りあじゅう
「あっ、“ウニャッペホフ“の新曲だー。今回の曲はちょっと変わってるけど私は好きかも、うん。」
那帆が友人の雛と電話している。同時にベッドに腰掛けて、タオルをのせた膝の上に我輩を抱えてワシャワシャしている。
どうして今こうなっているかと言えば…
今日も今日とて新入生の落とし物を届けたり道案内をしたりして学部棟前の広場で乱れた毛並みを整えていたところ、急に我輩の体が浮いて…
「きょ~っじゅ、今日もお疲れ様でっす!」
そんニャ元気ニャ声が響いた。
何故かヘニャった敬礼でスマイル0円振り撒き中で、周囲の男達が
チラー見ィしている。
「って教授、また地面でゴロゴロしたでしょ!せっかくこの前お風呂に入ったのに!!」
わりかし大きニャ声が周囲に響いて視線が急に集まって来る。
これはかつて見た
ぎざじゅう…じゃニャいリアじゅう?爆発しろと言われていた男に向けられていた視線である。
今にも刺さりそうに刺々しい。
リア(る)獣です、ごめんなさい。
「今日は午前中で終わりだし、行くよ」
我輩の返事を聞きもせず、抱えられたまま連れ去られる。
……恨みがましい男達の視線を置き去りにして。