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神様?いいえただの悪魔です。  作者: 次元
第3章:死者の星
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第57話:使える男キヨシ

最近の会社の在り方としてテレワークが主体となりつつあり

会社の規模縮小と合わせて引っ越しされる会社さんが多い中

わが社もその流れに任せるように引っ越しです。


そんな訳で続きをどうぞ

またしても…またしても俺は戦闘不参加だった…。


前から思っていた事を再び思う。

何なのだろう? 最近の中学生って。


やっぱり、特別課題とかで射撃術を習ってるんじゃないか?

たしか、前もこんな事を考えていたと思う。

そう思わなければ納得が出来ないからだ。


どうしてこうも簡単にバレットの弾丸が丸みを帯びたヘルメットにジャストミートして頭だけが吹き飛ぶの?


大口径対物ライフルの弾丸はヘルメットなど関係なく貫いて行くものなのか?

ついでに後ろに控えていたヒャッハ―を1人巻き込んでるし…


ここに残った女性達だけでも全滅も時間の問題だったかもしれない武装集団に、ものの数分で制圧完了とか、どんなトリックを使ったんだと。

いや、どんなトリックを使ったのだと声を大にして言いたい。

ホント、会議室の丸テーブルに座らせて聞き出したい。


まさか、中学生が扱う弾丸は自動追尾誘導弾とか便利でチートなスキルを帯びるのか?

純粋で純潔な女子にはそんな鬼畜なチートスキルが宿るっていうのか!


もしかしたらゾンビが蔓延るこの世界に俺と宏樹は転生させられたのかも?

いや、今回は宏樹も数人仕留めていたから俺だけが仕事をしていない。


とりあえず自分が今できる仕事をしようとバレットの弾道の先。

大口径弾がガラスを突き破ってないか、ゾンビが侵入してこないか、ヒャッハ―の残党が居ないかそんな心配をしながら確認作業をしていると正面から宏樹が歩いてくるのが見えた。


「もう敵は居ないみたいだな」


辺りを警戒しつつも爽やかにサムズアップするイケメン。

くっ、死ねばいい。


「そのようで………」


俺は後頭部を掻きながら冴えない返事をする。

その雰囲気に何かを察したのか


「皆さん優秀なようで、武志先生も今回は司令塔の役割を全うしたと言う事でしょう」


そう言いながら、肩をポンポンと叩き、「お疲れさん!」とみんなが居る場所へ足を運ぶ。

その後ろにはハルちゃんが鼻歌交じりに付いて行く。


―――…ムキ―!


宏樹から回りくどい嫌味を言われた。

悔しさ混じりに宏樹の後を追う。


俺の後ろにはキラキラと輝く水滴が舞っていたとかいないとか。


生存者の女性陣へ足を進めるが少し違和感を感じる。

あれ? そう言えば暴走族B君じゃなかった、キヨシ君の姿が見えないな。

悪事がばれて殺されちゃったか?

それとも、悪い事して締め出されたか?


女性陣が談笑している輪の中へ入って行くと感謝の言葉をかけられる。

その言葉一つ一つに照れ笑いをしながら、内心では『俺、何の活躍もしてません。』と苦笑い。


そもそも、俺自身は助けて英雄になろうとも、優位性を掴もうともしているわけでは無く、まゆゆ達女性陣の鼓舞を見たから助勢しただけだ。

そして、当の本人は何も活躍の場を得られていない。


こんな状態で出迎えてくれる女性陣に胸を張れるだろうか。

生憎と俺にはそんな豪胆な胆力は持ち合わせていない。


そんな事があり、苦笑いで応じていた所でキヨシ君の所在が確認できないでいた。

そう言えば最年長の女性も見当たらない。


まさか、駆け落ち! と思ったところで、まゆゆが俺の心を読んだかのように首を振りながら二人の動向を話してくれた。


どうやら、彼らはフォレストタウン(ここ)ではない、安心して暮らせる場所を探しに向かったらしい。


それを聞いて俺は俯きながら溜息を吐く。

ゾンビの徘徊するこの世界のどこに安心して暮らせる場所があるというのか…。

女性陣が誰も居なかったら両掌を上に向けて首を振って「やれやれ」と呟いただろう。


しかし他人任せに生きる事を止め、自分たちの力で生き抜こうとする努力は買う。

自衛隊の駐屯地に向かったとか助けを求めに向かったというなら、頑張ってね! って手を振りながら帰ってる所だ。


俺の中にも、避難場所に行くって選択肢が今も潰えたわけでは無い。

しかし根本は全くの別ベクトルだ。


俺が避難所に行く目的、救助では無く生きる為の()()を調達する為だ。

そう、ユウコりんが涎を出す程に魅惑的な生きる為の道具であり今のご時世には必須アイテムである武器だ。


ヒャッハ―達にしてみたら他人から幸せを奪う道具なのだが、使う人が正しく使えば殺戮の道具も本望だろう。

それに、これからも俺が進んで他人を貶める為に使う事は無いだろう。

寧ろ、他人とかかわりを持ちたくないが為に必要なのだ。


広く浅く付き合う事が苦手で人間付き合いが苦手で、人間が嫌いなおっさんは、何の因果か中学生と生活するようになり、なぜかその中学生に好かれたおっさんはここが天国と勘違いしている。

世界が破滅に向かっている事も、仮に世界が正常に戻っても、どちらも嫌な事しか待っていない。

つまりは生きている事これ試練なのだと、その試練の中の幸せなのだと。


無駄に悟った事を言ったが忘れてくれ。

今は中学生におんぶにだっこのダメ親父なのだ。


前回、今回と短時間のうちに襲撃を受けたこの場所は物資の量的には申し分ない場所に違いは無い。

それは襲撃者も同様なのだ。

ゾンビの侵入さえ阻止できれば、とりあえずの拠点としては申し分ない。


キヨシと年長の女性は今後も怯えて暮らす生活より、より安全な場所を模索しているのだとか。


ここを初めて訪れて、最初の襲撃者を殲滅させてノンたんを引き受けてから、まだ数日しか経っていないから良い方向性に思考が切り替わったようだ。


話を聞くと最初の珍走団の襲撃から翌日、みんなで話し合ってここを引き払い、別の場所に移り住む事を全員一致で可決。

翌日には大量の物資を運ぶためのトラックの調達、さらに翌日には拠点の調査を行っているとの事。

で、取り回しの良いバイクを運転できるキヨシに白羽の矢が立ったと。


で、運がいいのか悪いのか、唯一の男が居ない時に襲撃ナウ。


俺達が来なければこの拠点も全滅してたのかもしれない。


ヒャッハ―の武器を見た所、警察官御用達のM37とM360J SAKURAとボウガン。

しかし、ヒャッハ―達も結構面食らったのではないだろうか?


俺達がフォレストタウンに置いて行ったM4カービンとM37、P220、それなりの弾薬。

ヒャッハ―集団に比べれば明らかにオーバースペック。

ヒャッハ―達の弾薬も銃も数を上回っている。

奇襲に対応出来て、心構えがしっかりしていればヒャッハ―の餌食にもならなかっただろう。


それでも、女だけの集団と言う事もありヒャッハ―も舐めてかかったのだろうな。

いや、女子連中が同じ人間を撃つことに嫌悪感を抱き銃が撃てなかったようだから、全滅していたのは女性連中かもしれない。


そんな中でもキヨシが居たら多少違ったと思うけど。

しかし、キヨシはどこに行ったのだろうか?

まさか放浪先でエサになったとか?

別の略奪者に襲われたとか?


まぁ、こんな騒動があった後で何だが女性陣はトラックに物資の積入れを開始し出した。

一刻も早くここから退去して新天地を目指したいそうだ。


新天地を目指しても襲われても成す術が無いのなら全滅も時間の問題だろうけど。

そんなこんなで襲撃者を難無く殲滅させ、気が付けば夜の帳が落ちる頃、キヨシと最年長いや面倒だ!

彼女は最長老と呼ぶ事にしよう。が帰ってきた。


日が沈むと、人間の視界は極端に狭くなる。


幸いにも電力が未だ通っているので、街頭や建物の電気が点いていたりするのだが、生存者なのかゾンビなのか著しく見分けがつかなくなる。

夜になってもゾンビ達は凶暴になる訳でも無く四六時中散歩をしている。

人間を感じた時点ですでに凶暴なのだから、ある意味年中、24時間365日凶暴な訳だ。


建物の電気が点灯していても、最早そこには今までの生活が営まれている訳でも無く、ただ単に、電気を点けたまま逃げたのか、襲われたのか、住民は居ない。


恐らくだが、自衛隊が各個に避難誘導したのだし、俺たちみたいな意図的な引籠りや、彼女たちのように避難誘導から外れてしまった人。

そして誘導に従わないか逃げた外道やヒャッハ―位だろう。


俺達が見てきたように最早避難場所さえ安全ではないがな。


実は、家で惰眠をむさぼってるように見えて、宏樹と偵察をしていたりする。

宏樹が来るという事はハルちゃんも来るという事だが。

その際、避難所である学校も遠くから観察した事があったのだが、多数の避難民が居たようだが、その殆んどがゾンビになってたりする。

しかも自衛隊の物資も無い所が殆んどだ。


警察や消防署、地方自治体が避難誘導を行った場所は大抵全滅している。


そう考えるとゾンビの数は凄いことになるのだろうな。

でも街中で逸れゾンビを見る位で集団になっている光景をあまり見た事が無い。

それでも夜間作業は命がけで生存確率が極端に下がるから夜間作業は止めとけと最長老にアドバイスをした事がある。


ヒャッハ―の援軍があるかもしれないと注意し、全員が屋上で監視をしている所にキヨシと最長老が帰ってきたのだ。


店内の荒らされ様を見て慌ててるようだったが、俺たちを見て安心していた。

当然の流れと言うか、その後は無性に感謝された。


美智子さん(最長老)とキヨシが銃を持って行ったことで本当に危機だったようで俺の勘が当たる。

なんせ銃を持ってても撃てないのだから。

ってか、キヨシに銃を渡したの?

その事を聞いた時、少し俺の顔色が暗くなったのを察し美智子さんがやんわりと説明してくれる。


「あれからまだ数日しか経ってないのに、キヨシ君のおかげで色々と調査もはかどったのよ」


と、一体どういう事か聞いたら。


「キヨシ君はね、最初に他に避難が出来る場所を探す必要があると進言してくれて、それを探す為のバイクも持ってきてくれたの」


サバイバルに必要な最低限の物資をこのショッピングセンターの外に出て調達したらしい。

他にも、広大なショッピングセンターを監視できるように管理室も探し出したり調査したりと色々役に立ったようだ。

しかも屋上で荼毘に付した皆さんの旦那さんや恋人に毎日線香と花を添えているそうだ。

しかもしかも、その花も造花では無くちゃんとした生花だと言うから驚きだ。

毎日花を摘むために安全なショッピングセンターを出て危険地帯を歩いていると言う事だ。


何気に俺が思うキヨシの評価が鰻登りなのだ。

それを目の当りにしているここの女性達からも高評価だと頷ける。


そんな男に銃を持たせない方が逆にどうかとみんなも思ったらしい。


スッカリ女性陣から気に入れられて良かった良かった。

珍走屋の仲間なんて知ったら…ま、俺はそんな事を言う外道でもないし。

それを餌に脅す事も無いからね。


とりあえず、美智子さんとキヨシの調査の報告を聞く事となった。

と言っても、今のこの世界に女性オンリーで安心安全な場所なんて夢物語だと思うけどね。


誤字脱字や矛盾等がありましたらご報告お願いします。

あと、こう言う風にしたら良いとかこんな展開も希望等ご意見ご感想もお待ちしております。

評価など頂けたら嬉しい限りです。

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