第66話:空への憧れ、撃沈。
9時に間に合わんかったとです。
まあ、自分の中で勝手に決めた締切ですけど待っていて下さる皆さんには申し訳ないです。
時間は過ぎたが今日中に投稿しました。
それでは続きをどうぞ
「宏樹さん! ここのサイトなんかどうっスか? 色々と細かく説明してますよ」
「おう、キヨシも勉強熱心だな。そこまで勉強熱心だったら良太たちに従う事も無かったのにな」
サラリとキヨシの思いだしたくない苦い思い出を抉る。
「いや、そんな黒歴史を思い出させないで下さいよ~」
そんな記憶も今では遥か彼方。
苦笑いしながら宏樹と二人で和気藹々を話をしているのは、ドローンやラジコンヘリを飛ばす為の勉強だ。
ヘリやドローンがプロポ(ラジコンのコントローラー(送信機))のスティックを動かせば簡単に飛ばせる代物ではないと理解した。
いや、宏樹は当の昔から理解はしている。
しかし航空力学だの何だのとラジコンにそんな難しい事は求めては居なかった。
自分の操縦するヘリが飛行機が宙を飛ぶ。
それだけで大興奮だのだ。
だから今まで飛行機がどのような原理で飛ぶのか。
ヘリがどのような原理で浮遊・飛行するのかは理解の外に置き去りだった。
結果、その事で小学校のころから撃墜王と言う不名誉な字名まで持っていた。
何日もかけてバルサ材で飛行機を組み立てては数秒で墜落させるのである。
墜落させるのならまだしも、離陸も飛行もせずに木に衝突したり、茂みの中へツッコませたり。
挙句の果てには飛行機なのに離陸の勢いのまま川に落ち船になったりもしていた。
当時はネットなんて普及していなかったから、情報を収集するのも本とラジコン屋店主だけが頼みだったのである。
宏樹もホビーに費やす情熱を勉強に打ち込んだら進学校とかに行けただろうにと俺は心の引き出しに仕舞う。
それはあんたもねと言う感情が読み取れたので後ろを振り返る。
そこには満面の笑みを浮かべるユウコりんとまゆゆが居た。
俺はニュータイプに覚醒したんだから思考が読めるんだよ!?
とは言わなかったが、ユウコりんとまゆゆは俺の上を行くニュータイプの様で、
「武志さんも一緒に勉強したら? 二人とも遊びに没頭する情熱を勉強に費やしたら東大とか行けたんじゃないの?」
「本当ね~」
と言われてしまった。
この二人…出来る!
そんな皮肉交じりの2人の言葉に宏樹が言葉を返す
「ああ、武志はこう見えても東大合格してるんだぜ? しかも、入学できるのに行かなかったと言う筋金入りの馬鹿者だ」
「「え?」」
と驚愕の表情で俺を見るまゆゆとユウコりん。
「え? だって、武志さん…高校…」
確かに俺は皆さんが勉学に勤しんでいる時には既に働いてましたけどね。
「ん? 大検取って大学入試センター試験を受けたんだよな」
「え?! そうだったんですね」
「え? 本当? マジなの? どこの科を受けたの? 理科三とか?」
まゆゆは只管に感心している。
それに引き替え、ユウコりんは信用していないようで疑いの眼差しで質問してくる。
「いや~さすがに理科三とかハードル高すぎるから、理一だけどね」
俺の返答に現実味を覚えたのかユウコりんも驚きの表所を浮かべる。
「え~何で辞めたの?」
誰もが必ず口にする質問。
その時は決まってこの事を口にする。
「いや、忙しかったから」
まゆゆとユウコりんは唖然としているが、ユウコりんは小声で「本当に大馬鹿者だ」と口ずさんだ。
そんな言葉を聞き流し、いや、聞かなかった事にする。
いや、そんな話題なんて最初からしてなかったと言う事で、俺と宏樹とキヨシで偵察に必須なラジコンヘリについて猛勉強中。
ラジコンヘリの操縦なんて簡単じゃん!
と思っていた時期が確かにありました。
宏樹をバカにした事もありました。
そして私は考えを改めたのです。
「武志君? 君は何基のドローンとヘリを撃墜すれば気が済むのかね?」
土下座する俺の前で腰に手を当てて口調は冗談染みては居るのだが大魔神(怒りモード)の顔をする宏樹。
元から強面の宏樹は眉間に皴を寄せただけで、ビーバッ〇ハイスクールに登場するヒ〇シの様なのだ。
あちらはリーゼントパーマであったが宏樹は短髪を通り過ぎた坊主頭(菊リン風)なので余計に強面に見える。
「本当に…申し訳ないです」
「あれだけあったドローンとヘリがもうこれだけなのだよ…分かる?」
そこには撃墜を免れたヘリ1台、ドローン2台が怯えた表情を浮かべ俺を見ている(妄想)
「武志君? はっきり言ってもいいかな?」
「な、何でしょう?(汗)」
「あんた、操縦下手ね」
「そ、そんなこと、そん…うえ~ん、宏樹が苛める~」
しかしハルちゃんとは違い、ヒラリと避けるまゆゆ。
まるで俺の動きを行動前から察知できるように…そうだ、この子もニュータイプに目覚めているのだった。
その事を確信した瞬間である。
俺はユウコりんの方に飛び掛かろうとして止めておいた。
俺のニュータイプ能力が最大限の警告を鳴らしたからだ。
『何だこのプレッシャーは!』とは叫ばなかったが
ゆっくりそちらの方向を見るとユウコりんが銃口をこちらに向けていた…。
『当たらなければどうと言う事は無い!』とはとても言えない。
だって、ユウコりんには『必中スキル』でもあるのではないか?
と思える位にユウコりんに比べて俺は未だオールドタイプから、魂の井戸から抜け出せない人間なのだと確信した瞬間である。
なので、ユウコりんの気を宥める様に、
「だ、ダメだよ? 銃口を人に向けちゃ…ね?」
と柔和な笑顔をユウコりんに向けると、ユウコりんも負けじと爽やかな笑顔を返してくる。
「でも、危険を感じたら撃つしかないよね?」
確かに"撃たれる前に撃て"とは言ったが、今じゃない!
そんな事を言われたらもう、私にはどうする事も出来ません。
そんな訳で、猛勉強中なのです。
例えラジコンでも、ヘリの操縦の難しい事…。
そして想像以上に繊細だ事…。
少し離陸させて、そのままホバーし、着陸させる。
これの難しい事、難しい事。
離陸させるのにスティックを少し倒し、ホバーさせるのにスティックを中立にし、着陸させるのに離陸の逆にスティックを倒せば簡単と思っていたのに…。
宏樹とキヨシ曰く、エンジンの方が制御しやすいと言う事だったが、何でいきなり難しい電動にチャレンジしてるかと言うとラジコンヘリのエンジンは結構大きいんだよ…音が。
こんなん動かしていたらそりゃゾンビの集合場所を指定しているようなものでしょ。
と言う事で一言「ガンバレ」と肩を叩かれる。
よし、今度こそ…
フィーーーーーンンンンンン……
「武志君よ…どうやったら離陸させるだけなのに遠くに飛んでいくのかな?」
慌ててプロポをキヨシに渡して、残り少ないヘリを帰還させると静かに着陸させる。
「武志さんの分も自分が飛ばすから任せてください!」
口調は敬っている。
顔は笑顔だが…俺は大人だからね。
大体察する事が出来るんだよ。
でも、キヨシは良い奴だ。
だからなのか、良太とかに体の良いパシリに使われていたんだな。
チラリと宏樹を見ると、もう触らなくて結構と言わんばかりの顔をしている。
うん、俺に空モノのラジコンは向いてないんだよ。
ともあれ、宏樹とキヨシが偵察用のヘリとドローンを墜落させずに操縦すると言う当初の予定通りに事が進み、駐屯地への探索を計画する時が来た。
そして、宏樹の長年の苦労を理解でき、短期間で操縦を覚えたキヨシに天才と言う言葉を送る。
頑張ってストックを溜めないと!
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