表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様?いいえただの悪魔です。  作者: 次元
第3章:死者の星
140/384

第25話:必死な人たちと自堕落な人たち

相も変わらずチートは出てきません。

ってかガラリと物語が変わってますが気にしないで下さい。


それでは続きをどうぞ。

「ふわ~~~~~~~…」


意味もない筋肉痛と戦いながら体を起こし背筋を伸ばす。


久しぶりの遠出(僅か500m)で知らない民家での1泊2日と言う事もあり、昨晩はビールをカッ喰らって深い眠りに落ちていた。

気怠い体を起こしトボトボと階段を上りリビングに入る。


中学生三人トリオが慌ただしく台所とテーブルを往復している。


「お、おはよ…何してるの?」


「あ、おはようございます! 朝ご飯すぐできますから座ってて下さい」


元気に挨拶するのは、卵焼きを作ってるまゆゆだ。

時を同じくして宏樹もノッソリと降りてくる


「う~っす…うわ、朝ご飯だよ!!」


「宏樹さんもおはようございます!」

「「おはようございま~す」」


「く~っ…手作りの朝ご飯なんて何年ぶりだろ~」


と言いながら右腕を目に当てて泣き真似をする宏樹。


「いや、喰いたかったら自分で作れ」


因みに俺は朝食は食わない派。

小学校の頃から朝飯を食う時間を寝ていたい人なのだ。

まあ小学校の頃は親に無理矢理起こされて飯を食わされていたもんだからその反動で今でも食う時間があったら寝ていたいのだ。


そんな訳で朝飯は作らない。

ってかそもそも宏樹に朝飯なんか作った事もないし。


「ふん、俺は料理できないの!」


「嘘をつくな、バーベキューで肉焼いてたじゃん」


「おま…毎朝バーベキューなんて出来る訳ないだろ」


そんな朝の漫談を遮るように、まゆゆとハルちゃんが味噌汁を持ってくる。

ホカホカ御飯に温かい味噌汁と卵焼きに焼き鮭。

食材が限られるので種類は少ないが、それを補う味の素晴らしさ。

家庭を持つとこのような朝ご飯を毎日食べられるわけですね。


これは物資調達を頑張らなければと心に誓う。


皆がテーブルにつき手を合わせる。


「「「「「頂きます!」」」」」


「この味噌汁旨いな」


「ありがとうございます!」


まゆゆが満面の笑顔で答える。


「お? この卵焼きいいね」


「ありがとうございます!」


まゆゆが満面の笑顔で答える。


あれ? と思って俺は思わずハルちゃんとユウコりんと目が合ってしまう。

目が合った瞬間、サッと避けられた。


「…わ、私は…料理を運びました」

「わ…私はご飯をよそいました」


視線を合わせずに自分たちの頑張りを告白する二人。

あ~料理が出来ないのね。


皆で生活するなら出来る人に教えて貰えばいい。

出来る事は出来ない人に教える。

出来ない人は出来る人に教わる。

これも我が家の家訓として加えよう。


「あの…」


少し俯きながらハルちゃんが訊いてきた。


「「ん?」」


誰に言ったか分からないので俺と宏樹が同時に返事をする。


「あの…その…」と中々先に進まないので「どした? 遠慮しないで言ってみ」と宏樹が言うと


「宏樹さんと武志さんは…その…付き合ってるんですか?」


「ブフォッ」


思わず味噌汁を吹き出してしまった。

ああ、味噌汁がご飯と鮭に飛び散っている…。

ついでに鼻からも味噌汁が流れ出る。


ハルちゃんの質問に俺は即効で否定する。

宏樹も同様に否定しているが、この息の合った否定が他の三人には否定として認識されていない。

本当に疑われたくない。

考えても欲しくなかったのでこの際だ、俺たちの今までの経緯(イキサツ)を三人に話そう。


小学校から現在まで続く腐れ縁。

2人でなぜこの家に住んでいるのか。

どうして避難所に行かないのか等々。


冗談交じりで話していたら、結構な時間が経っていた。


食事を終え、まゆゆが「コーヒーでも淹れますか?」と聞いてくる。

引き出しからコーヒー豆と濾過紙を出し、コーヒーメーカーを動かす。


少し疑問に思って聞いたら俺達が起きる前にリビングを探索したらしい。

5人分のマグカップが登場する。


ハルちゃんとユウコりんがまゆゆを頼る意味が分かった。


生憎と俺たちはブラック派だ…どうやらまゆゆもブラック派らしい。

本当にこの子は14歳か?!


まゆゆ曰く「麦茶にも緑茶にも砂糖やミルクなんて居れないじゃないですか」との事だ。


確かに…言ってる事は正しいような…好みの問題だがね。

残念ながら我が家に牛乳は無い。

調達できたとしても、中身がヨーグルト状でもおかしくない。


ユウコりんは「苦い…」と言いながらコーヒーを啜ってる。

13歳らしい反応に一安心。


あ、と思いだし、パンを作る為のスキムミルクがある事を思い出しスキムミルクと砂糖をテーブルに置く。


さて、今度は三人の事を教えて。

と言ってもゾンビ騒動以降の話で良いからね。


三人は各々顔を見合すと、まずは私からとまゆゆが語り出す。


「私は…」そう前置きをして語り出す。


「その日はいつも通り部活の朝練が有ったので早めに学校を出ようと思ったんですけど、その日の朝は何故かおばあちゃんが起きて無くて。でもお母さんに任せて学校に行きました。学校に着いて朝練して、でもその日の午後に、近所で暴動が起きたとかで授業が中止となって集団下校になったんです。その日はおばあちゃんが具合悪いと言う事もあり、母親と私でおばあちゃんを病院に連れて行ったのですが…」


そこでまゆゆは言葉に詰まる。


「病院で…ゾンビが大量に発生してて…その時は病院もゾンビなんて知らなくて、入院患者が暴れ出したとか、発狂したとかで騒動が起きたんです。一時は収まったかと思ったんですが、入院患者さんや…おばあちゃんまで様子がおかしくなって…」


まゆゆは悲痛な表情を浮かべる。


「まゆゆのおばあちゃんも…ゾンビに?」


俺の言葉にまゆゆは拳を強く握る。


「多分…そうなんだろうと思います…」


まゆゆは半泣き状態で見ていて居た堪れなかったので話を打ち切った。


「みんなは防災無線を聞いて避難所に行ったの?」


「防災無線?」


「ほら、外のスピーカーから火事とか放送するでしょ?」


「ああ、はい、そうです。それに警察の人とかが避難場所の紙を配ってて」


「なるほど…避難所がどうして壊滅したの?」


まゆゆは詳細が分からないようで気が付いたらゾンビが校舎の中に居たそうだ。

同じ教室に避難していたハルちゃんの言う事も同じだった。


「多分ですが…」


そう前置きしてユウコりんが話し出す。


「ゾンビに噛まれた人が避難所の教室に居たんです」


なるほど、ゾンビにバリケードを突破されたのではなく内部から発生したと言う事だな。


「でも、自衛隊とか居たんでしょ? 自衛隊の人達は、避難民の傷の確認とかしなかったの?」


「してはいました。でもその人は、隠していたみたいなんです。思っていた以上の避難民が殺到して、細かくは調べていませんでしたし」


まあ、そもそもゾンビではなく凶暴になった民間人って認識だものな。


「…そのあたりの人たちはゾンビだなんて思わないだろうしな」


当然と言えば当然なのだが


「みんな大変だったんだね~…」


そう言いながら食後の一服の煙を吐き出す。

一応タバコを吸えない3人には喫煙の許可を貰ってるぞ。


「…二人は気楽だったんですね」


「「何か、すいません」」


少し棘のある言い方をまゆゆにされてしまい、二人でなぜか意味が分からず只々頭を掻きながら謝っていた。



モチベーションが保たれてる間はどんどん投稿しますよ!


皆様からの誤字脱字や矛盾等がありましたらご報告お願いします。

ご意見ご感想もお待ちしております。

評価など頂けたら嬉しい限りです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ