ウニャッペホフ
あ、誤投稿じゃないです。
ちょっといつもと内容が噛み合わないかもですが。
“ウニャッペホフ“というアーティストがいた。
変わった名前だが、その由来は本人たちですらしらない。
そもそもクイズ番組の罰ゲームとして歌わされることになったという毛色の異なる生まれ方をしたユニットで、どうするよ?と残念会と称しての飲み会でクダを巻いていた。
翌日何か決まったか尋ねられた彼らは冷や汗を書きながら唯一持っていたメモ帳を開くと書かれていたのが“ウニャッペホフ“だったというわけだ。何の因果かその響きが気に入られウニャッペホフとして歌わされることになった。
熊方 葉TV番組のプロデューサー。この度季節の変わり目のスペシャル番組を任された。生放送の大舞台だった。
「これが最後のチャンスかもしれない」
堅実な仕事振りを評価され抜擢された男の台詞としては少しおかしかった。
“本当に面白い番組を作りたい“
彼は首を覚悟した。
当日の出場者、その人間関係に趣味思考まで調べられるだけ調べた。
毎日時刻通りに帰る割に、毎日徹夜でもしたかのような風貌にスタッフが恐れる程に。
そしていよいよ現場の準備が出来た前日、最終確認をして解散した後、葉は現場に戻った。
番組が始まり、来期の番組の紹介も兼ねて出場者が入ってくる。
そして驚愕する。
台本・打ち合わせでは自分の名前のプレートがある席に着くとしか言われていなかったし、それで十分だった。
たいてい番宣の意味を持つため、番組毎にチームになっているのが普通だ。
しかし、各番組のメンバーをバラしてチームが作られていたのだ。芸能人としてのプライドで動揺を隠す、隠しきれない。
間違っていないかスタッフの方を見るも彼ら自身が焦りを見せていた。
当たり前だ。昨日準備したものとはまるで変わっていたから。
プロデューサーはそのままやれとサインを出す。
視聴者は特に気にも留めずに見ていたが、出場者の漂わせた緊張感に違和感を持つ。しばらく見ていて、その席順に違和感の正体を知ることになる。
ーーー放送事故か。
それが出場者、視聴者の大多数が思い浮かべたことだった。