第46話 刀を渡す
一週間以上も更新しなくて申し訳ありませんでした。
しかも短くて本当に申し訳ありません。
翌日、カリンドのところに曲がったバトルスタッフ修理とセリアの手甲足甲の発注をしに行くと、完成した日本刀を2本渡される。さすがカリンド、見事な逸品を作り出してくれた。ちなみにバトルスタッフを折り曲げたことには怒られた。
明朝、朝のトレーニング時に、俺はガンマとベルクを呼び出す。もちろん、日本刀を渡すためだ。
「ガンマ、ベルク、お前たちに渡す武器がある」
「以前言っていた武器っすか?」
「そうだ、これだ」
俺は次元倉庫から日本刀を取り出し、二人に渡す。二人は鞘から刀を抜くと刀身を見入る。改めて見ても美術品としても見ることができるほどだ。そういえば銘を聞くのを忘れた。今度でいいか。
「なんか綺麗な剣……いや刀っていいましたっけ?」
「いいんすか、なんかスゴク高そうな武器っすけど」
「ああ、気にするな。一応特注品だけど、お前らに対する先行投資だと思えばいいぜ」
「「分かりました」」
二人は喜んで刀を受け取ってくれる。まぁ、ラインバッハ領でけっこういろんなヤツにいろんなもの配ってたからその辺気にしないんだろうな。さすがに俺が何でもくれるって思ってるヤツはいないと信じたいけどな。
「今日から、俺がその刀を使う剣術を教えていくからな」
「了解っす」
「俺もありがたく使わせてもらいます」
「とりあえず振ってみて慣れてみろ。ただし自分を斬らないように気をつけろよ。その刀は斬ることに特化しているからな。まぁ、突くこともにもそれなりに使える武器なんだが」
二人は嬉しそうに刀を振っている。まぁ、普段素振りとかしているから怪我とかは大丈夫だと思うけど。俺は二人に技を教えるために使う藁で作った的を用意する。いつ作ったとか言われそうだが、ちまちま昔から作ってたんだよ。なにかに使うかと思って。
「クエスト様、それなんすか?」
「試し切り用に作ったんだ、ちょっと刀を貸してみろ」
俺は、ガンマから刀を借りる。そして、腰に下げると、左手で鞘を固定し、右手で柄を握る。俗にいう居合の構えだ。そしてそのまま右足を踏み込みながら、一気に刀を引き抜き巻藁を一閃する。少し間を置いたあとに、俺が斬った巻藁は斜めに切れ目が入り、布落ちる。
「やべ、今のカッコイイ」
「刀の技で居合って技術だ。そのうち教えるから、今日は普通にこの巻藁を斬ってみて、刀の感触をつかんでくれ」
ガンマに刀を返しながら、二人に試し切りをさせる。一人10本ほど用意した。自分が斬った巻藁はとっとと次元倉庫に片付ける。
「クラインは結局武器はどうしたんだ?」
「まだ決まってないんだ。やっぱり近接戦闘はあんまり得意じゃないし」
「ちょっとこれを持ってみろ」
バトルスタッフその2をクラインに渡す。最初は見た目が金属製なので、重いのではっと構えて持ったようだが、以外な軽さに驚いているようだ。
「それは、中に魔法の発動体になるスタッフと魔石を組み込んでミスリルでコーティングした杖だ。まだ試作品で使い勝手を俺が試しているところなんだが、長さ的に短槍くらいある」
「ひょっとして前にボクに使わせてみたい武器っていう?」
「そ、杖を槍に見立てて使えばどうかなっと。ちなみに魔力を込めて威力を上げることもできるような仕組みになっている」
「なるほど、普段は普通に杖として使って、もしものときは槍のまね事のように使うってことだね」
「そういうこと。だから、特にまだ決まっていないなら槍術を習ってみないか?」
「武術は基本的にどれもからっきしだから、クエスト君が勧める槍術を習ってみるよ」
「まぁ、その前に走りこんで体力つけないとだけどな」
クラインは苦笑しながら、俺にバトルスタッフを返す。いくら後衛の術士タイプの人間でもここぞという時のために多少は動けないともしもの時に困ってしまう。魔術師が貧弱でいいってイメージはよくない。昔、父上にそれを言ったら『それはもう魔法戦士なんじゃ?』って言われたが別に無理に前線で戦えと言っているわけではないんだけど。クラインは多分、将来は魔法も使える文官みたいな立ち位置になるとは思うけど、ラインバッハ領はいろいろ危ない場所だから強くなってほしいという俺の願望もある。ガンマとベルクは兵士志望だから更に強くなってもらわんといけないけど。
「あ、そうだ、3人共来週の休み空いてるか?」
「俺は大丈夫っす」
「俺も」
「ボクも問題ないよ」
「じゃ、俺に付き合ってくれ。あと、できれば今日の放課後も付き合ってもらいたいんだが」
「どこかいくんですか?」
「冒険者ギルドにな。お前らを冒険者登録する。んで、休みにタリウスの迷宮か王都近郊で魔物相手に実戦だな。俺とリズが付いてくから怪我しても治してやるから安心しろ」
「わ、わかりました」
「前衛二人に後衛一人か…個人的には後衛か中衛にもう一人ほしいんだけど、だれか心当たりはあるか?」
「あ、それなら一般クラスにもう一人ラインバッハから来てる生徒を知ってるから声をかけてみようか」
「ふむ。それじゃクラウスそれはお前に頼む」
「了解です」
ということで、かねてから計画してたこいつらの冒険者登録をすることにした。多少は武器の使い方も覚えてきたし、経験をさせるくらいはいいと思ったからだ。
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