第17話:落ち着かない学院生活
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さて今日も頑張るぞと席についた所で邪魔が入る。
「急なんですが打ち合わせ参加してください」
「え、いや、俺も設計書書かなきゃいけないし」
「新プロジェクトだから参加してと…社長命令です」
むむむ、今日も作業(執筆)が出来んではないか(いやだから仕事しろってば!)
ってな事で1話だけ改修。
入学式から1週間。
社交的なアリスはもちろん、人付き合いが苦手な俺も程々ではあるが学園に慣れた頃だ。
ってか、アリスが社交的とかどんなバグなんだ? と思った程にアリスの対人スキルは凄まじい。
その対人スキル"微笑"は大概にチートだった。
まあ、相手が1歳とは言えみんな年上だから通用しただけではあるが。
そうそう、入学1週間でもまだ授業と言う授業は始まっていない。
始めの頃はこの広大な学院内を見て回るのだが、散歩と言うレベルではなくハイキングだ。
本当にここは広い。
湖の対岸、裏の山々、森の中、全てが学園の敷地であり施設だった。
東京ドーム何個分とかネズミ―ランド何個分とか言うより、23区が何個分とか言うレベル。
だから施設を見て回るのに文字通り泊り込みの散歩である。
しかも、周りは全て1歳年上。
たった1歳年上と言っても5歳児と6歳児は大きな開きがある。
6歳から見たら5歳児は子供に感じるのだろう。
5歳も6歳も子供に変わりはないのだが、実際、年下と言う事もあり教室にいるみんなが優しく接してくれる。
特に女子。
「アイリスとアリスは可愛いね~」
「5歳で親元を離れて寂しくない?」
「何でもお姉さんに言ってね?」
本当は同級生なのだが完全に弟・妹状態だ。
で、そん時に発揮される対人スキル"微笑"は鬼に金棒。
アリスは妹ポジションをGETしたようだ。
そして、俺はと言うと女子に囲まれ、女子と同部屋の俺に対する男子の突き刺さるような視線。
この状態は、寮生活でも変わらなかった。
そんな男子諸君に俺の"微笑"を送っても弟ポジションは獲得できなかった。
子供って残酷よね。
部屋は2人部屋で16m2(10畳ほど)なのだが、毎日誰かしらが面倒を見に来てくれている。
それが1週間も続いているのだが、一言でいえば完全に溜まり場だ。
剣の練習も魔法の練習もできない。
さすがに夜には皆それぞれの部屋に帰っていくのだが俺たちも疲れて練習どころではなかった。
主に、対人にだが…。
6歳児とはいえ、女子は女だ。
完全に男よりオマセな感じだし、発言にもドキリとさせられることもしばしば。
別の意味で女子も残酷よね。
そんな慌ただしい生活の夜、アリスに尋ねてみた。
「ねぇアリス。起きてる?」
「なぁに? 起きてるよ」
「アリスはレベル5の魔法、解放された? かれこれ1年経ってるから解放されるはずなんだけど…まだタブレットに表示してないんだよね」
「アリスもまだ出て無かったよ」
と言う事は、ここから高位の魔法と言う事か
「アリスの魔法はもうこれ以上でないの?」
「いや、多分、1年後にレベル5が解放されると思う。」
「そっか! 良かった~。でも、レベル5ってどんな魔法なの?」
一昔前の純然としたタブレット内容じゃないと思うから正確には分からないが、アスラの抜擢するレベル5であれば大体想像つく。
「レベル5は結構強力な魔法だと思うよ。どんな魔法が解放されるかは分からないけど、レベル4でも結構強力だったでしょ」
「うん。レベル4のファイヤミサイルは凄く綺麗だったもんね!」
だから、花火じゃないって。
「それより強力な魔法だよ」
「楽しみだね!」
「でも、なんでアイリスはそんな事を色々知ってるの?」
「え?!」
本当の事は言えない。
言っても信じられないだろうし…。
ましてや中身は何万年も生きてる人間ですだなんて言えない。
しかもアスラと仲間なんだよとも言えない。
苦し紛れに浮かんだことをアリスに説明する。
「あ…暗黒の女神が夢に現れて教えてくれたんだよ」
「あの女神様が夢に出てくるなんて羨ましい~! アリスも女神様と話したい~~」
俺もだよアリス…。
必要な時に必要な事は教えてくれないし、俺だって聞きたい事は山ほどあるというのに。
そんな一時しのぎの嘘で何とか乗り切った。
1年生には、魔法学園としての授業より
国語…この国の文法や文字の書き取りや読解力のい向上など。
算数…数の乗算や減算の他に、術式における効力の計算など。
理科…生物(主に魔物)の生態や特徴や術式による理など。
社会…自国や他国の特産や産出される物、魔獣や獣人、魔人の構図など。
そして体育と言う名の遊戯が毎日の日課になっていた。
1日に1回、魔術の授業があるのだが、基本的には『自分の魔力を感じる事』がここ1年の課題の様だ。
そもそも俺は生まれながらに身に付けている。
アリスが1日でマスターした事をここでは1年間も費やすのだ。
その事からも、俺もアリスは既に普通じゃない事を確信した。
クラスが魔術の授業をしている間、秘密の部屋でアルトマン先生と魔法の勉強をしているのだが殆どで、教えてもらう魔法も1日でマスターしてしまうので先生も引きつり顔だ。
例えばファイヤーの魔法を教えてもらうと
1日目:魔力の螺旋を覚える
2日目:ファイヤーの魔法を手のひらから放つ
3日目:ファイアーの温度を上げる練習
4日目:火の大きさを変える
5日目:手のひらから放たれる炎の射程距離向上や精度など
こんな感じで1週間で1つの魔法を極めてしまう。
普通は4日目の勉強は学園卒業者にも難しく、本業の魔術師でも、魔法に特化した人じゃないと出来ないそうだ。
5日目の内容なんて、本来は何年もかけて向上させるものなのだが…。
でも、炎の魔法だけでも、多種多様にあるから覚える事も山ほどあるらしい。
炎と言っても、氷の魔法も同義であり、魔力の変換をするだけで、『火=冷』と言う事らしい。
その辺は追々、理科の授業で習うようだ。
そして今日は中間試験。
随分と時が飛んだように思うだろうが、飛んだのだよ。
入学後1週間じゃなかったかって?
余り気にしないでくれ。
子供時代の楽しい思い出なんて早いものだろう?
だからもう半年も経っているのさ。
学期という概念がない為、入学後、半年で中間試験。
そして、入学から1年目で修了試験。
国語、算数、理科、社会、体育と他の地方学園でも共通のようで行うテストはどの学園でも同じ。
どうやら、12歳まで魔法の試験は無いようだ。
そして12歳を超えた頃から修了試験に応じてクラス分けがされ、年齢の関係がないクラス編成になってくる。
12歳と16歳が同じクラスになりえる訳だ。
皆で試験を終えてまた寮の部屋に誰かが面倒を見に来る。
「アリスちゃん、今日の試験難しかった?」
「アイリス君はちゃんとできたかな?」
「俺あんまりできなかったな~」
「俺もだよ~」
「アイリスはちゃんとできた?」等々…
最近は野郎どもも"ここ"に集まっている。
当初はヒガミ100%の男子諸君だったが、ある授業で魔法を発現させてしまい驚かれれてしまう事件があった。
またある日では王都の街でチンピラに絡まれたところを余裕で撃退し、ドン引きされる。
またある日も王都の街へ出かけたとき、別の学校の上級生がある生徒に「飛んでみろや」と集ってたのでフルボッコにした。
またある日では人攫いに遭遇し、盗賊のアジトへカチコミをかけて盗賊どもを一網打尽にしたり…
そんな事があり、みんなの見る目が少しずつ替わったからだ。
自分達より1歳も下なのに特待として学園に入学した意味を理解はしていないようだが、本能的に悟ったんだろう。
『こいつに逆らったらヤバい』と。
しかし、敢えて言わせて貰おう。
授業中に魔法を発現したのも運命だったのだ。
と言うのも授業中に遊んでいた男子がふざけて投げた石がある女子生徒に当たりそうだったので"スフィア"で守っただけです。
投げた男子もヤバいと思ってアタフタしてたし、周りの男子も「あ」とか間抜けな声出してたし。
アリスが棒を持って…まさか野球なんてしようとしてないよね?
そりゃ前日に野球ってスポーツがあるんだよって教えたけどさ。
まさかボールの代わりに石を投げると思わないじゃん?
あ、もしかして石を投げた男子が悪いんじゃなくって、石を打ったアリス…。
ま、まあ…そんなことがあってあのスフィアが無ければ石が女子の顔面に当たって大怪我をしたし、大怪我をしたなら"ハイヒール"を使用しただろうし。
という事は、俺が魔法を使う事になるのは必然という事なのだよ。
何気に投げた石もソフトボール位には大きかったから、間違ったら殺人事件発生事案ですよ。
…アリスさん、その素振りは何でしょうか?
打ってやった感を出すのやめてもらえます?
一歩間違えば大事件ですから。
学園長も魔法を使ったのを怒るより学園への監督責任を問われないで済んだんだから良しとしましょうよ。
あと王都の街でですね、美味しそうな串焼き肉のお店に並んでいたんですよ。
そこに案の定と言うか横入りをした兄ちゃんが居たわけです。
俺たちより生まれてから3倍以上は経過してるであろう兄ちゃんたちなんですけどね。
念の為言っておきますが"汚物を消毒しそうな"出で立ちではありました。
そんな無法者にアリスが大きな声で「こんなに並んでるのに誰よりも食べようとするなんてあの人たちよっぽど飢えてるのね。可哀そう」って言っちゃうもんだから、兄さんたちも頭に血が上って…
気が付いたら天下の往来で5歳児にあやされてましてね。
殴り倒したのも5歳児ですけど。
学園長も無法者を倒した俺を怒るより学園への監督責任を問われないで済んだんだから良しとしましょうよ。
これも王都の街でですね、美味しそうな串焼き肉のお店に並んでいたんですよ。
あ、デジャブじゃないので大丈夫ですよ。
そしたらですね、今度はちゃんと串肉を買えたんです。
相変わらずあそこの串肉は柔らかくジューシーでタレとの相性抜群です。
で、みんなで食べてたんですけど「肉は旨いか?」って聞いてくるもんですからアリスも「うん凄く美味しいよ」って答えたわけですよ。
最初は知り合いかと思ったんですけど見た事もない人たちでした。
したら「俺たちも食いてえから金よこせよ」って言ってきたわけなんですよ。
それを聞いたアリスが「あ兄ちゃんも肉食べたいの? でもお金がないから食べられないのね…可哀そうだからこれあげる」って完食した串を渡そうとしたんですよ。
その串を見た全員の頭に「?」が浮かんだわけなんですが、事も無くアリスが言う訳ですよ。
「肉は無いけどまだタレは付いてるから嘗めていいよ」ってね。
その後は裏に連れていかれてボッコボコですよ…相手が。
最後にアリスが「本当にお金持ってないの? 飛んでみてよ」って言った訳ですね。
案の定、無一文じゃなかったようでそのお金を集めて、因縁をつけてきた少年(6人)に串肉を買ってあげたそうです。
有り金全部串肉と消えました。
俺もアリスも同級生のみんなも笑顔で串肉をお替り出来ました。
当然、少年6人も串肉を食べて笑顔になってましたよ。
学園長も他校の生徒を倒した俺を怒るより学園への監督責任を問われないで済んだんだから良しとしましょうよ。
それに目の前で子供が攫われたら助けてあげたいのが人情じゃないですか。
盗賊団のアジトの場所を警備の皆さんに教えたのも僕なんです。
私は何もしてませんよ。
本当です!
私は盗賊団のアジトを見つけて警備隊の皆さんに教えただけなんです。
え? 盗賊団が全員痺れて身動きが出来なかった?
いや~僕は痺れ薬なんて持ってませんよ。
え、電気? 魔法? いや僕じゃないですよ。
学園長も俺ばかり怒るより学園への監督責任を問われないで済んだんだから良しとしましょうよ。
アリスを庇ってるわけじゃないんです。
言ったじゃないですか。
アリスの対人スキル。
あのおかげで全て俺の起こした事件だと思ってるようですけど、全てアリスが発射台なんですってば!
そんな事があって、いやありすぎて男子も俺に絡むことが無くなった。
子供って凄いね。
あの危険察知能力と言うのか、長いものには巻かれろって言うのか。
鋭い視線をしてた人達が委縮した視線を向けてくるようになりました。
でもさすがに力が支配する世界と言うのでしょうか。
色々あったあと、積極的に俺と行動してくれる人も増えました。
そんなチヤホヤ生活から1年後、みんなが俺とアリスの事を本格的に年下の子供と見なくなる事件? が起こる訳なのだが、それは、また別の機会に。