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神様?いいえただの悪魔です。  作者: 次元
第3章:死者の星
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第82話:コンタクト

オリンピックが始まりましたが皆さんどうお過ごしでしょうか。

もともとチケットなんて当たって無いので気楽なものです。


それでは続きをどうぞ

落ち着くはずの喫煙が落ち着かない時間となってしまったがまあいい。

本当にこの人たちってば出来る人たちばかりで胸熱ですよ。


宏樹とハルちゃんに、にこやかなダレた顔を悟られ無いように先頭を歩く。

すると話し合いが終わったのかこちらに顔を向け立ち上がる女性陣。


その顔を見る限り、面倒な方向にはならないようで安心。

だが顔には出さないようにする。


「さて、どうするか決まりましたか?」


女性陣は俺の言葉を待っていたように頷くと


「宜しくお願い致します」


と一斉にお辞儀をしてくる。

俺もそれを受けて笑顔で


「分かりました。それではみなさん準備も必要でしょうから、30分後にここに集合して下さい」


と言うと、みんなはパタパタと小走りで準備を始める。


「自分と美智子さんはマイクロバスで待機してるっス」


「おう! 宜しくね。何かあったらすぐに知らせろよ?」


「了解っス! 美智子さん良かったっスね!」


「ホントよかった。この前なんか拒否するから諦めてたのにね」


「いや、自分は皆が避難するのが良かったって言う意味じゃなく、美智子さんに良かったねって言ったんっスどね」


「え?」


「だって、少なからず美智子さんは皆と居た訳でしょ? その皆を少なからず美智子さん心配してたでしょ」


「もう、キヨシ君…生意気!」


イチャイチャしやがって!

完全に二人の世界ですよ。

背景がお花畑ですよ。


「オイコラ! 聞こえてんぞ!?」


「あら! もう盗み聞きとか趣味悪いんだから!」


大人の女性らしく美智子さんは悪びれた様子も無く俺の言葉を華麗にスルーする。


おめーらインカムしてんだろうが!!

盗み聞きする前に猥褻話吹聴流罪でしょっ引くぞ!


「宏樹さんからも何とか言ってあげてください!」


「………メッ!」


「子供か!!」


皆がプランAで安心したのか、行きと同じような軽いノリで会話をする。

問題がここからどうやって駐屯地に行くか。なのだが、まずは駐屯地の避難者へ連絡をしなくてはいけない。


と言う事で、美智子さんとキヨシにここを全て任せて俺達は一足先に駐屯地へ向かう。


建物の中へ入ったり障害物があればインカムも役には立たないが、俺達が行こうとしているのは駐屯地近くのビルの屋上。

そこからはフォレストタウンも見渡せるからインカムが入らないと言う事もない。


因みにユウコりんの改造で電波の送受信距離が飛躍的に伸びている。

これは電波法なる物が無くなったからできるが本当は違法なのだ。


ビルに向かう道中もゾンビは存在していた。

しかしというか案の定と言うかビビる量でもないのだが、念のため安全確保のためにドローンを上空に飛ばして周囲を索敵する。

本来は一番ドローンの操縦に長けていたキヨシの仕事なのだが、俺のいない間に宏樹も腕を上げている。

その為に俺は車の運転、宏樹はドローンの操縦、他のみんなは周囲の警戒をする事で問題なくビルに到着する。

そのビルを首が痛くなるほど眺める。


「うへ~…マジでこの階段昇るの?」


それは外階段。

このビルの非常階段と言うべきものなのだが、流石にここ数日の運動不足気味の武志には忌諱したい現実だった。

しかし俺がやらねば誰がやる! とどこかの映画の主題歌を口ずさみ軽快に階段を上がる。

がその勢いも踊り場を6回駆け上ったところで意気消沈。

階層で言ったらまだ3階なのだが…まだ半分どころか、1/3も昇っていない。


はあ、先が思いやられるな…って目を向ける少女たちの視線の先は、「はあ…」「ひい…」「ふう…」「へぇ…」「ほぁ…」と情けない声を上げながら呑気にタバコを吸うおっさん二人。


お互いに


「歳だな…」

「ああ、歳だ…」


と言ってるが、明らかにみんなの意見は一致している。


「「「煙草ですよ!」」」


足がガクガクなりながらも何とか屋上へ上がる事が出来たおっさん二人は


「「は~良い景色だ! 空気が上手い」」


と訳の分からない事を言っている。


「タバコを止めればいつでもおいしい空気を胸いっぱいに吸えますよ?」


そう言ってくるのは未成年者であるまゆゆ。

俺達は成人して10年も経ってるから年齢についての煙草に規制は出来ない。

しかし未成年者の前で煙草を吸うのは衛生上良くない。

とは思っていても、辞められないのが煙草であり、体に悪い物代表にして依存性の高いのが煙草だ。


俺達はまゆゆやハルちゃんが生まれてくる頃には既に愛用していたからな。

今更辞める訳にもいかんのだ。


しかし、こんなご時世だ。

いつ煙草が無くなるのか、手に入らなくなるのかは皆目見当が付かない。

だから酒も煙草も飲めるときに呑むし、吸える時に吸う。

うん、悪い大人の見本だな。


手を双眼鏡の様に∞の形にして覗き込む。

当然、文字通りお手製の双眼鏡は裸眼の為、遠くを見る事は出来ない。

しかし心なしか0.01程視力が上がった気がするから不思議だ。


「フムフム、聞いていたよりゾンビはそんなに居ないようだ。前はもっと居たんでしょ?」


「ああ、そりゃ~すんげ~居た。ドローンのモニター越しだけど今日は花火大会だっけ? って思うほどごった返してた。」


宏樹のその言葉にハルちゃんも頷いて肯定する。

家を建ててからは屋上で花火大会を満喫できるので、ここ数年花火大会の会場には足を運んではいない。

それでも昔は会場に行ったりした事があるのでその人の多さは想像できる。


俺製で文字通りお手製の双眼鏡を再び覗き込むが、駐屯地の壁やフェンスの向こうに人影らしきものは見えない。

それを言うと「本当ですね」と言って双眼鏡を俺に渡してくるユウコりん。

俺はそれを受け取り駐屯地内の敷地を隈無く探る。


その間に宏樹はドローンを飛ばす準備に取り掛かる。


ドローンから紐を垂らしその先にトランシーバーを括り付ける。

種類は俺達の使っているインカムと別の周波数だから混同する事も無い。

でもこのトランシーバーを受け取ってくれる人が居なければ話にならない。


居ないなら居ないでフォレストタウンの人たちを収容しつつ、駐屯地内でお宝発掘探検隊を結成するだけだ。

居ても居なくてもこちらのメリットしかない………はず。


双眼鏡で縦横無尽に辺りを探っていると、建物の屋上から人が出てきた。


「あ、やっぱり生存者がいるんだね」


俺の呟きにみんなも一斉に駐屯地の方へ目を向ける。


「ほら、あそこの建物の屋上」


「あ」

「ホントだ」

「こっちに気が付いてます…よね?」


皆で一斉に手を振ると、向こうも手を振ってくる。


相手は緑色ベースの迷彩服を着ている事から自衛隊の人だと断定する。

向こうも双眼鏡を覗いているので、こちらの武器が見えない様に隠すとドローンを掲げ手でジェスチャーをする。

と同時に『これ飛ばすから無線受取ってくれ!』と心の中で叫ぶ。


向こうも何となく察したのか、頭の上で『友達の友達は皆友達だ。世界に広げよう友達の…輪!』って感じで返答してくる。


「宏樹先生。準備はどうかね?」


「いつでも行けるでございます」


宏樹の変な敬語を受けて俺もサムズアップで答える。


「宜しい…では、GO!!」


駐屯地に向けて指を振りかざす。

フィ~~~~ンと言う風切音を上げてドローンが駐屯地目指し飛んでゆく。

向こうも飛び立つドローンを確認すると数人の自衛隊員が屋上に上がってくる。

皆が懸命に手を振ってくれている。


強風に煽られる事も無く順調に無線機を垂らしたドローンが飛んでゆく。

距離的に不安だったが、宏樹曰く「問題ない」そうで…グングンと飛行してゆく。


あそこまで飛んでゆくと、こちらからの距離感も分からないので、宏樹はドローンに搭載されているカメラ映像をスマホに写し操縦している。

何気に起用だな。俺にはできない芸当だ。

すると程なくしてモニターに自衛隊員が待機する屋上が映る。


そのまま自衛隊員目指して降下してゆくドローン。

宏樹は慣れた操縦でドローンを上手い事屋上に着陸させる。


俺は望遠鏡でそれを確認すると、無線を握り交信する。


「聞こえますか? 聞こえていたら応答して下さい。」


「ああ、よく聞こえる」


「突然ですが、避難民を収容して頂けませんか?」


「我々自衛隊は、国がこのような非常事態になっても、国と国民を守るのが義務であり、最重要任務だと思っている。もちろん大歓迎だ」


「ありがとうございます。ではあと少ししたらマイクロバスがそちらに向かいますので、進入路を教えて貰えませんか?」


「侵入路は…ない」


「え…?」


「暴徒が侵入するのを防ぐ代わりに、堅牢なフェンスを作ってしまったからな」


自国民を例えゾンビになったとしても暴徒と言う所、米軍とは違い自衛隊らしかった。


「で…では…」


「我々はそんなにバカでは無い。今はこの辺に集まっていた暴徒が減ってはいるが、少し前まで抜け出すことも困難だったが、地下から外部へ抜ける道がある」


「そうなんですか?!」


頭の中で予想はしていたが"全く知りませんでした"を装う事にする。

外に出なければ多数の避難民がいるであろう駐屯地で食糧難は死活問題だからな。


「場所はドローンに地図を付けるからそれを見てくれ。いつでもドローンを戻してもらっても大丈夫だ」


「分かりました」


宏樹が俺の返事を聞いてドローンを離陸させる。

確かにトランシーバーが付いていた紐の先に丸まった何かが付いているのが確認できる。


フィ~~~~~~~ンと音を上げたドローンが帰ってくると、そのまま静かに着陸した。

何というか、何週間もかけて作成したヘリのラジコンも3秒で壊した宏樹が、静かにドローンを着陸させた…だと?!

2週間かけて作ったホバークラフトをそのままブクブクと水に沈めた宏樹が…

2週間かけて作った車のラジコンを電波が届かなくなる距離まで走行させ暴走させた挙句、縁石に衝突させお店の人に買い換えた方が早いと言わしめたあの宏樹が…!?


くっ…人とはつくづく成長するモノなのだな…


と、俺の中であの時が走馬灯のように駆け巡ったのだが、当の宏樹は「ん?」と涼しい顔を返してきやがる。

「ちくしょうめw」と、戦闘民族の王子の様にの様には叫ばなかったが、俺の中ではあの頃の宏樹が遠くに行ってしまったようで、少し寂しさを感じる。

とか、感じないとか。


そんな事は置いておいて。

ドローンに付けられた地図を受け取ると丸まった地図を広げる。


何というか…Xマークの付いた場所が出入り口の様だが、そこは俺も宏樹もハルちゃんもまゆゆもユウコりんもノンたんも知っている。

近隣の学生なら一度はお世話になる場所である。

そう、国営プールがある場所なのだ。


国営プールなのに国営プールらしからぬ設備。

ウォータースライダーに流れるプール、波のプールの他にも色々なプールが楽しめる。

そして売店なども充実している。

公園と言う利点を生かし、BBQやサイクリング、ボート遊びやディスクゴルフ等々、アウトドア派には堪らない施設となっている。

が、実は地下に自衛隊基地があり、しかもシェルターになっているなんてお釈迦様でも気が付かない!


「公園内にも暴徒は居たのだが公園内は制圧したし周囲をフェンスで囲われているから問題ないと思われる」


無線機からそのように説明される。


現に自衛隊の人たちが食料備蓄倉庫から調達する際に出入りをしていたのだから、問題は無いのだろう。

但し、車での移動はできないし徒歩での移動となるのは了承しろとの事だった。


歩くのは俺じゃないし、それに自衛隊の人が待っててくれるらしいから、途中でキヨシと美智子さんは下車して本当の避難民だけが行けばいい。


俺は自衛隊の指示を受け取り了解するとキヨシと美智子さんへ連絡を送る。

あとは向こうが何とかするだろう。


その間に少しでも情報を集める為、トランシーバーで色々と情報交換も兼ねて交信する事にした。

相手側も友好的に応じてくれる。


そこで知ってる情報が齎される。

まずは各川に架かる大きな橋の爆破。

これは思った通り、ゾンビの大量移動を阻止するための措置だったらしいが、そんなの良く許可されましたねって言ったら、米国からの圧力があったとの事だ。

うむ…日本国民を見捨て撃ちまくり、自衛隊員まで見捨てた米軍はホント…


そして市民や都民なら驚く情報が齎される。


まず地域ごとに住民を避難させたが、殆んどの地域では壊滅。もしくは全滅したと言う事。

これも避難前にゾンビに襲われたのだが、ゾンビでは無く暴徒と銘打っている為、自国民への発砲が出来ず全滅に至ったらしい。

バカだな~とは思ったが、自衛隊員の誇りをバカにするのもどうかと思ったので思った事は口にはしない。


そもそも医師でない自衛隊員に人間の死亡診断が下せるわけも無く、目の前で日本国民が動き、歩いているのだから射殺出来ないのも頷ける。

それに見た目重傷なのに平然と歩いているのは何かの病気と疑うのも自然だし。

病気であれば治癒も可能かもしれないと言う思惑もある。

そう言った意味で、病院は真っ先に陥落したらしい。


もう一つ自衛隊員に尋ねてみる。

縦田基地での出来事だ。


縦田基地にも自衛隊は入っているので先のミサイル乱射御乱心騒動は知っているとの事。


何というか縦田基地に駐留している米国関係者の家族は率先して本国へ帰らせたそうだ。

そう言う事もあり米軍の行動に疑問を抱いているようだ。


全く日本国民を守る為の軍隊なのに余計な事しかしない。

しかも驚く事に現在進行形で縦田基地内に生存者が居ると言う事らしい。


しかし暴徒ゾンビが大量に押し寄せている為、武器弾薬の確保や食料の調達もままならないらしいとトランシーバー越しの声は悔しさをかみ殺していた。

唯一の救いは、この基地と通信が出来て生存確認が出来た事だろう。


「ところで…」と話出されて「何でしょう?」答えると


「キミたちはここには来ないのか?」


と、さも当たり前の言葉を頂く。

俺は宏樹やユウコりん、まゆゆの顔を見てトランシーバーの送信ボタンを押す。


「私たちはそこへは行きません」


「何故だ! ここも危険だが外よりは安全なはずだ」


ま、凡そ言いたい事は分かる。

恐らく良心を備えた人で、しかも御身を国に捧げ、このような状況下でも自衛隊員として責務に当たる人であれば当然の回答だろう。

そんな人にはこの言葉を俺も捧げる。


「それはそうでしょう…今日避難してくる人の他にも助けを、救いを待っている人が居るはずです。こんな時だからこそ生きている人間が、外にいる人間がやるべきだと思ってます」


いや~言ってて恥ずかしくなるよ。

本当はそんな事、心にも思ってないんだけど本当に悪い人ってどうしてこう、自分の都合の良い事に口から出まかせが出てくるのかね。

つくづく思うよ。

俺って極悪人だな~って。


ほら、まゆゆとノンたんの顔、尊敬の眼差しだし。

あ、ユウコりんは若干引き気味の顔だ。

そのユウコりんの手を握っている小さいまゆゆは見晴らしの良い景色に目が釘付け。

ハルちゃんは宏樹の御片付けのお手伝い。

宏樹は声を殺して笑ってる。

しかも俺に指を指して『極悪人』って声に出さず言ってるし。


「き、君たちは…いや、君たちの敬意に感謝する。本来は我々が率先する事なのに…もし生存者が居たらこちらで身柄を引き受けよう。君たちも気を付けてくれたまえ!」


無線の向こうで目頭を熱くしている自衛隊員。


「ありがとうございます。そうだ、厚着基地とかはどうなりました? 生き残っている。もしくは生き残っていそうな場所とか分かりませんか?」


「厚着は…騒動が始まった頃…数か月前に全滅したそうだ」


「…そうですか…」


その言葉を聞いて俺の口角が若干上がる。

俺の様子をみて宏樹が「あ、次の仕事は厚着か?」ってハルちゃんと話している。


「他の避難場所の情報とかありますか?」


「この近辺であれば、みんなここの地下シェルターへ避難は完了しているはずだ」


「地下…シェルター?」


マジかよ。

縦田基地が近いから核攻撃されたら意味をなさない気もするがあの公園の下はシェルターだったのかよ!

ってお釈迦様でも気が付かない事なのだけれども、近隣住民には(まこと)しやかにそんな噂も流れていた時もある。

この辺のピンポイント的都市伝説ってやつだな。

都市伝説が真実とはこれ如何に。


ふむ、だったら駐屯地内は暴動が起きなければ安全って言う事は確かだろうな。


「あと、このトランシーバーの他に何か無線とか交信できる手立てはありますか?」


「パーソナルでもアマチュアでも何でも受信可能だ。CQ00000でも問題ない。今のご時世、CQを送ってくる人間が居ないしな。その前に君たちは携帯かスマホは持ってないのか?」


「あ、持ってます。が、通常回線は繋がらなくて」


「大丈夫だ。念のため、俺の電話番号を教えよう。――――――メモはしたか?」


「はい」


「では、かけたい相手の番号の前に|○○○○○(ある数字)をダイアルする。すると|着信音(―――)もしもし…早いな」


「あ、繋がった!」


俺は説明を受けている最中に電話して試してみた。


「そう言う事だ。今後はこれで連絡をして来てくれても構わない」


「ありがとうございます。これは、そちらにも私の番号は通知されているんですか?」


「ああ、そうだったな。これは緊急回線だから相手には通知されない。すまないが君の番号を教えてくれ」


俺は電話相手に自分の番号を伝える。

すると、


「丁度、君たちが助けた避難民が到着したようだ。それでは改めてこちらで収容するから安心してくれ。あまり無理はするな。言い忘れていた、私は沖田1等陸佐でここの責任者だ。君たちの健闘を祈る」


そう言って通話が切れる。


見ると複数の自衛隊員がこちらに向かって敬礼をしている。

俺も見よう見まねで返礼すると手を振って別れをする。


むふふふふ、電話、使えるってよ!!


早速宏樹に緊急通信コードをセットして電話を掛ける。


「踊り踊るな~らチョイと東京音頭ヨイヨイ♪」


皆がズッコケる。


「なに? 民謡?」

「いや、ヨサコイでしょ?」

「何か小さい時に聞いたことがある様な?」


そんな中で小さいまゆゆは手をパンパンと叩いた後、手を下45度の角度で広げて一歩前へ踏み出す。

所謂、盆踊りで踊られる東京音頭だ。


「まゆちゃん知ってるの?」とユウコりんは小さいまゆゆに問いかけると「うん。夏にママとパパと近所の和夫君達と幼稚園のお祭りで踊ったの」


「そっか」と言いながら小さいまゆゆの頭を撫でる。

小さいまゆゆはママ、パパ、近所の和夫君ファミリーを思い出し少し表情が暗くなる。

それを見越してユウコりんは頭を優しく撫でていたのだ。


「って言うか、そんなん着曲にしてる人、初めてですよ」

「ってか、どっかの野球チームの応援歌じゃなかった?」

「そう言えばサッカーチームの応援歌でもありますよ」

「宏樹さんはどこか応援している野球チームかサッカーチームがあるんですか?」


中学生女子軍団がオモシロ着信音について語っているが俺は知っている。


「いや、俺、野球とかサッカーとか興味ないし」


ズッコケる中学生女子軍団

そう、この男、スポーツ関係に特に興味のあるモノがない。

興味があるのは目下、ラジコンであったり空気銃から始まり、ガス銃、電動ガンと長い年月ハマっている。

バイク(原チャ)や自動車もハマっていたのだが、ここ数年はマイカーが軽トラだったので、軽ドリしない? と俺に進めて来ていた。

軽ドリ=軽トラックを改造し、軽トラでドリフトを行うマイナーな遊びだ。


宏樹も俺と同じであるモノにハマると一点集中する傾向がある。

そんな宏樹がスポーツに興じる事も無ければ、興味も示さなかった。


「これで皆もスマホ使えるね」


「ああ、これで逃げ出した馬鹿者にも連絡する事が出来るな!」


「―――スイマセンデシタ」


俺は改めて謝罪を述べたのだった。


誤字脱字や矛盾等がありましたらご報告お願いします。

あと、こう言う風にしたら良いとかこんな展開も希望等ご意見ご感想もお待ちしております。

評価など頂けたら嬉しい限りです。


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