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神様?いいえただの悪魔です。  作者: 次元
第2章:熱血学園編
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第112話:魔王大地に立つ

今話は少し短いです。

短いので次回は早めに投稿したいです(願望)

「あ~暇だよ~」


そう愚痴を口にするのはこの世界に残ったアケミ。


「ねえアリス~ぅ、いっちょ戦わない?」


アケミの言葉を聞いて眉間に皺が寄るアリス


「嫌よ。こっちの攻撃が全て自分に帰ってくるし。正直めんどい」


アケミは口を尖らせブーブーと文句を言う。


「じゃあさ、私は空間操作をOFFにするからさ」


ニコニコ顔のアケミとは対照的にジト目でアリスがアケミを睨む。


「出来ない事は言わない。これ常識」


正面切って嘘つき呼ばわりしないだけアリスも大人になったのだろう。


「でもでも、アリスだったらそんな状態でもアタシと戦えるでしょ?」


それでも引き下がらないアケミに大きく息を吸うと盛大に吐き出す。


「あのね、そうなったら戦いと言わないで普通は死闘って言うんだけど?」


「でもでも、アリスだったら私が死んでも生き返らせられるんでしょ?」


アケミのその言葉を聞いて無言で立ち上がりアケミの目の前で立ち尽くす。

と、アリスはアケミの顔に自分の顔を近づけて無言の圧力を立ち上がらせると、アケミのオデコに人差し指を何度も突き刺す。


「自分の友達を殺して生き返らせるバカがどこにいるのよ!」


と言いながら何度もオデコに指を突き刺し、言葉が言い終わると同時にデコピンをする。


「った~…でもでも―――」


アケミの口癖が出た瞬間、再びデコピンをするアリス。


「でもでもじゃない! あんたにもすることがあるでしょ?! 勇者のお仕事はどうなってるのよ」


再びオデコを撫でるアケミは涙目でアリスを見る。


「それなんだけど、今は魔王が脅威って訳じゃないのよ?」


アリスも状況を理解しているのか無言で腕を組む。


「どういう訳か、今じゃ人間同士が争ってるし、私たちが動かなくても勝手にアスラ様が作った仮想世界に逝っちゃってるでしょ?」


むう、とアリスは腕を組んで言葉を濁す。


「それにさ、この世界はもうおしまいってアルも言ってたじゃない?」


世界を混沌に陥れる魔王の脅威より、人間の方が人間は脅威と感じるらしい。

本来は魔王発生時に団結して魔王を討伐するはずだったのだが…。


俺たちの企みにオーリオンが横槍を入れた格好になった。

人間神だし、人間をかどわかすのなんて大した労力でも無かったんだろう。

それにオーリオンはこの世界の人間を見限ったようだし。


しかもオーリオンの信仰は減らないように小細工をしたうえで。

だから今は勝手に人間同士が争い合ってる中でもオーリオンの信仰は平和な時より上がっている。


そんな状況で人間を省いた他の種族が魔王を滅ぼしたらどうなるか。

人間の協調性がとれないから俺たちの計画は全てパア。


逆に今まで人間に迫害されてた種族が意気揚々と人間を全滅させるかもしれない。

そんな伝説なんて欲しくないしなって欲しくない。


皆が仲良く暮らせる世界を目指しているのに何の意味も無い。

人間は逆に自分たちに実害が無ければ争いや不幸は対岸の火事程度にしか心が動かない。


オーリオンにしたら俺たちの手が入った連中は要らないし、それに乗じて信仰は得られるしで一石二鳥。


何とも歯痒い状態なのだ。


「あ~あ、アタシもみんなと一緒に行きたかったな~」


後頭部で手を組み椅子に寄りかかり前後してるアケミは何とも「暇だ」を表していた。


「あんたはアルに付いて行きたいだけでしょ」


アリスの言葉に顔を真っ赤にして否定するアケミ。

そんなアケミをからかうように笑うアリス。


「アスラ、この状況どうしたらいいのよ?」


俺は誰にも聞こえないような小さな声でぼやく。


好きにしろと言ったが、俺の好きしたらこの世界終わるぞ?


良いのか?


厄介な人間がみんな死んで心穏やかな人間しか残らなくて…


心穏やかな?


死んだ人間は仮想天国へ行ってアスラが洗脳?して心穏やかに…?


アル達がここを出るとき


「ま、とりあえず兄ちゃんの好きにすれば良いんだよ」


って言ってたし、カノンも


「この世界には最早強者は居ない。俺の興味は薄れた」


って言ってたし、もしかしてそう言う事?

本当に好きなようにしても良いの?





「おいアリス、いや魔王様! お仕事の時間です!」



は? みたいな顔で見るのやめてくれる?

アケミも痛い人を見る様な眼を向けない。


「良いだろ? もう好きにやっちゃおう。どうせアスラだってこの事は想定済みなんだよ」


アスラの名が出た事で余計に目を鋭くするアリス。


「よく考えてみ? アスラもそうだしアルが言った事やカノンの言葉」


そう言うとアリスは考え込んだ顔を上げると目を大きくする。


「な? 辻褄が合うだろ?」


「確かに…でもさ…」


アケミはマジで? って顔を向けてくる。

確かにこの話を聞いたら胸糞悪くなるような話なのだが。


そもそも魔王を演じるって事はそういう事だ。


そう割り切って仕事をするしかない。


「って事で、アケミ頼んだぞ?」


アケミは俺の言葉を聞くと渋々と了承する。

納得はしてない様だが。


「って事で、その時が来たらアケミとちゃんと戦ってあげるからさ」


アリスも苦笑いと言うか渋い笑顔をアケミに向ける。

仕方がないと言った顔を浮かべるアケミも


「ま、いい暇つぶしが出来そうだから仕方が無いか」


と、そう言いながら苦笑いを浮かべながら大広間を出てゆく。


さて、獣人と魔神の勇者にも話を通しておこうか。


「さ、行きますよ魔王様」


その言葉を受けてアリスも腕を組み


「ふむ、では行こうか最後の戦争(アルマゲドン)に」



アイリスとアリスの結論。

獣人と魔神は助ける。

獣人と魔神を助ける人間は助ける。


それ以外は倒す。


単純明快。

アイリスとアリスにとって勧善懲悪。


勿論、悪とは魔王と側近ではあるが。



オーリオンの信仰を減らすことは出来なくても、この世界は救うことが出来る…かもしれない。

そんな薄い期待を抱いて魔王と側近は再び人類に破滅を齎す為に降臨する。



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