第1話:そして赤ちゃんになった
初投稿から早いのもで4年。
最終投稿から3年。そしてブランク3年。
途中で止まってしまった時を再び動かそうと思います。
そこで投稿した本文を再編成します。
1話から順次更新していきますので宜しくお願い致します。
誤字脱字などがありましたらご報告して頂ければ幸いです。
それでは、これからも宜しくお願い致します。
突然でなんですが、私、こう見えても魔道を極めていたんですよ。
自分で言うのも何ですが、結構高位の魔術なんか使えたりしてね。
それこそ場合によっては禁呪とか衰退言語とか扱えたり、凄いんですよ?
仲間内でも回復系を使わせたら一番だろう! と言われたりしましてね。
既に人間の域を遥かに超えた存在だった訳なんですけどね。
あくまでも回復系って前提ですけどね。
だからなんでしょうけど直接戦闘とか接近戦には不向きなんですよね。
そう言う回復系の人間にも色々と葛藤があってですね。
こう見えても男子たるもの女性は身を挺してでも守るべし! なんて思った事もありましたよ。
長い年月を生きてるので今ではそれなりに武術にも精通しまして回復系以外で体術にも自信や誇りが持てましたので、それなりに胸を張って頑張ってます。
そうそう、突然話は変わりますが今まで何度も生まれ変わりしてるんです。
当然だとか、俺もそうだとかそのような声が聞こえてきそうですが。
どの世界にも輪廻転生って概念がありましてね。
そう言うのって大抵が前世の記憶を持たないモノなので、輪廻の概念自体眉唾物として扱われるんですけど、私の場合は記憶を持って生まれ変わるのです。
その前に何で生まれ変わりをしてるって分かるのか? ですって?
実は私と悪友なんですけどね、そいつらも前世の記憶を持って生まれ変わるんですよ。
その理由が、精神体とかアストラル体とかいろいろ言われてますが、脳ではなく魂の根源に記憶が書かれているんですね。
ま、神に至る学問である錬金術にも登場するような生命体を指すようですけど。
で、肝心の記憶は流石に魂に書くのにも限度があるし魂に書き込むのはそれだけダメージにもなる訳です。
そこで俺たちの記憶はクラウド化して保存してるんですよ。
こんな概念を作った人は天才ですよ。
そんな人はもう信仰の対象となっても不思議ではないです。
で、普通の人間の何万年分の経験がありますから人々は『神』とか言ってますけどね。
俺達はそんな崇高な存在では無く、ただ偶々そうなっただけで。
あ、偶々ではないですね。
そうなるように色々やらかした感はありますけど。
ええ、ですので精神生命体となって以降は肉体は滅んでも精神体なわけですから、中身には何ら変化はないんですよね。
そう言った訳で、肉体(脳)に記憶を保存するわけでは無い精神体は基本的に生まれ変わっても記憶が存在するんですよ。
でも、念のため言っておきますけど『神』って思われるが嫌なので、敢えて言いますけど私たちは神ではないんですよ。
故に、過去の魔法術も習得した状態で生まれ変わっていたのですけどね。
と言っても、習得していると、扱うと言う事は別物で、生まれてすぐに禁呪だとか使えるわけでは無いんです。
扱える魔法にも当然ながら必要な魔力と言うのがありましてね。
分かりやすく言えば、|マジックポイント(MP)って言うんですか?
魔法は知ってるけど、MPが足りないと使えない…みたいな?
簡単に言えば対価ってやつです。
あ、申し遅れました、私の名前はアーティリス・グロートン・イブニヒス
長いし呼びにくいので「アイリス」って呼んでください。
『アイリスだと? 女みたいな名だな』とか言ったら殴るからね。
殴られたら、その人は以降、噛ませ犬的存在になるんだからね!
さて、話を戻しますが、
先にも述べたように私と同じように記憶を持って生まれ変わる仲間がいます。
何度も生まれ変わるって良いね。憧れるね! って言うのもあると思うんですけど、そんな良い物ではないんですよ。
とりわけ特に悲惨なのは、肉体系ですね。
悪友の一人に剣術の達人が居るんですよ。
達人て言うか、免許皆伝とかそう言うレベルを遥かに超えてる…開祖って感じでしょうか?
技を扱うにも筋力が重要って事で、毎回鍛え直さないといけないみたいなんですが、最初の生まれ変わり時に、力が無くても技術だけはあるもんだから、力と技の融合から、力が無くても技を引き出す! みたいな、またある意味別のベクトルで極めましてね。
そいつ曰く、日々是就技、日々是鍛錬、って完全に筋肉バカですわ。
まぁ、生まれ変わっても肉体が初めからやり直し。ってだけですから、ある意味、不死?
不死って言っても无とかじゃ無いからね。
不死って聞くと時の権力者などは羨ましいって思うかもしれませんがあれ、本当に拷問なんですよ?
まだまだやり残したことがあるとか、今の権力が未来永劫続くというのなら、不死には憧れがあるのは分かるけどね。
さて、今回も俺は生まれ変わりを経験することになるのですが、今回の生まれ変わりは今までとちょっと違うのです。
今までと何が違うって言うと、強制的に生まれ変わりをさせられたんです。
と言うのも、自分達の崇拝する女神様が理不尽にも他の神に虐げられていたもので、温和な私たちもちょっと、『プッチン』して神と戦ったことが原因でした…。
ちょっと自称上位の神が、悪友の一人である暗黒の女神の事を色々言っていたんでね。
相手のちょっと上位の神って言っても、悪知恵だけは妙に働く神でしてね。え? いやいや、偉くなんかないですよ。
本当に偉い神だったら俺たちも崇拝しますからね。
まぁ、神の世界も会社みたいなもので、上に媚を売って出世した? みたいな。
ある程度、派閥なんかありましてね、そんな輩は私たちが崇拝する暗黒女神とは対極の派閥でして、簡単に言えば敵なんですわ。
そうそう、神の世界にも戦争ってのが大昔にありましてね。
でもね、神なんだから簡単には死なない訳で。
そも、神に死とかあるの? と言われたら一応はあるんですけど、人間の概念で言う死とはまた違ってまして、まぁ、その辺は真理に到達しちゃう回答なんで省かせて頂きますね。
そんな感じで神じゃない私が神みたいな連中とケンカしちゃったのが事の始まりでした。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「ちょっと! 何でこんな事をしようとしただけで怒られなきゃいけない訳?!」
「それは我々光側の神が行う事だ!」
「その光側とか何なの?! あんたら自称"神"側が何もしないから私がやってあげようとしただけでしょ?!」
「やってあげようではない! やってしまった後だろうが! 毎回毎回、問題ばかり起こしおって!!!」
「何言ってんの! そもそもあの現状が問題だったでしょ!!」
「その問題を解決するために我らもだな… 「じゃあ何で何百年も何も変わらないのよ?!」 …っぐ!!」
「せっかくお膳立てもして、あとちょっとで目標達成だったのに、人間だけで構成された勇者とか降臨させてバカなの?!」
「バカとは何だ! お前の信徒が勇者を倒してしまうもんだから、収拾が付かなくなっただろうが!」
「私の連れに簡単に凹られる勇者なんて意味あんの? そんな勇者モドキを降臨させないで人間と魔人と獣人が共闘すれば魔王は倒れるようにしてあったのよ! あんたら自称神はただ単に良い恰好しいな英雄譚が欲しいだけなんでしょ?! だから邪魔したんでしょ!! 分かりやすいのよ!」
「ぬぐぐぐ…い、言わせておけば…」
◆◇◆◇◆◇◆◇
そう、今回のケンカの原因でもある暗黒の女神がやろうとした(やってしまった)事とは言い合いの内容にも分かるであろうが、ある世界のお話。
魔人を含む獣人族が人間達に不当な迫害を受けていた為、人類と魔人や獣人が手を取り合い障害を乗り越えた事で差別のない世界を創造しようとした事だった。
騒ぎ立てている自称神が気に入らない理由というのが、魔王を降臨させてこの世界の者たちの心を一つにしようとした事。
それだけならいいのだが、ぶっちゃけ魔人や獣人が人間と対等になる事が、自称神は少なからず不満に思っている。
現に騒いでいるのは、人間側の神達だから。
先にも言ったけど、大昔に神同士で戦争になってね。
その時に自称光側の神が勝ったんだけど、それは表向きの話。
実は敵対していた方は、『争いなんかバカらしい』と言う理由で辞めたんだけど。
いい気になったのは人間側の自称光側の神達。
自分たちを正しい神と自称して、負けた方を悪魔とか魔獣とか言って蔑んだわけだ。
そして、その神の思想や言葉は人間の世界にも慢性的に広まって行くんだな。
だから『魔人=悪』『獣人=人間のなりそこない』とか、とにかく人間上位主義なんだよね。
そしてその魔王(役)を俺たちが引き受けた事。
そして神が降臨させた勇者を撃退してしまった事が原因。
因みに、魔王(役)をやる前は勇者(役)だったりする。
そも、人間だけで魔王を倒したら、人間が増長し魔人や獣人が余計に迫害されるのが目に見える。
元々人間は増長しやすく増長しすぎ。
上位の神ですらそうなんだから、人間にもその影響が多大に出ている。
そんなこんなですったもんだあった挙句、暗黒の女神が居ない隙を見計らって光側と自称する神に呼び出された俺たちは神に対して対峙している訳なのだ。
簡単に言えば戦っていた訳なんだな。
中間管理職上位的な神職『オーリオン』を筆頭にその下に連なる神が5柱
戦うと言っても、光と闇が戦うなんて重いものは無く、人間が天界と呼ぶこの場所だって、人間からしたら悪魔と呼ばれる者もいる。
人間の解釈で都合の良い事は神の奇跡。
都合の悪いことは悪魔の仕業と思っているだけだし。
しかし、天界も広くってね。
大昔に人間の神と争い、戦いが嫌になった神たちは、天界のどこかに旅立ったとも、天界に嫌気がさして人間界に転生したとも。
正に神話の話でその辺は定かではない。
しかし何事にも真剣に良くも悪くも熱中してしまう我らの戦いはと言うと。
魔王の前に現れた勇者パーティーな感じ。
売られたケンカは買うまで! たとえそれが上位だろうが上司だろうが!
手を出してきたのは向こうだし~ と言い訳をしてみたりもする。
基本、老若男女来るもの拒まず全て喧嘩相手! とどこかの霊界探偵みたいな思考の持ち主の集まりだ。
色々と絡め手でメンドクサイし、やる事がイチイチウザい。
そんな連中に呼ばれて口論から発展し、とにかく戦いになった。
「アイリス! 回復を頼む! うぉーりゃ!! 喰らえ剣技ジャスティスブレイク!」
「任せろカノン! レベル10魔法肉体強化!! ついでにレベル10魔法全体回復ヒールサークル!」
「よっしゃ! 俺は左から行くぞカイン!」
「気を付けろアル!」
「聖なる力の集約…! みんな気を付けろ! レベル10魔法マジックプロテクション&光弾鏡逸呪術」
「危なかった~…あれ喰らったら結構痛いじゃ済まないレベルだった! 助かったアイリス!」
「な~に、軽い軽い!!」
「くっ、さすがは女神に推されるだけはある」
「なに、数で押せば隙も生まれるというものよ」
「しかしこれだけの戦闘をしていては□□□□様に気づかれてしまう」
「うむ、そうだな、かくなる上は、心外だが…」
そんなこんなで、埒の明かない攻防をしていたのだが、ブチ切れた下っ端神が増援を呼び、件にあった中間管理職のボケ神『オーリオン』が突如後ろに現れ、俺になにかしらの術を展開して…。
まんまとそれを喰らった訳だ。
自称最高神を謳う神の一人がまさかの不意打ち。
マジあいつらむかつく!!
気が付いたら誰かの胎動が聞こえる。
目は見えない…。
何度か経験があるこの感覚。
事のあらましを考えた。
神が放ったあの光、やっぱり転生術だよな…。
いや、転生術と言うには少し違った気もする。
もしかして即死魔法?
神が人を即死させるとか神の風上にも置けない奴だ!
しかし転生したのだから仕方がない。
今の現状を確認しよう。
手も足もある…気がする。
肉体があるから幻獣とか精霊の類ではないようだし。
動物とかだったらどうしよう~。
虫とかだったら自殺ものだよ。
しかしここは相変わらず落ち着くよな~…むにゃむにゃ…ク~…ZZZzzz
こうして俺は転生して、この世界に誕生する事となった。
久しぶりに読み返してみたら本当に拙い文章でした。
※再編成してもその辺の成長は見込めないようです。