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神様?いいえただの悪魔です。  作者: 次元
第2章:熱血学園編
105/384

第105話:最終目標?

間違って途中投稿してしまいました。

一度削除して再投稿しましたので、気が付いちゃった人はスルーしてください。

突然の旧友の襲来、そして弟との再会。

この肉体としては厳密には兄弟は居ないのだけれど、前世の前世の大昔。

物心つく前では本当の弟。

この弟がマジでデキる弟でさ。

優しいしイケメンだし仕事は早いしミスしないし。

ホント、頼れる弟な訳だ。

兄としては完全に完璧な弟なのよ。


え?

劣等感?

そんなのある訳ないじゃん! アルだけに!


ってな訳で、弟の紹介に3時間くらいじっくりゆっくり皆に聞いてもらおうと思ったんだけど、アルを含めた全員から総ツッコミを頂いたので話そこそこにアル、カイン、カノンを紹介する。

見た目20歳半ばの青年に15歳の少年が兄と言ってるのに違和感を覚えるのだが、みんなそこは事情も知ってるので敢えて何も言わない。


「しっかし、お前ら今までどこで何してたんだ?」


15年ぶりの再会だと言うのに"先週何してたんだ?"と言う様な軽い会話から始まった。


「そう言えばキャノンから聞いたけど、カノンは500年前にここに居たんだろ?」


「ああ」


寡黙な男が低い声で答える。


「500年前にここで何してたんだ?」


イーサの顔が引きつる。

見た目20歳後半のカノンが15歳のアイリスと500年前の話をしている。


魔人を名乗るイーサやノルンでさえ、15年と言う歳月がこの5人にはあまりにも短い期間なのだと気付かされる。

そもそも魔人、いや、魔人は人間族に比べ遥かに寿命が長い。

場合によっては、500年前の勇者と魔王の戦いを実体験で語れる程の長寿だが、その種族から見ても途方もない時をこの5人は過ごし、そしてこれからも過ごすのだろうと思う。


だから、15年程の月日はそれ程までに長くは感じないのだろうと思っていた。

それは魔人ではないハッシュを含めた全員が暗黙の了解として享受した。


皆が苦笑いをしている横で、アイリスがカノンにまだ質問をしている。


「この世界に逃げ込んだオーリオンの使徒を倒す為だ」


簡潔に完結。


「…お前、相変わらず口下手だな…で、その使徒はどうした?」


「別の世界に逃げたから追った」


カノンは自分から語ることはしない。

だからこちらから質問する以外、会話としては成り立たない。

しかし、決して嘘や隠し事をしている訳ではない。

単純に口下手なシャイボーイなのだ。

脳筋ともいうが。


「なるほど、だからキャノン曰くある日突然居なくなったわけか、その使徒ってどうした?」


「喰った」


皆目が点になっている。

本当に口下手と言うか言葉足らずだよな。


「―――そうか」


「旨かったぞ、リアライゼーションフードレベル1で再現してやろうか?」


文字通り、額面通り"食った"のかよ!

てっきり喰ったって言葉は比喩か何かだと思ったのに。


「それは、また別の機会に」


そう言えばカノンってそんな奴だったよ。

カノンが比喩なんてするわけ無いもんな。


こいつ俺たち5人の中で一番ワイルドだったんだ。


1ガロンのコーラを蓋を開け、すぐにキャップは捨ててしまう。ワイルドだろ?

勿論、そのコーラはものの数秒で尽くしてしまうのだ。

なべさんも顔負けの一気飲み。


良く言えばワイルドなのだが、悪く言えば品性がなければ食材に嫌悪感を抱かない。

だから食えるものは何でも食う。

カノンの中では「生き物=食材」なのだ。


しかも保存と言う概念が無い。

あの体は全て胃袋なのでは? 或いは胃袋が人の皮を着ていると思われる程に、まるでブラックホールだ。


食に関してこの世の形あるもの全てが食材と言わんばかりに何でも食おうとする。

そのくせ、ろくに調理はしない。

肉は大抵生肉。魚は生魚が基本なのだが、本人は刺身だと言い張る。

大方、その使徒と言うのもカノンにしてみたら非常に美味な食材と思われたのだろうな。


キャノン、食材と思われなくって良かったな。


キャノンを横目で見てると、目があった。と同時に毛づくろいを始めた。

猫は毛づくろい(グルーミング)で気持ちを落ち着かせるらしい。


「ところで、今の現状…理解してるんだろ?」


俺はアルに視線を向けて問いかけた。


アルは終始笑顔で首を縦に振った。


「アスラはこの状況を望んでいたのか?」


右手のコブシを顎に当て俯きながら「ん~―――」と前置きした上で、


「概ね間違ってはいないかもしれない」とだけ答えた。


俺は、腑に落ちないながらも、アリスを見るが、アリスは「私が分かる訳ないでしょ」と返すだけだった。




―――今の現状―――




ある日、各国の王が集まっていた城が存在する国、ニューダルカで太陽が生成された。

それはまさしく太陽であり、核融合による核爆発に相当する。

しかし、現代の核爆弾のように放射性物質をまき散らすもので無く、また、衝撃波を伴うものでもなかった。

事実、ニューダルカを訪れた行商に不調を訴える者もなく、近隣の国や村で衝撃波や異常な突風を報告した者も居ない。


しかし、この異常現象を機に人類は互いに互いを喰らいつくし、人類は自然と滅びて行った。


各国では、残された国の上層部が互いに表だって殺戮を始め、戦が始まれば金が動く。その戦に肖ろうと商人が群がる。

自ずと国民も戦に駆り出され、惨劇が惨状を呼ぶ。


最早、魔王が手を下さなくとも人類は勝手に数を減らした。

この星で生きている人類は一部を除き、獣人や魔人と生活を共にしている僅かな人数だ。


図らずも人類、獣人、魔人が手を取り合い協力しながら生活している。

労せずとも魔王と側近、いや、アイリスとアリスの望んだ当初の目的は達成されたのだ。


しかし、アイリスもアリスもこの状態を決して望んだわけでは無かった。

その為に、死した魂を仮想世界に転移する様にしたのだが、全てが無駄だった。


悠久の年月を生きる為、魂が行き着く先も知ってるし、現にアイリスは転生している。

例外と言えば、前世の記憶も持ち合わせている事であろうか。


この世で死を与えられた生物は等しく別の生命体に生まれ変わる事になる。

各宗教にもある輪廻転生だ。


しかし、目の前の死を受け入れ易いほどアイリスもアリスも人間が出来ている訳ではなかった。


「今回の人生では不幸でも来世では幸せに生きてくれ」とは露程も思えなかった。


だから今回の現象を起こした神を許せるモノではなかった。

しかし、自分たちの不甲斐なさもまた許されるモノでもなかった。


それはなるべくなら殺しを是としなかった自分たちに落ち度があると考えていたからだ。


「俺はニューダルカに仕掛けた奴が許せない…アルは誰の仕業か分かってるか?」


アイリスは眼光鋭くアルを見る。

その眼光に反比例するようにアルは優しい目をアイリスに向ける。


「うん、でも兄ちゃんも見当は付いてるんでしょ?」


確信はあった。

しかし仮にも人類に崇拝されている奴のする事か?

心の奥底では神を自称している連中がそんな事をするわけが無いと思っていた。


「…やっぱりオーリオンか」


アルはコクリと首を縦に振る。


「元締めはオーリオンだけど、今回の仕掛け人はサクリイスだよ」


その名前を聞いてピクリと片方の眉が上がる。


「サクリイス? 生贄の天使か?」


生贄の天使サクリイスとは、生贄にされた魂の集合体。

神を鎮める為、自ら進んで人のためにと願い出た生贄の魂の使徒。

元は純粋な魂の集合体だったのだが、いつしか、理不尽な暴力で望まざる生贄として奉げられた魂が比重として多くなり、自ら生贄を欲するようになった荒魂だ。


「それとスルト」


投炎者スルトとは、嘗ての神戦の戦いにおいて、先陣を切って意気揚々と戦場を駆け回ったオーリオンの使徒。

スルトの放つ炎は7日間燃え尽きる事が無いと言う。


「でも、ちょっと待てよ? どうやって精神体である連中がこの世に顕著できるんだ? おかしいじゃね~か? それこそ転生でもしな…あ?!」


アイリスは自分の発言で腑に落ちる。


「そうだ、神の地位を捨てて堕天したんだよ」


カインはアイリスの言葉を聞いて捕捉する。


嘗て、大天使の地位を捨て、虐げられる民族の為、神に立ち向かった天使が居た。

伝承ではその天使は天界との戦いに敗れ、神を信仰する人間には、ルシファーともルシフェルとも、サタンとも呼ばれた。


「まじか…?」


神の使いである天使と、神そのものが天界を追われ堕天するのとでは、大きな違いがある。

使徒とは神に仕える使者だ。


大きく区分すると師匠と弟子みたいな関係な訳だが、弟子が悪い事をしても師匠は弟子の行いを見て再び天界に昇天(帰る)ことが赦される。

簡単に言えば

天使=神の言う事に忠実に行動するロボット

神=ロボットに指令を出すプログラマーなのだろうか


そう考えると、ロボットに意思が生まれれば創造者は神なのだろうか?

まるでどこかの漫画の様である。

しかし無から有を作り出せないように天使と言っても人間が昇華した存在だったり、肉体から解放された精神生命体だったりをベースにする。

だから何度も言うが神と言うのは名目上であって管理者なのだ。

だからオーリオンが神を気取る事にアイリスたちは嫌悪感を露にする。


そんな所でハッシュが素朴な質問をする。


「あれ? そう言えば、アイリスとアリスは違うかもしれないけど他の3人は神じゃないの?」

「そうよね? 天界から来たんでしょ?」

「あなた達が天界から来れるとしたら、神だって来れるんじゃないの?」


普通はそう思うか。

アルはともかくこいつらはこんな見た目だけど人間離れしてるしな。


そう言えば、俺は転生したのにカノンもカインも転生したようには見えない。

あ、オーリオンの術が不完全だったから俺みたいに転生してないんだっけ?


皆の目線が3人に集中するが、カノンは直立不動で腕を組み「知らん!」と言いたげにドヤ顔をしている。

カインは目が合うと、サッと目を逸らし俯く。

アルだけは笑顔で「聞きたい?」って目で訴えかけてくる。


「んふふ、教えてあげるよ」とアルは後頭部を掻きながらみんなの方を見やる。


実は…と前ふりして、とんでもない事を発した。


「兄ちゃんもアリスも、それにみんなも仮想天国に行ったでしょ?」


仮想天国、それはアスラ(仮)が鎮座する仮想空間。

この世界で死したモノが強制的に送られる場所としてアスラが構築した世界。


「ああ、俺たちが殺した人たちを収容して仮想アスラが洗脳…じゃなかった、再教育するところだろ?」


アリスが"洗脳"の言葉に眼を鋭くするが、笑顔で乗り切る。


「あそこ、実は天界なんだよね」


「はぁ!? とてもそうは思えなかったぞ!」


「うん、オーリオン達にも気が付かれない様、何層も階層や空間を変移させて作ったからね」


「…おい、もしかして、仮想アスラって…本人なんじゃないのか?」


アルはあからさまに俺から目線を逸らして「どうなんだろうね? 別人なんじゃないの? 実はロボットとか」等と言ってる。

放っておけばそのまま口笛とか吹きそうだぞ。


「いや、分かった。違うって言っておいた方が良いんだろ?」


「アスラ姉があんな所に居る訳ないじゃん!」


「…」


ほら、また目を逸らした。

こりゃ確信犯だな。


「でも、どうして俺たちは生身の体で天界に行けたんだ?」


先程の挙動不審とは明らかに打って変り、両手を腰に沿えて威風堂々と語り出した。

ここは特に隠す所ではないんだな。

も~アルの行動はイチイチ可愛いな~。


言っておくが俺はブラコンじゃないからな。

どっちかと言えばロリコ…いや、何を言わせるんだ!

いや、誰にも言ってないけど―――って、アリスの目が嫌に冷たく鋭い!

何? まだサトラレ要素が残ってるの?!?!



「って事でオーリオン討伐隊の出陣!!」


アルがニコリとした表情で爆弾発言をしたが、さらに輪をかけてカインが目的だけ言って移動しようとしたので


「「「「「「おおおおぉいい!!!!」」」」」」


この場にいた全員がカインにエガ神2:50の様に盛大にツッコむ。


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