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神様?いいえただの悪魔です。  作者: 次元
第3章:死者の星
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第31話:化かし合い

まだまだブッコんでいくんで夜露死苦ぅ!


てなわけで続きをどうぞ

中学生3人組は両親を探しに校舎の中へ、その間に俺は情報収集。

なにぶん、騒動以降ずっと引き籠りだったので世間一般的にどういう状況なのか分からないからだ。

ご近所や近隣周辺の状況を見るに終わってる感は分かるが。


「彼女たちが両親を探してる間に、あなた達の事聞いても良いですか?」


俺は同年代であろう男に話しかけると、俺たちの事も教えてくれと言いながら校舎入口の段差に腰掛ける。

俺もその場に腰を掛けて煙草を取り出し一服すると、様子を窺っていた周りの男たちも物欲しそうに大きく溜息をつく。


俺は「吸いますか? どうぞ」と煙草の箱を渡す。

みんな一本ずつ取り煙草を肺の隅まで行き渡らせるように大きく吸い込むと「ファ~」と煙を吐き出す。

久しぶりのヤニに頭がクラクラしているのか目を瞑りながら何度も煙草を吸い込む。


「みなさんはゾンビ騒動からずっとこの小学校に居るんですか?」


まずは当たり障りのない話から開始する。


「いや、最初に居たのは年寄だけだったかな、でも騒動から1週間ほどで住民が増えて行った」


会話に答えてくれた人もタバコのお礼にと普通に話してくれる。


「ここには自衛隊とか来なかったんですか?」


「いやこっちには来てないな。最初は消防とか警察とか居たんだけどな。物資を取りに行くとかで出て行ったきりだ」


「ここには何人ぐらいいるんですか?」


「何でだ?」


おっさんが訝しげに眉間に皺を寄せた。

質問がストレート過ぎたか?


「避難している人数によっては物資も足りないんじゃないかと思いまして」


まあ、訝しんだのだ。

その答えは信用できないと見ていいだろう。


「…ここには30人位の老人や女子供を含め避難民が居る。確かに物資は心もとないな。できれば武器を持ってる君たちが物資を運んできてくれないか?」


ほう、俺たちの武器をよこせと言わずパシリにしようとしてるのか?

もしかして俺たちが保護を求めに来たと思ってるのかな?


「考えておきましょう…ところで1週間近く前に近くの中学校から逃げてきた人達は居ませんでした?」


「いや、来てないと思うが?」

「ああ、俺も知らないね」

「ああ、誰も来てないよな」


今まで黙ってタバコを吸ってた連中も話に入ってきた。

質問の内容から怪しさ満点だ。


「ところで、さっきの話だが、物資を持ってきてくれないか?」

「武器を渡してくれたら俺たちがあんたらの分の食糧も取ってきてやるよ」


やっぱりそう来たか。

案の定と言うか予想通りと言うか。

俺は宏樹に目をやると完全に疑う様な眼差しだったのでやんわりと断る方向で話をする。

そうすると丁度校内を見終えたのか、三人が付き添いの男と帰ってきた。


「どうだった? 家族は居たか?」


俺はまゆゆに話しかけるが首を横に振っている。


「そうか…ところで相談があるんだが…」


俺は30代の男に目を向ける。


「この子をここで保護してくれないか?」


俺はハルちゃんの肩をポンと叩く。

30代の男はハルちゃんを見た後に俺の方へ顔を向け返答する。


「ああ、それはいいが、その子だけか?」


男は了承すると他の男たちもハルちゃんを舐めるように観た後で薄ら笑いを浮かべる。

俺はその姿に少し苛立ちを感じるが、ハルちゃんの事に関しては我関せずを決めたので男たちに「お願いします」と礼をするとすぐにまゆゆが割り込んだ。


「あ! あの…私も良いですか?」


男はまゆゆを見て「ああ」と了承する。

周りの男たちはほんのり薄ら笑いを浮かべてる様に思えるが気にせずまゆゆの方へ視線を向けた。


まゆゆは、俺に何かを訴えるような視線を送ってくる。


「そっちの子は良いのか? あんたらは?」


男は続けざまに俺達に問いかけてきたので、俺たちはここを出て近くの避難所(中学校)へ行くと伝えた。


「外に出るのか? 周りはゾンビだらけだぞ?! それよりもその武器で一緒に食料を探さないか?」


男の言ってる事は尤もらしいが…どうにも話の内容に矛盾する箇所がある。


「武器を渡してくれたら俺たちが食料を取って来るからよ!」


確かに武器を持っていればゾンビにも対応できるだろう。

しかし武器は何も銃だけではないだろう? ここは学校だバットでも棒でも何でもあるだろう。

本当に食料が無く危機的な状況だったら、補給も望めない危機的状況が目に見えているなら、何で自分達で武器を手に外に出ない?


明らかに他人任せの連中だ。

避難民は女子供老人を含めて30人位と言っていた。


ここに居るのが8人の男。

少なくとも教室の窓から見えた男の人数は20人以上は居たのに、窓から様子を伺う中に女子供が居なかった。


女子供や老人はどこにいる?

明らかにこいつらは嘘を言っている。


銃を持ってる俺達に強く言わないだけで明らかに略奪者だと思う。

もしくはその予備軍か?


「いや、俺たちはここを出て中学校に行く。この子の親がいるかもしれないからな」


俺はユウコりんの頭に軽く手を置く。


「そうか、では彼女たちはこちらで保護する。彼女たちの両親も我々が責任もって探すよ」


表面だけならいい人と言う感じだが…


「頼みます」


軽く一礼をして校庭を出るために振り替えると後ろから声をかけられる。


「ところで、その中学校はどこにあるんだ? その中学校にはまだ物資があるのか? 避難民は?」


俺は顔にこそ出さないが怪しみながら中学校までの道のりを説明する。


「校庭にゾンビは居るがその数は多くない。避難民は校舎に立て籠もっているが人数が少ないおかげで物資もまだ余裕があるし自衛隊の置いて行った武器もあるから安心だ。」


明らかな嘘の説明だが真実も織り交ぜる。

中学校までの道のりはここから見える事もあり説明するまでも無いのだが、ゾンビのあまり居なかった道のりを説明する。

まゆゆは俺の目を見ながら何か感じたらしく、持ってるM4に力が入る。


「じゃ…元気でな」


ハルちゃんとまゆゆにそう言うと俺たちはゾンビの少なそうな場所を探しまわる。

その様子を男たちは眺めていたが、俺たちがゾンビのいないフェンスを越えるのを確認すると校舎の中へ入って行った。



俺は小走りに学校周辺の民家を探る。

ある一戸建ての家屋には鍵がかかって無かったので、素早く中に入り鍵を閉める。


宏樹とユウコりんはそのまま各部屋を調べゾンビが居ない事を確認する。

俺はそのまま二階に上がり部屋の雨戸を静かに閉める。


明かりが漏れそうな箇所に下の部屋で見つけた段ボールとガムテープで目隠しをする。


「さて、作戦会議です」


そう言うと、宏樹とユウコりんも座る。

俺はリュックから通信機を取り出す。


「おっ! さすが先生! 考えてるね~」と俺を褒めたたえる。

ユウコりんも察したのか「どこに?」と俺に訊いてくる。


実はまゆゆも残ると言う事を見越して事前にまゆゆに送信機を渡して靴下に入れておいてもらった。

その前に宏樹はこれ知ってるからいいんだけど、通信機を見ただけで仕込んだのが盗聴器とか見破れるユウコりんが怖いんですけど。


「さすが武志さん。晴美先輩を見捨てて無かったんですね!」


ハルちゃんに関しては本当にどうでも良いです。

俺的にはまゆゆの方が本命ですから。


「…そんな褒めたって何にも出ないし、ハルちゃんよりまゆゆを見捨ててないってだけだし」


そう言ってもユウコりんは含みある笑みを浮かべるだけだった。


早速通信機の電源を入れて音量を上げる。

周波数は事前に合わせてある。


「…それ……こ……てて…」


「は…」


「晴美ちゃ…も…こに座って」


「あり…とうござ…ます」



「おお、受信できた」


距離はそれ程離れていないが、久しぶりに扱うので少し心配だったが杞憂だったようだ。

微調整が終わり音声が鮮明に聞き取れるようになると宏樹は「GOOD JOB」と親指を上げる。

それを見てユウコりんも親指を上げるので俺も親指を上げる。


「さて、早速だが…その物騒なモノをこっちに預けてもらって良いかな?」


俺たちは会話の内容をじっくり聞き取る。


「あの…これは渡すことはできません」


「どうしてだ? そんなものを持っててどうする気なんだ? 君がみんなを助けてくれるとでも言うのかい?」


「そうじゃないんですけど」


「だったら渡しなさい。子供が持つ物じゃない」


「これは武志さん達に貰ったお守りなので!」


「いいから寄こしなさい!」


「ああっ…」


「ありゃ? これ見てくれよ、この銃、弾入ってないぜ?」

「ああ、こっちもだ。弾が無きゃ只の棒だぜ」


「あの、返してください」


「ちっ…弾が無きゃ意味ねーし、返してやるよ」


自称、避難民とまゆゆのやり取りを聞きユウコりんの眉間に皴が寄る。


「…武志さんの読み通りですね」


「ま~ね」


「この後、どういう事になると思います?」


「ユウコりんが中に入った時、入れない教室なかった?」


「はい、散らかってるとか、怪我人が居るとか…何かと理由を言って入れない部屋がありました」


「ふむ…多分…今日くらいに中の連中、中学校に行くと思うんだよね」


「今日ですか?」


「ああ、俺たちがすぐに中学校に帰ったと言う事は、中学校には安全に帰れると思ってるんだろう」


「なるほど…」


「で、その間に二人は強姦されると思うね」


「いきなりですか!?」


「ああ、いきなり。こう言う場合って、留守番をする人間が大抵待ちきれず行動に移すってお約束でしょ」


宏樹は鼻で息を大きく吐き出すと予備のマガジンと残弾を確認する。

ユウコりんもその行動を見て察したのか、P220の予備マガジンと弾を確認する。


「で、いつ行く?」


宏樹が一通り準備を入れるとやる気が漲ってるのか銃を構えながら聞いてくる。


「もう少し様子を見てだな。まゆゆやハルちゃんから中学校の様子や行き方を聞き出すはず。そうしたら確定だね」


宏樹とユウコりんも首を一つ振ると声が聞こえてきた無線機の方へ視線を送る。


「ところで、麻由ちゃん?」


「はい、何でしょうか?」


「どうして君たちはここに残ったの? 向こうの方が知り合いとか居たんじゃないの?」


「そうなんですが…向こうの人たちは私の両親を探してくれないって、そんな危険な事は出来ないって言われて…だから、探してくれると言う人が居るここに残ったんです」


「なるほどね。中学校に居る連中は最低だね。安心しなよ。俺たちが一緒に探してあげるから」


「あ、ありがとうございます」


「ところで、中学校にはどうやって行ったらいいのかな?」


「何でですか?」


「向こうには物資があるんだろ? 当然…武器も」


「そうですが…中学校に行ってどうするんですか?」


「武器が在ればゾンビに対抗できる。そうすればここの避難民だけじゃなく、君たちの両親も探しやすいし助けられるだろ? 生き残ってる人たちも少ないそうじゃないか。仲間は多いに越した事ないしね」


案の定、予定していた通りだった。

聞いてれば至極真っ当な会話に思えるが、予想している内容通りだったので「黒」と断定する。


「はい確定! 作戦を練ります。まずは、この家の庭も学校の敷地に面してます。日が沈んだらフェンスを越えて校舎に取り付きますよ。」


「すぐには侵入しないんですか?」


「合図が来るまで侵入はしない」


「…合図?」


「多分、まゆゆが発砲する」


「ああ、そう言う事ですか。麻由先輩も何か思う所があったみたいですからね。だから自分を犠牲にしてあそこに残ったと言う事ですか」


「だろうね」


「晴美先輩はどうするんですか?」


「ん? どうするとは?」


「やっぱり連れて帰るんですか?」


「ん~…念願の生存者に遭った時点で目標達成だし、俺は関わりたくない。最後の判断は本人に任せよう」


俺はあまりハルちゃんを良く思っていない。

その為、どうでもよくなっていた。

少し残念そうに、しかし納得したようにユウコりんが若干俯く。


さて、ここでのんびりもしてられない。

発砲があって行動を起こしても遅いだろうし。


そんな訳で俺もいつでも行けるように準備を始める。


本当はもっと駆引きみたいなのを構想してたんですけど

おじちゃんバカだからそこまで広げられなかったよ。


そんなおじちゃんにご意見ご感想あったらお願いします。

評価なども頂けたら嬉しい限りです。

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