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神様?いいえただの悪魔です。  作者: 次元
第3章:死者の星
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第83話:大いなる野望

掃除してたらWiiが出てきた。

大昔にダウンロードしたスーパーマリオをやってみたが初めて1-1で死んだ。

老いとは恐ろしいものなりけり


ってことで続きをどうぞ

「お疲れ!」

「ただいま帰りました」

「「「「お疲れ様です」」」」

「お疲れっ」

「おかえりなさい」


「ただいま」

「ただいまっス!」


皆が、玄関から入って来るキヨシと美智子さんに帰還の労いを掛ける。


因みに普段は玄関に大人数で出迎えるなんてことはしない。

もしゾンビや生存者の襲撃だったらこんな狭い玄関に固まっていたら総倒れになるかもしれない。

身動きも逃げ道も塞がれた場所に留まるのは正解ではない。

本当に今日は特別なのだ。

特に美智子さんにとっては。


「送った後、色々物資を調達してきたんだべ? 何か目ぼしいのあった?」


「そうっすね、思ったより何もないッス! そもそも、前回、前々回で欲しい物持ってきちゃいましたっスからね」


基本的には美智子さんキヨシペアはトラックを使用しているが、俺が家出から帰還後は俺達が乗って帰ってきた冷凍車がメインとっている。


一時期は鼻も曲がりそうなほど悪臭を放ったカーゴ内は綺麗にされ匂いは気にならなくなっている。

元々この車を調達した時に新車同様な綺麗な状態だったし、冷凍がメインであるカーゴ内も、新車並みに綺麗で保冷装置も新しいと来れば誰もが納得の輸送車(実用車)だ。


縦田基地にゾンビが集まっているので散らばる前に流通センターやレストランを巡って食料を確保する必要がある。

そんな状況でこの暑い時期に最も重宝する。


「そうね。彼女たちが居なくなって使用されなくなったベットとか、持って来ても仕方ないでしょ? 使用済みのベットなんか使いたくないわよね。食料なんかは彼女たちに全部持たせちゃったから、あるとしたら日用品位な物よ」


美智子さんは美魔女的笑顔でそう言う。

確かに使用済みのベットなんか欲しくない。


「ですよね~。物資が本格的に口渇するのはあと数年後でしょ。逆に今は消費する人が居ないから有り余ってるもんな」


「ああ、後は劣化して結局使えなくなるモノが増えるもんな」


「でも、日用品は欲しいよね?」

「そうだね」

「やっぱり()()は必須よね」


まゆゆとユウコりんが何か話し合ている。

そこで二人に「どうした?」と尋ねたのだが、男には関係ないと一蹴された。

なるほど、男には話す必要のない日用品か。

確かに女性には必須だな。


宏樹は「ん?」みたいな顔だったが、ニブチン君には分からないなら分からないで良いこと。

俺は話を逸らすために美智子さんに提案する。


「今の内に冷凍庫とか増やしましょうか?」


「そうね」


俺と宏樹、キヨシと美智子さんが今後の事でどうするか話を進める。

野菜は隣の家で水耕農園で手に入るが、肉は…狩は出来るけど解体は俺には出来ない…。

グロいの無理! 映像や画像は問題ないがリアルは無理。


宏樹辺りだったら大丈夫そうだ…あ、無理ですか。

ってか、声に出してないのに何で宏樹は俺を見ながら首を左右に振っているんだ?


「なんで首を左右に振ってるの?」

「俺に牛や豚の解体とか無理だから」

「…何で俺の言わんとしたことが分かる?」

「そんな顔してた」

「そか…」


「何こそこそ話てるっスか?」


「いやな、野菜は隣で作っているけど、肉は狩をしなきゃ…って宏樹と話しててな」


「あ~狩もこれがあるから自分行くっスよ!」


キヨシは意気揚々とSR-25を持ち上げる。

確かに、狩猟用ではないが狩猟向きなのは分かる。


「まあ、狩は俺達が行くから良いんだけど…」


俺は宏樹に目線を移す。


「あ、ああ、俺も狩は大丈夫だ。何だったら罠を仕掛けてもいい…んだけど…」


と言いながら俺と宏樹は上目使いでキヨシを見る。

俺と宏樹からそんな意味深な視線を受け、片眉を上げ訝しげに俺と宏樹交互に視線を向ける。


俺はキヨシの左肩、宏樹はキヨシの右肩にポンと手を置き


「「頼んだ!」」


と丸投げする。

俺達からの頼みを受取ったキヨシは何を頼まれたのか良く分かっていない様子で


「え? 何スか? 何がっスか?!」


とキョドっていた。

そこにユウコりんが割って入り、キヨシに助け舟を出す。

未だ理解できてないキヨシに、ユウコりんは鋭く光る眼光を向けるとニヤリと口角を上げる。


「解体の仕方から下処理の仕方まで私が伝授してあげるわ」


「へ?」


キヨシは素っ頓狂な声を上げ、未だに理解していないようだが、ベテラン剥ぎ取り名人スキルを持つユウコりんの指導付きだ問題ないだろう。

別に武器防具に使うレアアイテムは必要ない。ただ美味しい肉が喰いたいだけなのだ。

問題は狩を行うであろう山奥に至るのに、道中橋が無くなっていたりする場合があるので、迂回に迂回を重ね通常3時間程の道を倍以上かけなくてはならない事。

橋が無いだけならただの遠回りで完結するから良いが、ゾンビが居て生存者が居てってなると、その遠回りの道程自体が生死を分けた死闘へと発展する可能性も有る。


と言っても、たがだかゾンビパニックから数ヶ月で山奥の野生動物が増える訳でもないし、今すぐに狩猟しに行く必要も無い。

って事で今度、川にカモが来たら数匹狩ってみよう。

炭火で炙って塩で頂く。うむ、考えただけでヨダレが出そうだ…カモに欠かせないネギも必要だな。

普段であれば、人はそれをBBQと呼び騒ぐ催しなのだが、今から数年後にはデフォルトな食事風景になる可能性がある。


俺達もワイルドな食事に慣れなきゃいけないだろう!

って名目で俺と宏樹は川にハンティングしに来た。


何故かライフルでは無く、スリングショットを片手に…


ユウコりん曰くライフルだと強力過ぎるし、ショットガンだとゾンビを呼んでしまうのでスリングショットを持たせたと言う事だ。

何より、スリングショットは本来、狩猟用の道具と言う事だったので納得した。

無駄に弾を使う事も無く、スリングショットのスキル向上にも役立って何よりだった。


しかし一番気の毒なのはキヨシだろう。

鳥ではあるが初めて動物を解体したのだから。


せっかくのオイシイ鴨肉なのに、暫く肉は喰いたくない様だった。

しかしそんなキヨシに一言言いたい。

師匠を見てみろ!


小さいまゆゆの隣でニコニコ笑顔で鴨肉を貪っているぞ?

お前の目指す域はこのレベルだぞ!?


何の慰めにもならないがとりあえず『要は慣れだ』と、蒼い顔したキヨシに心の中で叫んでみた。

あ、俺達は慣れる気は無いのであしからず…





今日は食料調達のため、各チーム(?)はそれぞれ、思い当たる場所へ食料確保へ向かう事とする。

宏樹チームに宏樹とハルちゃん、武志チームにまゆゆとノンたん、美智子さんキヨシチーム。

ユウコりんは小さいまゆゆとお留守番。

お留守番と言っても本当のお留守番では無く、生き残る為の知識を英才教育するそうだ。

数年後、第二のユウコりんが誕生すると想像すると、怖くもあり頼もしくもあります。

ってか、ユウコりんは誰にどんな英才教育を受けていたんだよとみんなが突っ込みたい顔をしていたのをユウコりんは気が付いているのか?


銃火器の扱いだけであれば、ミリタリーオタクで済ませられたのだが…とても両親が自衛隊員でミリタリーオタクでは済まされない事案が多数。

ハンドガン、アサルトライフルはもちろん重機関銃や迫撃砲、クレイモア地雷にロケットランチャーの扱いや整備の方法など熟知しすぎ。

車、バイクの運転にサバイバル術、どうやら格闘技系も心得があるようで。


ある時、指を握られそのまま上に引き上げられられた。

軽い力で関節に負荷がかかる。

あと少しで関節が外れてしまう状態となる。


「あ、あだだだだだ」


「ね? 格闘技なんて知らなくても簡単に生きてる人間なんて制圧できるんだよ」


って笑顔で言われたが、そんな事を普通に出来るのはユウコりんだけ。

普通の女子には思いもつかないだろう。

格闘技を学んでなければね。


俺は関節を逆に曲げられた指をスリスリする。


終いには航空機の操縦(戦闘機やヘリ)に船舶の操艦知識まで…何この子。

裏の世界でスイーパー(掃除屋)とかやってたの?


一度、本気でユウコりんに聞いてみたが「親に教えられた」とサラリと答えただけだった。

確かに親に教わったのかもしれないけど、ユウコりんの親も大概だな。

ま、ユウコりんについてアレコレ詮索しても無意味だしこの辺で終了しよう。


さて宏樹チームはレストランで物資の調達。

美智子さんチームは卸問屋の冷凍庫から物資の調達。

残る俺達は何をしようか悩んでいたら、フッと名案が閃く。


その事を家に残るユウコりんに相談すると、快諾はしなくとも条件付で賛成を貰えた。


「でも相手が居る事だし、向こうが賛成しなきゃそこで終了よ? こちらからそれ以上の追随はしないようにね。あくまでも、こんな案があるから乗らない? って感じでね」


俺はその条件に則り、スマホを取り出す。

通話の相手は駐屯地に居る自衛隊員であり、駐屯地の実質的代表者である沖田艦長…じゃなかった。

沖田1等陸佐だ。


「あ、もしもし、どうも、先日はありがとうございました。あ~いえいえ、とんでも無いです。ええ、ありがとうございます。あ、それでですね。少しお伺いしたい事がありまして。ええ、実はですね―――」


要約すると、縦田基地の救出作戦についてだ。

まず、駐屯地の戦力を把握したい気持ちがあって"駐屯地にどんな武器があるのか"名目上、縦田基地の救出作戦を提案した。

で、駐屯地に爆弾とかミサイルとかあるのか聞いたら、若干口を濁しながらもあると言う。

駐屯地の人は縦田基地で孤立している人たちを救出する用意があるのか聞いて見ると、行きたい気持ちは勿論ある。

しかし、現状を考えると行けないと言う事だった。

それを聞き俺は思わず口角が上がる。


「では、私たちが代わりにやりましょうか?」と提案してみる。


案の定と言うか、当然なのだろうけど、帰ってきた答えは


「民間人である君たちにそこまで―――」


と言いかけた所で、こちらも条件を提案する。


「こちらが提案したのですから、問題はありません。しかし条件があります。」


沖田さんの口調と言うか雰囲気が受話器越しに変わった。


「…条件とは?」


「今、それを言っても大丈夫ですか?」


沖田陸佐も何かを察したのか、


「む、そうだな…明日、こちらで話を伺う事はできますか?」


むむむ。

こちらに駐屯地に来いという事か。


「…今であれば、ゾンビ…じゃなかった。暴徒でしたね。彼らもばらけているから、逆に早い方が良いと思いますので、大丈夫です」


という事。

要は動くなら今でしょ!

ってか今しかない。


「了解した。では、明日(みょうにち)ひとまる…じゃなかった。朝10時に記念公園の西ゲートへ来て頂けませんか。」


西ゲート。

フォレストタウンの人たちを迎え入れた場所だったな。


「了解しました。宜しくお願い致します。」


俺は電話越しなのに無意味に敬礼なんてしてみた。

通話が終わり、正面のテーブルで聞いていたユウコりんに目を向けるとキラキラした目で見つめてくる。


「ね! ね! 本当にヘリとか提供すると思う?」


ユウコりんの中ではヘリで空の旅を満喫する事で頭がいっぱいなんだろう。

しかも駐屯地には存在しないミサイルや爆弾があるって事は、有事の際に集められた自衛隊の兵装があると睨み、撃ち放題? とか思ってるんだろう。

もうわかるよ。

でもね、問題がある。

ヘリを誰が操縦するのか?

武器を誰が使用するのか?

自衛隊員の随伴はあるのか?

寧ろ、自衛隊員が率先して作戦を実行するのか?


俺達民間人に自衛隊員が武器弾薬を渡すとは思えない。

しかもヘリなんて以ての外。

ま、そんな事があっても口八丁手八丁で頑張りますけどね。


ってか、ユウコりんがヘリの操縦をするって言って誰が信用するんだろうね?


ま、そんな急展開で急造仕上げの作戦は置いておいて、俺達は俺達の仕事をしましょうかね。

頭には浮かんでいたけど、今まで実行していなかった。

養鶏所で卵取り放題フェスティバルだ~!


問題は鶏が生きているのか…?


ま、そん時は、ほら、あれだ。

放牧されてる所でGETだぜ!


って事で、最近は少なくなった養鶏所へ


…只でさえ臭いのに、もう何と言うか…地獄ですか?

殆んどが死滅しておりました。


しかし、ど根性で生きてるのもチラホラ。

でも大問題!


鶏ってウルサイんだよね。

そう、鳴くんだよ。


そうすると、あるものが寄ってくるわけで。

そうです。

ゾンビです。


なぜかゾンビは人間以外を食さない。

しかし、音のする方へ本能的に足が向く傾向がある。


ま、今回は数は少ないから良かったけど、ゾンビって本当に人間しか食わんのね。

鳴いてる鶏に近寄ってはあっちフラフラ、こっちへフラフラ…

そんなゾンビのおかげで籠から抜け出せた鶏がエサに在りつけて生きてる訳で、俺達もそんな鶏の卵に在りつけて生きていられるわけで。

ゾンビも千害あって一利は在ったんだね。

いや、多すぎた人間が居なくなったことで空の蒼い事…確実に公害は無くなりつつある。

野生動物の乱獲も無くなるのだろうが、代りに人間が保護しなくては絶滅の恐れのある動物は絶滅するのだろうな…人間みたいに。


そんな事を思いながらステーキレストランで保護した肉と畑から収穫した野菜と卵料理をお腹いっぱい頂きました。


当然、明日の予定もみんなに報告したけどね。


誤字脱字や矛盾等がありましたらご報告お願いします。

あと、こう言う風にしたら良いとかこんな展開も希望等ご意見ご感想もお待ちしております。

評価など頂けたら嬉しい限りです。


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