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神様?いいえただの悪魔です。  作者: 次元
第2章:熱血学園編
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第113話:破滅の魔王(前)

お久しぶりね。

私たちがアリスたちと別行動をとって何年になるのかしら。


この世界って私たちの居た世界とは時間の流れが違うって言ってたけど、実際私たちがこの世界に来てから何年経ったかしら。


ハッシュも私も少年少女なんて言われてたのが懐かしいわ。

こんな急成長した娘を見てパパとママは私がスージーだって信じてくれるかしら。


本当だったら学園を卒業したらハッシュと…なんて考えると、元の世界に帰らずこの世界で過ごす切っ掛けになったアリスとアイリスを恨む気持ちもあるのだけれど。

私とハッシュをこの域まで達成させてくれたのも二人と考えると感謝しか無いのだけれど。


アリスたちと別れて私とハッシュはこの星で魔王として君臨してるの。


当然、人間の仇敵として。


人間の私たちが人間と敵対するのも悲しいんだけどね。

それはみんな同じね。


でもアイリスの弟であるアル曰く、この星は完全に"オワコン"だそうで…

言葉の意味は分からなかったけど、この星に数日滞在して何となく意味が分かった。


私たちが人間と敵対してるのと同様に、この星の人たちは人間と争っていた。

どうして人間同士で争い合えるのかしら。

人類の敵である魔王となった私たちの言う事では無いけど。


この世界にも勇者は存在するの。

しかも国ごとに何人も。


神に選ばれた勇者が何人も居たら有難みも何もないのだけれどね。


その勇者でさえ勇者同士で争っている。


つまりこの世界は"終わっている"という事だろう。


だから私たちがこの世界に来たのね。


アル曰く、魔王が降臨した事により人間が一致団結すれば吉。

魔王が降臨しても人間同士の争いが無くならないなら全てを壊しても吉と言ってた。


どちらにせよ、私たちが手を下した人たちの魂はアスラ様の作った仮想天国に行く事になっている。

そこでは輪廻により浄化できなかった業が綺麗になるという話みたい。


詳しくは分からないし説明されても分からないと思うけど。


そうそう、アスラ様に会った時に絶対注意しなきゃいけない事があるみたい。


それは私たちが説明されても理解不能な内容を懇切丁寧に説明してくれるらしい。

本当に懇切丁寧に"時間の制限なく"という事らしい。


だから仮想天国の仕組みみたいに、説明されても理解できない事を私たちが理解できるまで"永遠"に説明してくれるらしいの。


ふふっまるでアリスみたいね。


人を殺さなくてはいけない。

しかも私たちの手で。


尤も私たちが直接殺す必要は無くて、私たちの魔力の籠った…例えばモンスターとかでも良いみたい。

その辺はある意味助かる。


それでも判断は私たち基準。

でも…このバトルロワイアル状態を見るに、前者は有得ないみたいね。


億劫だけど全ての人類の敵になってあげる。

ハッシュも俯きながら同意してくれた。


アイリスが昔言ってたゲームでは勇者が弱いモンスターを倒して経験を積んで強くなって魔王を倒すって言ってたけど、そんな悠長な時間は無いみたい。


だって、人間同士で殺し合ってるんだもん。


少しでも私たちの魔力が通っていればいいみたいだから、私たちの魔力が籠った武器を一杯バラまいた。

人間同士争っても私たちの武器を使ってくれるなら…。

そんな想いを込めて精一杯作ったのよ。


残念だけど魔王の義務を果たす時ね。

さあ、火の1年間の始まりよ。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


―――アイリスサイド


この肉体で転生した世界で俺は人間、獣人、魔人の友が出来た。

そして、その朋友と言うべき連中は俺を置いてそれぞれ試練の世界へと修行に行ってしまった。


残された俺は、悠久の時を共に過ごした4人とある空間に居る。


その空間は神の住まう世界。

そして、人は天界と言う。


しかし、その実態は宇宙空間を一つの球に見立てた世界と世界の狭間。


宇宙の真理を理解した者は”次元の狭間”と呼んでいる。


この空間では時間が存在しない。

この空間では生が存在しない。

この空間では死が存在しない。


球の理からかけ離れている世界だ。


そして、この世界から全てを支配しようとしている神が居る。

まあ、神と言うのも烏滸がましいと言うか厚かましいと言うか…自称神。

その神は神々が構築した世界(球)を使ってゲームをしている。


異なる世界をひとつなぎにして、それぞれを侵略者として戦争を楽しんでいる。


その世界にしてみたら突然侵略してきた相手を敵とみなすのは当然だろう。

しかし元は同じ土地に住む同種同士なのだ。

但し、次元の異なる世界。


言い換えれば、並行世界の同種族を敵と認識していると言う事だ。


そんな状況を自称神であるオーリオンが率先して楽しんでいる。

楽しんでいると言うか、それぞれ敵対している人たちが崇拝しているのがオーリオンという事なのだ。


不幸が不幸を呼ぶ状況、則ち手っ取り早いのが戦争と言う図式。


闘いに勝ったら信仰し、悲劇が起これば神に願う。

そんな状況をオーリオンが作り、信仰心を得る。


自称、神は信仰心を得ればその強さに応じてパワーを得ることが出来る。


当然、他の神に知れたら一大事だ。

しかし賛同しない他の神から察知されない様に、(したた)かに、確実に計画を進めていた。


結合された世界で何が起こっているのか容易に想像できる。


見た事もない民族が次元の裂け目から無理やり押し寄せてくる。

それを迎え撃つ互いの民族。


異なる理を、概念を互いに武器にして戦う。

基準戦力が圧倒的に変わる世界が存在する場合は、蹂躙以外の言葉が浮かばない。


そして、圧倒的優位に立つ人間の考えは卑しくも外道としか表現できない。

しかし、その外道は勝利者から見れば英雄と呼ばれたり勇者と呼ばれたりする。


基は人間であろうと獣人であろうと魔人であろうと等しく全て同じ種族であり根本的な魂は同じ。

そして、同種の命をオーリオンは種別が違うと言う事で滅ぼそうとしている。


時には差別の対象として、時には非難すべき対象として。


性質(タチ)の悪い事にオーリオンは人間神として各世界で奉られている。

そのオーリオンは人間以外の種族を毛嫌いしている。


そしてその思いはさながらグラスからあふれ出すシャンパンだ。


結婚パーティーとかでも見た事があるだろう。グラスの山が作られ、頂上のグラスにシャンパンを注ぐと溢れ出たシャンパンがその下のグラスに溜まり、そこから溢れ出たシャンパンは次のグラスに…。

ここでいう差別とは、オーリオンと言う名のグラスから溢れるように、その思いは信仰者である人間にも浸透してゆく。


その信仰は加護であったり守護であったり、少なからず人間に有利に働く。


その信仰はオーリオンに還元されオーリオンをより強固にする。

神の力とは個人の力量あらず、信仰者たちの想いなのだ。


そんな状況を生み出したオーリオン。

そのオーリオンに真っ向から対立しているのがアスラだ。


当然ながらアスラも万能ではない。

宇宙単位で信仰心を集めるオーリオンに正面から対抗できる力は無い。

そこでアスラの使徒である俺たちがアスラの代わりに時として足に、腕に、頭になって動いている。

例外を言えば、アスラの代わり…なのか、アリスが居る事だろうか。


いやマジオーリオン許せん!




遠くに見える球体が別の球体にくっついた。

その球体は既に3つがくっついていて今回で4個の泡の塊になっている。



「今回はあの泡の塊にみんな居るんだよ」


遠くにあるのに近くに見える球の塊を指さしてアルが説明する。


「あの世界は、もう、どうしようもなく終わってる世界なんだけど、あの人達だったら何とかするかな~って」


事もあろうに、軽く、本当に軽く終わってる世界にみんなを飛ばしたと言い放った。


いや、分かる。

分かるよ?


精神体を強くさせるにはどうしようもなく腐った世界を目の当りにしないと強くならないのは。

でも、あいつらの精神が保つのか?


そんな事を考えているとアリスが何かを察したように優しく言う。


「大丈夫でしょ。みんな居るんだし」


そうは言うけど些か不安がよぎる。


「ん~」


そんな俺を見かねてカイン安心させるように優しく俺を諭す。


「アルもアスラも、いやアリスも言ってるんだ。あいつらを信用してやれよ」


カインは気軽にポンと俺の肩を叩く。


「そうだ。厳しい世界に居れば地盤も強くなる」


直立不動で腕を組んでるカノンの言ってる事は良く分からないが


「そうだな。あいつらが帰って来るまで状況を少しでも良くさせておこうか」


みんなが微笑みながら首を縦に振る。

あの世界では、既に期限の1年が経とうとしている筈だ。


"次元の狭間"では時間と言う概念がないため、幾らこの空間で過ごそうが球の世界へ干渉される事はない。


つまり"次元の狭間"で何十年何百年経過しようが、球の世界には関係のない話。

一段落したら迎えに行けばいい。


神と呼ばれる精神体が"次元の狭間"から宇宙である球に干渉する際、歪が発生し球に拒まれる。

神が直接、球の理に干渉できないのは簡単に言えば容量オーバーだからだ。


例えば、精神生命体は肉体を持たず無限の時を生きる。

その容量を球は支えきれない。

それは精神生命体とて同じ事で、肉体が精神に宿らなければ球からはじき出される。


だれが作ったシステムだか分からないがそう言う事らしい。


その為、神が球の世界に干渉する場合、憑代に一時的に憑依するか、肉体に転生させる必要がある。

その際、回帰された魂を転生させるわけでは無く、横入りのような感じになる為、並行世界や異次元世界、因果律なども合わせて干渉する事になるのだが…

こんな事が出来るのも神と言われる所以だ。


但し、運命と言われる束縛が強い場合、因果律や並行世界に干渉しても不思議と決まった未来へ辿り着く。

幾ら曲げてもお湯に漬けると元に戻る形状記憶合金のような性質がある。

言い換えれば、世界を導く様な定められた運命には干渉できない。


かと言って、運命が必ずしも決まったわけでは無いと俺は思う。


「まぁ、みんな1年頑張ってね!」


俺は|宇宙(球)を眺めながら声小さく呟く。


「その前に! 仮想世界に行く必要があるんだよ」


突然アルがそんな事を叫ぶ。

まるで忘れていましたと言わんばかりだ。


仮想世界。

アスラが急遽、電脳内に構築した世界。

そこでは、アスラが救済の女神となって、差別のない世界を作っている。

ここでは、魂は輪廻転生と同様に魂をリカバリーされ、穢れを払い歪みを更生させている。


オーリオンの配下に殺された人たちは…いや、考えないようにしよう。





そんな訳で、俺たちは仮想世界へと飛んだ。


編集者から打ち切りが出たかの如く急展開です。

私も驚きです。

これ収拾できるのかな…

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