第8話:終わりに始める?
新章突入で調子に乗って毎日投稿しておりましたが、ストックが…
申し訳無いのですが次回から週刊投稿になります。
気が向けば早く投稿するかも?
それでは続きをどうぞ。
ドドドドドドドドドドドドドドドド~ンンンンンンンンンンンンンン……―――
物凄い轟音と震動でさすがの宏樹も目が覚めたようだ。
「んが?! こ、今度は何が起きたんだ?」
泡を食ったように宏樹が俺に質問を投げかけるが、宏樹と同様に俺にも考えが覚束ない為、俺は両掌を上に向け首を傾げる。
俺達は頭に『?』が並んでいる状態でありながら、轟音に一抹の不安を抱えたまま屋上に上がって呆然。
ある方向で黒煙が立ち上っている。
ま、まさか、軍の砲撃?
いや、空爆??
黒煙は近くの端から立ち上がってる。
「橋が…爆破されている」
遠く離れた方角からも黒煙が上がっているのが分かる。
ドド~ンンンンンンンンンンンンンン
音が遅れて到達する。
爆破された近くの橋には……戦車? いや装甲車の姿が見える。
何で橋を破壊したんだ?
あれ…もしかして避難民をこちらに来させないようにするため?
いや、俺達みたいな非避難民をこの場所から逃げ出さないようにするため?
…じゃないな、ゾンビの行動範囲を広げさせない為か?
橋の一部を壊し簡易的な国境のようにゲートが設けられている。
とても人がジャンプして飛び越せない様な感じだな。
仮設的に設けられた橋を渡る以外、川の向こう岸には行けなくなっている。
今までの自衛隊にはあり得ない行動だ。
寧ろ、橋の復旧作業を行う側だったはずなのに。
事態は思っていた斜め上を行っている。
上空にはヘリが滞空している。
俺は軍オタじゃないからヘリの種類は分からない。
しかし、機体側面に日の丸を表す赤い丸があるから自衛隊だと分かる。
『こちらは防災秋志摩。只今、この地区に於いて日本国政府によるによる非常事態宣言が発令されております。付近の皆様は、警察、消防、自衛隊、自治体の誘導に従い、指定の避難所へ避難して下さい。』
『こちらは防災秋志摩。只今、この地区に於いて日本国政府によるによる非常事態宣言が発令されております。付近の皆様は、警察、消防、自衛隊、自治体の誘導に従い、指定の避難所へ避難して下さい。』
『こちらは防災秋志摩。只今、この地区に於いて日本国政府によるによる非常事態宣言が発令されております。付近の皆様は、警察、消防、自衛隊、自治体の誘導に従い、指定の避難所へ避難して下さい。』
昨日から流されている市役所の放送だろうか。
防災無線が引切り無しに放送してやかましい。
まぁ、そりゃそうだろう。こんな時に放送しないでいつ活躍するんだよ。
あっちこっちのスピーカーから流れて、音ズレしまくりで住民は聞き取れるのだろうか?
尤も聞き取るも理解できるも出来ないも自衛隊が一家屋、一部屋ずつ見て回って住民を強制移動させているんだから、理解は関係ないか。
中には反発する人も現れるんだろうが、屈強な自衛隊に反発できないだろうし、してきたとしても厚着基地の動画を見る限り銃の使用を許可されているんだろう。
この機会にDQNとかは死んでくれるとありがたい。
住民は緊急避難場所に集まれと…防災無線では避難場所を頻りに放送しているが……
何度もツッコんでるが、災害がゾンビなのになぜ1箇所に集めるのか!?
…まさか、街を爆撃なんて…しないよね?
輸送機を使って安全な離島に避難するにも日本の人口を賄えるほど領土がある訳でも無いだろうに。
しかも、世界中で大惨事になってるのだから…
これを機にどこかの国が侵略してきたとか…?
あり得るとしたら北海道か沖縄?
しかし、世界中でゾンビが発生してる時に…いやシナ国とロシ国ならやりかねない。
チ〇ン国なんて岳島に上陸してるんじゃないか?
まさか、日本全体を離島とみなして安全地帯の橋頭堡にしようとか?
それだったらオーストラリアでもいいだろう…
まさか、5大陸を捨てて離島を確保して、その中に日本も入っているとしたら。
離島争奪世界大戦勃発!?
―――ありえる………いや、あるか?
大陸のゾンビを駆逐するより離島のゾンビを駆逐した方が楽だもんな…住民諸共。
怖い…ゾンビより生きてる人間が怖い。
それを密約に政治家や自衛隊が動いているとしたら、今回の様な早急な対応も理解できる。
いや、もしかしたらゾンビの特効薬とか既にあったりして?
それであれば、『一般市民<ゾンビ』の図式になったとしても、対応できるよな。
………信じるか信じないかはあなた次第です!
憶測を並べればキリがない。
とりあえず、今を生き抜く事を優先しよう。
幸いにもこの家の中には備蓄は山のようにあるし、拙いなりに武器もある。
一般市民の暴動にも多少は耐えられる……よね?
俺の数ある憶測を宏樹に話と、そのどれもあり得ると賛同した。
宏樹さんチョロいです。
チョロ過ぎます! 少しは人の言う事を疑ってください。
でも、本当に対ゾンビ薬なんてあるのだろうか?
自分で仮説を立ててそれを少し信じてしまっている俺も相当チョロいかも。
とりあえず、1週間は様子見と称して自堕落な生活をするつもりだ。
部屋に戻り、宏樹とゲームに熱中してる。
リビングには共同の60インチのテレビが置いてあるが、自分の部屋には自分専用のテレビがありゲーム機がある。
ネットワークを利用しゾンビを倒していくゲームに熱中している。
この時期に不謹慎な事をやってると思われるだろうか?
俺もそう思う。
しかし、暇つぶしとストレス発散にはちょうどいい。
ゲームでボイスチャットも出来るし色々話しながら出来る優れもの。
「やっぱりゾンビは走っちゃダメだよな~。こんなにゆっくりなのにヘッドショットかまさないとあっという間に囲まれるし」
「だな。あ! くっそーハンターにギロチン喰らった…」
「ふっ……油断大敵だね」
「こうなったら…これで参戦!!」
「うわ、ロケットランチャー∞で無双参戦ですか!?」
やられたストレスを発散するべく、四方八方に撃ちまくる宏樹がポツリと呟く。
「マジチャカとかはやっぱり欲しいよな~」
確かに、こんな世界になってパチンコとかボウガンはそれなりの武器足りえるだろうが、如何せん対ゾンビ兵器には心許ない。
避難所に避難していない生存者だって大勢いるだろうし。
そう思っているとロケラン無双の宏樹がこちらに向かって発射する。
「そうだよな~やっぱり武器欲しいよな~…げ! 俺までロケランの巻き添え……こんな時は、チャララチャッチャチャ~~ガトリングガン~(青狸風)」
俺も宏樹に便乗して無双参戦!
弾幕薄いよ! なにやってるの! とは言わせない!!
ゲームで無双するにもリアル無双するにも宏樹の発想には甚く同意だ。
元々、銃好きな事が有り、銃刀法違反に該当するトイガンを持っていたりする俺達だ。
こんな世界じゃなくても銃は欲しい。
こんな世界だから尚のこと欲しい。
どう考えたって、パチンコで生き抜けるほどチョロイ世界には思えない。
「ゾンビ以外にクリチャー的生物兵器登場したらクロスボーとかパチンコなんてBB弾と変わらないだろ」
「∞ロケットランチャーとか∞ガトリングとか欲しいよな」
「現実世界にそんなものあるか?! でも、現実問題、武器は必要だね」
「だろ? 近くに装甲車とか来てるんだから武器弾薬結構あるんじゃないの?」
「いや、まだ早いって、ゾンビが来る前に俺たちが的になるって」
「そうは言うけどさ~………ん?」
「…どうした?」
宏樹の操作するキャラが停止して協力対戦プレイが中断した。
宏樹がゲームを終了したからだろう。
「おい、中断したぞ? どうした?」
「…何か発砲音みたいのが聞こえた」
ボイスチャットが出来てるからネットワークが死んだわけでは無いようだ。
「発砲音?」
俺はボイスチャット用のイヤホンを外し、耳を澄ませてみる。
タン
タタン
タタタタン
確かに聞こえる。
この時期、運動会なんてしてないだろうし、確かにグアムの射撃場で聴いた音に似ている。
俺は足早に宏樹の部屋がある3階に行く。
部屋に入ったが宏樹が居ない。
俺はそのまま屋上に上がっていった。
「あれ、射撃してるよな」
「ああ…」
俺たちは昼間に装甲車が停車していた方角を見ている。
今はもう日が落ちた暗闇の中で何が起きてるか分からず、ただ無言でその方向を眺めていた。
ここ数日、家から出ない引き篭もり生活をしていたから、周りがどのような状況になっているのか分からない。
時折聞こえる飛行機やヘリの音以外では、走行する車の音も無い静寂な闇の中で、発砲音と人の怒鳴り声が聞こえる。
しかし、何を言っているかまではここからでは確認が出来ない。
その時だ、宏樹と目が合う。
好奇心に駆られたのか、ニヤリとした笑みを浮かべながらこちらに顔を向ける。
大体、言いたい事、やりたい事は分かる。
が、敢えてその言葉を聞くまで待機すると、思った通りの言葉を発する。
「…見に行っちゃう?」
そして、その発言を否定せず同じくいやらしい笑みを返してしまった。
もう俺の中でもこの世界中で訪れている終末的危機感と反比例して好奇心が湧き出てくるのを抑えられずにいた。
映画やドラマだとそのまま橋って残ってるけど、人の往来を制限するための橋爆破を盛り込みました。
自分的にも無理が無いか?
軍がそんなことをするか?
と思いましたが、ゾンビの本場であるアメリカ。
そして米軍が絡んでたらやりそうだな。
って事で橋を爆破してしまいました。
現実的に無理がある等、
ゾンビ騒動で想定されるご意見ご感想をお待ちしております。