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縄張り紀行「仮」  作者: 夢辺 流離
17/24

仕組まれた栄光

 即席のチームはガタガタで序盤はとても見れたものではなかった。それでもというか、そのせいでというか視聴率は低くないどころか悪くなかった。


 ツイヤッターという短文コミュニケーションツールで、『生放送のクイズ番組で放送事故!?』の一言が上がると加速度的に広まりTVを確認するものが増えたからである。


 もし誰かが細かくチェックしていたら不思議に思っただろう。『件の一言』が上げられたとき、まだ出場者が入場していた時間でまだ問題は起きていなかったのである。


 それでもながくは持たない。

グダグダの番組を見続けるほど視聴者は甘くないのである。

そこで敗者への罰ゲームが告げられる。

この時点での点数の一番高いチームがルーレットを止める。


『最下位のチームは歌を作り、次期から始まる~~~の番組のOPで歌う』


 ザワザワ。


 中には歌を歌っているアイドルなんかもいたが、女優、芸人なんかもいたのである。


 流石に出場者の一部が騒ぎ始める。

それを静めたのは大御所の俳優。


「最初から聞かされてたんじゃないですか!?」


「だとしたら何かね?私は歌など歌えん。ならば勝てば良かろう。勝たねば何も得られまい」


 そんなやり取りが起こった。

葉は静かに頭を下げた。


 あるチームのメンバーの一人、杉山七菜すぎしまななな。最近人気急上昇中の女優である。


「私、歌だけはどうしてもダメなんですっ」


 顔が青い七菜に心配したメンバーの男性アイドルチームの“SKIP“のメンバーの一人、草苅豪くさかりごうが大丈夫かと尋ねたのへの返答がそれだった。


「…皆、協力して勝ちにいこう!竹岡さんの言葉じゃないけど勝つしかない」


 草苅は能力も高かったが、SKIPの中では人気のないほうだった。

しかし、この後チームを引っ張っていく姿に人気が出はじめることになる。


 草苅は七菜のファンだった。やる気は全開だ。


 ちなみに七菜の泣き顔で下がり始めていた視聴率は再び上昇し始める。


 他のチームも似たようなことがあったのか、急速に仲間意識が深まる。

クイズ事態は他の番組と大差はない。

オーソドックスなものだった。

その分、出場者の解答への熱意が際立った。


「くそっ、裏をかかれたっ」


 悔しそうに解答台を叩くのは、日頃落ち着いた雰囲気でお茶の間人気の俳優。

普段とのギャップで新しいファン層を増やすことになる。


 よくよく見てみれば各チームのバランスがよく練られていて、ミスでこうなったわけではないのは明らかであった。


 どのチームも僅差で争っていよいよ最終問題。

七菜たちのチームはよく頑張っていたが下から2番目だ。涙目で気丈に頑張る七菜がマイナーな音楽問題に答えて笑顔でガッツポーズするところで視聴率が番組中最高を記録する。




 最終問題で大御所、竹岡以外答えられず逆転優勝を決める。それほどトップとビリが僅差だったのだ。


 ビリだった大御所チームが優勝した。



      …七菜たちはビリになった。

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