第22話:決意
鬱憤を晴らすように執筆してもどうかと思うので焦らず頑張ります。
ですので誰か仕事をくださいシステム開発からWEB作成まで何でもやります(切実)
では今回も調子に乗って連投してみます。
それでは続きをどうぞ
ハルちゃんの答えが返って来ないことでイライラもMAXとなる。
自分が生き残るために他人を利用する。
生きる上で必要だから否定はしないが、その見返りは?
自分も頑張るからって言葉が出ても良いだろうに。
ハルちゃんを守ると言ってる二人にも申し訳無いだろう?
「…だったら、俺達と一緒に居られないな…面倒だから死んでくれ」
俺は投げやりに言葉を吐き捨てるとテーブルのP220をハルちゃんに向ける。
実際にはスライドを引かなきゃチャンバーに弾も装填されていない状態なのでトリガーを引いても弾は発射されないのだが。
「やめて!!」
まゆゆが俺に叫びながらハルちゃんを守る様に覆いかぶさる。
裕子はどうしていいのか分からず「あ、あ…」と声を出している。
「宏樹、まゆゆをお願い」
俺が宏樹に頼むと、仕方がないな…と言わんばかりにまゆゆをハルちゃんから引きはがそうとする。
中学二年生の腕力が30歳職人に勝てる訳もなく、まゆゆはハルちゃんから引きはがされるとそのまま、抑え込まれた。
まゆゆは懸命に「やめて」と懇願している。
そんなまゆゆに俺は軽くウインクをする。
宏樹もまゆゆに何か呟くとまゆゆは困惑する表情を浮かべているが大人しくなり、こちらの動向を見守っている。
「さて、短い間だったけど、さようなら」
そう言いながら銃口をハルちゃんの頭に付けると、ハルちゃんの箍が外れたのか「いや~!」と叫びその場から逃げるようにソファーから崩れ落ち階段目掛けて這って行く。
俺はその前に立ち塞がり、逃げ場をなくす。
「もう一度聞く。死にたいのか?」
「いや…助けてください! 死にたくない! 助けて! 殺さないで! お願いします! 何でもする、何でもしますから!」
「…分かった、じゃあ殺さない」
俺は静かにソファーに座り直す。
まゆゆがハルちゃんの下へ駆け寄り「大丈夫?」と言っている。
そりゃ大丈夫だろ。俺は殺す気も無ければ暴力を振るっても居ないのだから。
まぁ、まゆゆの言ってる『大丈夫?』は精神的な事だろう。
俺だってその位察してるって。
「さて、話を戻そう。ハルちゃん、座って」
俺がそう言うと、まゆゆがハルちゃんの肩を押さえながらソファーに座る様に促す。
「ふう…ハルちゃん? 生きたい?」
『ビクッ』と肩を動かしたと思ったら、頭を下げて懇願してくる。
「はい、殺さないで下さい。何でもします! 助けてください!」
涙でグシャグシャなハルちゃんに俺は再び問いかける。
「じゃぁさっきの続き。これ撃てる?」
ハルちゃんの膝の上にP220を置き、俺は対面に座り徐にビールでのどを潤す。
その隙にハルちゃんは素早くP220を手に取り俺に銃口を向ける。
「は…ハルちゃんちゃ…?!」
「せ! 先輩!」
俺はそのまま、ハルちゃんを見つめる。
見つめながらビールを喉に押し流す。
沈黙の後、何の進展も無い事に再びイライラしだした俺は、半ばバカにしたようにハルちゃんを挑発する。
「中学生が銃なんて持って、どうするつもりよ? 俺を撃つのか? 撃てるのか? そんな根性あるのかよ」
俺の言葉を聞いてハルちゃんは目を瞑り躊躇いながら引き金を引く。
『…カチン…』
引き金が引かれ、撃鉄が打ち下ろされると小さな金属音が鳴る。
俺はパチパチパチと手を叩く。
呆気に取られる2人。
中でもハルちゃんは放心状態で未だに銃をこちらに向けて引き金を引いたままの状態でいる。
俺は向けられている銃をハルちゃんから取り上げ静かに告げる。
「いいかい? はるちゃん。これが生きるって事だよ」
俺はソファーに座って再びビールを飲む。
宏樹はハルちゃんの肩に手を置いて、飲み物を進める。
まゆゆは呆然としているハルちゃんに、心配そうに「晴美ちゃん…」と声をかける。
ユウコりんは相変わらず様子見だが、その表情はハルちゃんを心配しているようだ。
未だに渡されたペットボトルを手に持ち、俯いているハルちゃん。
肩で息をするように上下に揺れる。顎先からは滴が一粒、二粒と落ちている。
まぁ、彼女にしてみたら理不尽だよな。
それは俺も重々承知している。
しかし、俺たちが彼女を守って生き抜くんじゃない。
俺達がお互いを守り生き抜くんだ。
そして、一番信頼できるのは自分だと言う事。
その自分を守るためには形振り構っていられない。
その事を教える為の、演技だった訳だが…
どのくらいの時間が経ったのだろうか…
ハルちゃんも落ち着いてきたのか飲み物を飲み始めた。
「さっきは悪かったね…」
ハルちゃんの肩に手をかける。
まだ顔は俯いたままだ。
「俺はハルちゃんに、いや、まゆゆとユウコりんもそうだけど、生きる為に何をしなきゃいけないのか考えて欲しかったんだよ」
「…どういう事ですか?」
少し怒り気味の口調でまゆゆが俺に問いかける。
「さっきも言ったように、今、君たちを守るものは誰も居ない。だから自分の身は自分で守らなければいけない」
「それは分かりますが…」
ハルちゃんとユウコりんを連れて別の避難場所から学校に逃げてきたんだ。
まゆゆは、もしかしたらゾンビを倒したことがあるのかもしれない。
倒したことが無くても二人を守るために倒さなければならない場面になったらきっと倒すのだろう。
それ位の芯の強さをまゆゆには感じていた。
そして、守ってくれることを当たり前のように考えてるのをハルちゃんに感じた。
ユウコりんは…良く分からないが、守ってくれる人が居なければ自分で何とかすると言う雰囲気がある。
最年少なのにこの子が一番強いかもしれない。
「自分を貶めようとするもの、自分に害を及ぼすもの、自分を殺そうとするものに対して問答無用で相手を倒せるかと言う事だよ。それはゾンビも生きた人間も対象ってこと。」
「…問答無用ですか?」
「そう、我が家の家訓を教えてあげよう。『撃たれる前に撃て』だ」
「「……」」
ハルちゃんはいまだに俯いてるが、まゆゆは痛いモノを見るように俺を見てる。
「…それは…アンタレスの…?」
「あ…あれ? ユウコりんはガチヲタ?」
10代の女子が知ってるアニメじゃないはずなんだが?
「そんなんじゃありません! ただ、アニメとか色々好きなだけです」
人はそれを…ガチヲタと言う…
「まぁそう言う事だ。だからさっきのハルちゃんの行動は、正解だよ」
「そうだよ! 大正解だよ~!」
と言いながら、ハルちゃんの隣で酔っ払いが座る。
随分上機嫌じゃない? かなり出来上がってるようだぞ? このやり取りの間に何本飲んだんだよ。
「ほら…ハルちゃんも飲むかい?」
宏樹は飲みかけのビールをハルちゃんに差し出すと、それを受け取り一気に煽った。
そして俺は顔が青った…。
次回も出来れば連投します(投槍)
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