第9話 紗季との出会い (綾香side)
1年前に、私と紗季は出会った。
紗季の第一印象は、冷たい、、、良く言えばクール、、、そんな感じだったと思う。
ー1年前ー
入学して間もなくの遠足。
1年生は山登りらしい。
正直、めんどくさい、、、。
なんで、わざわざ山登りをするのかわからない、、、。
自分で言うのも変だけど、昔から私はモテていた。
それは高校に入っても一緒。
けど、私に寄ってくる男子で良い奴なんていない。
ただ、うるさいだけ。
今日もうるさい男子たちに囲まれていた。
それは、突然起こった。
「きゃっ!?、、、痛い、、、」
慣れない山道を歩いていたせいか、私は転んでしまった。
友達も男子も心配はしてくれる。けど、それだけ、、、。
口では心配しているけど、遠巻きに見ているだけ。
「大丈夫?血、出てるし、、、。」
「おい、誰か先生呼んでこいよー。」
(ははっ、、、。みんな、厄介事は嫌だもんね、、、。けど、血が出てるんだけど、、、?痛くて動けないし、、、。)
どんどん、私の顔色は悪くなる。
(まじでやばっ、、、)
「どいて。邪魔よ。」
そう言って、野次馬のクラスメイトをどかし、私の傍にしゃがみ込むのは、、、
「川上、、、さん、、、?」
紗季だった。
「、、、とりあえず、止血ね、、、。これで良いわ、、、。」
そう言って、バックを漁ったかと思えば、タオルを取り出し、私の傷口をきつく縛る。
「痛いと思うけど、少し我慢して?」
「それより、川上さんのタオル、汚れちゃう、、、。」
「気にしないで?女の子なんだから、傷、残ったら嫌でしょ?」
「あっ、、、ありがと、、、。」
話した事もない私の手当てをしてくれる紗季。
(優しい、、、それに、男子よりかっこいい、、、。)
騒ぎに気がついた先生がやっと来た。
「、、、!?大丈夫か!?今、保健の先生のとこまで連れてってやるからな?」
先生が私をおんぶする時に、川上さんは既にその場から離れていた。
私はなにも関係ない。とでも言うように、、、。
冷たいと思っていた紗季の優しい行動。
この行動にはクラスが驚いていた。
遠足が終わり、授業が始まるようになると、紗季の頭の良さ、器用さがわかり始める。
そうなると、紗季は男子からも女子からも尊敬される存在となった。
それはクラスだけに留まらず、学校全体の噂となる。
クールで何でもできる優しい人、、、それがいつの間にか、学校全体の紗季に対する印象になっていた。
尊敬されていた紗季はいつの間にか、好意を抱く対象とされていた。
、、、男子だけでなく、女子すらも、紗季に好意を抱き始める、、、。
遠足の当事者だった私も、もちろん、、、。
(紗季の傍にいたい、、、。私だけを見て欲しい、、、。)
沸々と込み上げる感情、、、。
それは、紗季に対する独占欲、、、。
今回のお話は、綾香sideの物語です。
綾香と紗季の出会い、、、。
紗季への想いがあかされます!