表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様?いいえただの悪魔です。  作者: 次元
第3章:死者の星
128/384

第13話:宏樹はじめての戦い

今回は…いや、今回もグロシーンがあるので…

でもせっかくですから出来れば飛ばさないで読んで欲しいな。


せっかくの作品を「見ないで下さい」と言えない小市民です。

それでは続きをどうぞ。


―――作戦開始なのである!



早速、2階のベランダから縄梯子で降りる。


大きな荷物(奪った銃や弾薬)の搬入は玄関からだったが、それは仕方無く。

出来れば玄関を使うのは戸惑う。

だって、迂闊に鍵を掛けられない(自衛隊たちが強制避難の為にローラー作戦を再実行するかもしれない)のでゾンビが家の中に入っているお約束も勘弁願いたい。

そんな訳で、玄関が開いたかどうか目印がしてあるのだ。

それに道路に面してる玄関に誰か居たら、ゾンビが居たら、色々面倒でしょ。


そんな訳で、人目の付かないベランダが出入り口となる訳だ。


そして今回も人様の庭を横断する形をとる。


こんな世の中になって正々堂々と道路を歩けるとすれば、軍隊か、余程のバカか、ゾンビに噛まれても問題ない鎧で身を固めているか、ゾンビに相手にされない特殊スキル持ち(チート)か、はたまたゾンビか。

最近は米軍も自衛隊もなりを潜めている為、活動内容を窺い知る事は出来ない。


余程のバカは、この世界有り余るほどいる。


鎧武者は―――居ないだろう…多分。居たら余程のバカの部類の上位に入る。


ゾンビに相手にされないチートは、もしかしたら例外として居るかも知れない。

場合によってはゾンビを使役できるネクロマンサーとか。

完全に剣と魔法の世界だな。

今の世界がファンタジーじゃないと…俺には断言できない。

しかし魔法を使えないのは事実だ。

少なくとも俺達は。


剣士や魔法使いは居ないがゾンビ…今は人類の総人口を上回りそうな勢いで絶賛増殖中だ。



門扉が閉まっていれば知能が乏しいゾンビは庭に入って来ないだろうし、仮にゾンビが居たとしても、狭い庭の通路だ。

囲まれる事も押し寄せてくることも無い。

1体ずつであれば確実に仕留められる。

それに、庭に侵入した場合は、事前に察知できるように罠を仕掛けている。


それに都合の良い事にこの辺は稲作が生きている。

その為、生きた用水路もチラホラある。

用水路の支流だとさすがに何の障害にもならないが、本流はそれなりに水が流れている。


そして用水路の本流には決まって柵がある。

バカゾンビは『柵を乗り越える』知能が無いようで、跨いだり乗り越えたりして来ない。

仮に跨いだとしてもそのまま用水路に流され『さよなら~』となる。


その代り、体を晒してしまうので人に目撃される可能性もあるので一長一短だ。

今回の目的地である民家と学校の間にはその用水路の本流が流れている為、ゾンビに喰われる危険も少ないと思われる。


順調に民家の庭を横切って行くのだが、庭にゾンビが居るのを発見する。


「あ、角の前川さんちの旦那さんだ…」


宏樹もその様子を壁の上から顔を出し確認する。


「ああ、前川さん、御無沙汰してます。随分酷いことになってますね」


宏樹さん、無用な挨拶は…どんだけ余裕なんですか!?

当然ゾンビに聞こえない声量なのだが。


元前川さんは、左手と両足が無いようで右手だけでをフラフラさせて壁に座り込んでいる。

足が無いから座るか這う事しか出来ない。

こちら側にまだ気が付いていないようだ。


宏樹と目が合い、宏樹が親指で自分を指す。

俺も頷き、援護体勢をとる。


と言ってもやる事は一つ。

パチンコを構えて撃つだけだ。


距離にして3m程だろうか。


気を付けろよ?

こう見えても俺は5mの距離を外した男だぜ?

と心の中で小さく嘆く。


そんな事を知る由も無い宏樹はゴムを引き狙いを定める。

念の為に外した場合を想定して、俺も宏樹の1m後方でパチンコを構える。


"シュン"と音をたて鉛玉が飛んでゆく。


と同時に、前川さんの後頭部にHITし、力なく倒れ込む。


くっ…宏樹の初実戦は俺と違い一撃必殺だった。


宏樹はトドメの一撃を喰らわせるため、庭の柵を乗り越えると同時に、前川さんの元嫁が割れたガラス窓から身を乗り出してきた。

宏樹との距離は1m程、後方には元娘(当時6歳)もヨタヨタと室内からこちらに向かってくる。


焦る宏樹。

ポケットから鉛玉を取り出しセットするが弾を落してしまう。

嫁は宏樹に手を伸ばし掴もうとする。


俺は宏樹が嫁に組み付かれる寸前に、持っていたハンマーで前川さんの嫁の頭を叩く。

力いっぱい叩いたせいで、ハンマーが頭にめり込む。

俺はそのままパチンコで元娘(当時6歳)の頭部を撃つが同時に宏樹も撃った様で2箇所穴が開いた。


宏樹が潰されたスイカの様な状態となった頭からハンマーを抜くとすかさずその場を離れ、ハンマーが刺さっていた穴に向け再度パチンコを放つ。


ハンマーを抜いた穴からは血と脳漿が流れ出る。

流石にグロい。

グロいとは言っても心臓が止まっているからなのか、血が噴き出すなんてことは無かった。


宏樹はすかさず前川さん(旦那)の頭部にもパチンコを喰らわす。


まあトドメを刺すのは基本だよね。

でも宏樹は冷静に対処したわけでは無く、無我夢中だったのだろう。

宏樹は鼻息荒く周りを警戒する。


警戒するのは良い事なのだが、さすがに唐突にゾンビに襲われたらそうなるよね。


映画と違ってゾンビは本能で生きてる(?)んだから、気絶しなかったらどんな怪我だろうがすぐに起き上ってくるだろ。

いや待て、ゾンビは気絶するのか?

気絶するのであれば確実に止めを刺す必要はありだな。

俺は脳神経科でも無ければ医者でもない。

ゾンビが気絶するかなんて知るか!


そんな訳でゾンビ追撃してこない事を確認すると宏樹がヘタヘタとその場にケツを下ろす。

橋の騒動の時、初弾を外した俺の気持ちわかったかい?


俺は宏樹の肩に右手を置いて左手で親指を立てる。


言葉には出さないが『GOOD JOB!』と心の中で言ってやった。


宏樹も右手の親指を立てる。

その表情は引きつったような疲れ果てた笑顔だった。


まだ目的地にも到達していないのに、意味不明の達成感が体を支配する。


念のため、前川さん宅を調べる。


どうやら奥さんと娘が感染していた様で、前川さんは嫁と娘に喰われたんだな。

嫁と娘の口の周りは前川さんの血で真っ赤に染め上げられている。

ゾンビ化の原因は……これか?

奥さんの腕と娘の太ももに噛みつかれた様な痕と引掻き傷がある。

どちらが致命傷なのか分からないが、ゾンビ特有のスキル"噛みつき"は感染確定らしい。

ゾンビには感染必須の噛まれる以外にも引掻き感染属性があるとすると簡単に接近戦を挑めなくなる。


良かったな宏樹。

引掻き感染属性があったら危機一髪だったな!


前川さんは命からがらガラスをぶち破ったところでゾンビ化完了と相成ったようだ。

奥さんの腕力はともかく、子供の腕力はどの程度なのだろう?

リミッターが外されてる状態であれば、普通の大人の力をも凌ぐのだろうか?


ま、その辺は考えても仕方がない。


家の中を確認するとリビングは前川さんの血が飛散し赤黒くなって固まっていた。

床には食べ残しである足の骨が転がっている。


宏樹が落ち着きを取り戻したところで冷蔵庫を御開帳。

1週間前の牛肉と卵、白菜、シイタケ、エノキ茸、うどん玉、流しの下の棚にはすき焼き用割下が入っていた。


他にもツナ缶やらトマトピューレに乾パスタにナポリタンとミートソースの缶詰等々。


うん、前川さん宅は1週間前にすき焼きの予定だったんだね。

家族3人一家団欒で食卓にも笑顔が溢れていただろうに…

なんて感傷にも浸らず、食材を緊急確保!


食材が痛む前に供養してあげなくては!


今日はすき焼きだ!!

俺達は前川さん達の替りにすき焼きが食べれなかった無念を晴らす。

それが俺達にできるせめてもの供養だ。


目標はまだ達成していないがもう疲れた。


今日は前川さんちの食材をGETする為のミッションだったんだ。

いや違う、前川さん達を弔うためのミッションだったんだ!


そう心を上書きして家に帰るのであった。


何で略奪者に食材を奪われなかったんだろう?

略奪者はこの辺にまだ来てないのかな。


スーパーとかコンビニが最優先だったのかな?


幸い、我が家の門扉には侵入者を知らせる為のセンサーがある。

外壁にも同様のセンサーが有ったりする。


普通の民家だったら、玄関などに動く者を検知したらライトが付くと思うんだけど、我が家では室外ライトと室内ランプの2パターンある。

普段は室内ランプは消灯させている。

動くモノを感知すると点くもんだから煩わしい。


今は室外ランプを消灯させ、室内のランプを点灯させるようにしているので、事前に動く者(侵入者)が検知される。

こんなご時世、宅配便もお客さんも来ないだろ。


室内ランプが光ったら屋上に出て射殺すれば良いだけだ。

後片付けが大変だが、侵入され略奪されるよりはいいだろう。


その日、再び前川さんの家に侵入し缶詰5個と防災グッズが入った防災袋を物色。

防災グッズの中にはペットボトルの水5本とカンパンの缶詰3つ、ダイナモ(手動式自家発電)ライト付ラジオ、電池(単三10本・単一4本)、シーツに防災頭巾、簡易トイレに簡易浄水器その他諸々。


全部は流石に申し訳ないのでペットボトルの水とカンパンの缶詰、電池は頂きましょう。


防災頭巾を前川さん、嫁、娘に被せ三人のご冥福を祈って合掌しておいた。

因みに3人の遺体はリビングに入れて並べてあげた。

幾ら俺達でもそれ位はしますよ。


腐敗や疫病、害虫発生と色々問題はありそうだが、今のこの状況で火葬も出来ないし土葬も出来ない。

そもそも倒したゾンビをそこまで労う余裕もありません。


主人公補正があるのであれば、ゾンビを全滅させたりする事もしますけどね。

でも、俺たちは気ままな一般庶民。


ヘタレ二人組はスゴスゴと自宅へ戻り、その日収穫のすき焼きを平らげましたとさ。



すいません、嘘つきました。

すぐに投稿すると言って翌週になってしまって申し訳ない。


誤字脱字や矛盾等がありましたらご報告お願いします。

ご意見ご感想もお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ