第13話 部活紹介
やると言ってしまった以上、断れるはずもなく、部員にされるがままの私。
部員は眩しいくらいの笑顔で内容を話し合う。
(そんなに楽しそうな笑顔で話すなら、本人たちがやればいいのに、、、)
「どうするかー?」
「そうですねー?なんだか迷っちゃいますね!」
「紗季はかっこいいから男装、似合いそうですよね!」
「いや、ここは川上の私服でシンプルに、、、」
「はい!私は紗季さんの可愛い姿が見たいです!」
言いたいほうだい言い出す部員たち。
「別に、制服でい、、、」
『だめ!』
私の言葉を遮って、部員が綺麗にハモった、、、。
暴走する部員たち。
私の制止も聞かず、止める人もいない。
何を言っても聞かない部員たち、、、。
もう、諦めるしかない。
私が部員の写真を撮ることにすると、誰がモデルになるかでもめたため、私がモデルをすることになったのだが、、、。
「紗季は、これを着てね!」
綾香に手渡された物を見る。
「えっ、、、。似合わないと思うんだけど、、、。制服じゃダメなの?」
「ダメ!とにかく、一回着てみて?」
綾香に渡されたもの。
それは、黒と白を基調とした、ドレスのような服、、、いわゆる、ゴスロリだった。
「紗季ー?やってくれるんだよね?」
「わかったよ、、、。」
綾香の黒い笑顔、、、初めて見た気がする、、、。
写真部の準備室で着替えて部室に戻る。
「可愛い!」
「似合うー!」
「ゴスロリで正解だな!」
部員たちが口々に言う。
(もう、、、どうでもいいから早く終わらせたい、、、)
数日後、部活紹介当日。
部活紹介は新入生、部活紹介を行う在校生と先生が体育館に集まって行う。
その他の在校生は、教室で自習をする。
写真部からは、私と数人の部員が参加する。
参加する部員を決めるジャンケンは何故か壮絶だった、、、。
私の愛しい桃華は新入生と一緒の扱いになるため、この集まりに参加していた。
「先ずは、運動部から行きましょう!」
運動部から部活紹介が始まった。
ギャグで笑いを取りに来る男子バスケ部や、真面目に部活紹介をする柔道部など、、、
様々なやり方で、新入部員の獲得を狙っている。
「続きましてー、写真部です!」
司会の案内が入り、私は壇上に進む。
(あぁ、早く終わらせたい、、、面倒くさい、、、)
そう思いながら、壇上を進む私。その後ろを部員がついて来る。
ゴスロリを着ているせいか、体育館にざわめきが広がった。
(あぁ、見せ物にされてる、、、)
私の写真を撮る部員たち。
その横で説明をする綾香。
「写真部でーす。写真部はこうやって人物を撮ったり、自然を撮ったりしています。今日は特別な日なので、演劇部に衣装提供をしてもらいました。ちなみに、モデルは写真部の2年生でーす。私たちと一緒に写真を撮りませんか?興味のある人は、ぜひ写真部に来てください!」
そう締めくくって、紹介を、終えた。
「紗季ー!お疲れ♪」
「綾香もお疲れ。」
部活紹介後、一週間は仮入部期間となる。
仮入部に来た新入生が多く、部長は喜んだ。
「川上のおかげだな!」
(私は面倒くさいだけなんだけど、、、)
仮入部に来たメンバーの中には、桃華の姿もあったため、嬉しく思う。
私は、私と笑顔で話す桃華を綾香や数人の部員が冷たい目で見ていることに気がつかなかった。