております。

評価など頂けたら嬉しい限りです。

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