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第45話 タリウスのダンジョン 30階層まで 後編

おまたせして申し訳ありません

 目の前で鉄をメインに幾つかの金属が交じり合った合金の体をしたゴーレムが立ち上がる。大きさは20階層のボスであるストーンゴーレムと変わらない。鉄がメインだが、他の金属も混じっているということか、アイアンゴーレムではなくメタルゴーレムと呼ばれている。


「ほんとに金属製なのね、刃が欠けないかしら?」

「ストーンゴーレムに斬りかかった時点で場合によっては欠けてもおかしくないんじゃないの?」

「私が硬化の魔法を掛けていますからその辺は大丈夫かと。メタルゴーレムは鉄がメインでその強度も鉄とあまり変わらないと言われていますから。マリー様の剣はミスリル製ですよね?硬化を掛けなくても刃こぼれはしないかと思います」

「だからといって、あの金属の塊を切り落とすのは難しいけどな」


 メタルゴーレムが起き上がるまでの間にそれぞれに使えるエンチャントの魔法を施しあい、準備を整えていた。


「とりあえず、一発ぶん殴ってみるね」


 間合いを詰めてセリアが先制の拳をメタルゴーレムの右足に叩き付ける。攻撃が触れる瞬間にリズが重力増加の魔法を使い、セリアの拳を重い一撃へと変化させる。その一撃はゴーレムの脛に当たる部分にくぼみを作る。


「かったぁーいっ!!なにこれ」


 一撃を放ったあとに即座にゴーレムの反撃を予測して、後方に飛び退いたセリアは殴りつけた右手を振りながら苦言する。

 そんなセリアの横を駆け抜けて、マリーが左足を切りつける。硬化と切れ味増加の付与を施された一撃はゴーレムの左足を切り裂き――っということはなく、。うっすらと斬撃の後を残す程度でほとんどダメージを与えられていないような一撃だった。


「ホント、硬いわね。地道にダメージを蓄積させていくしかないの?」

「まぁ、中堅冒険者パーティーの壁とも言われてるボスだからな。俺も一撃入れてみるか」


 俺は、バトルスタッフを手にゴーレムに近寄る。そして、風魔法で空気の足場を作りそれを蹴り進み、ゴーレムの頭上へと飛び上がった。そこから重力増加の魔法をかけて、ゴーレムの頭にスタッフを叩き込む。

「あれ?」


 あまりの手応えのなさに俺は変な声を上げてしまう。ゴーレムは俺の一撃で簡単に半分位の大きさまで潰れてしまう。そして、俺が着地して大勢を整えたと同時に光の粒子となって消えてしまった。


「クエスト様…手加減してください。これではマリー様やセリア様の練習になりません」

「いや手加減したつもりなんだけど……」

「クエスト様の闇魔法のレベルは確かにそんなに高くないですが、レベルと魔力値を考えてください。あんなバカ魔力を込めたら試作品の武器での攻撃とはいえ、あの程度の魔物は一撃ですよ。」

「あーその、すまん」


 どうやら重力増加の魔法に魔力を込めすぎてしまったらしい。あんまり使ってないからまだ加減ができていないんだな。困ったもんだっとバトルスタッフを見ると、叩きつけた部分が見事なまでに折れ曲がっていた。


「あちゃぁ……カリンドに怒鳴られるかな?」

「大丈夫なんじゃないかな?根拠はないけど」

「とにかくドロップ品っと…魔石とミスリルの塊か……セリアの手甲と足甲をこれで作るか?」

「いいの?」

「マリーの武器はもともとミスリル製だし、俺とリズの武器はユニークアイテムだからな。セリアは鋼鉄製だし、いいだろ、みんな?」

「戦力アップになるんだし、いいと思うわよ」

「私も賛成です」

「みんなありがとう」


 とりあえず戦利品であるミスリルの塊はセリアの装備を作るということにして、この曲がったバトルスタッフはどうするかな?作りなおしてもらうか?試作品その2をとりあえず使ってから考えるとするか。

 俺たちは予定通り、ボス部屋の先にある部屋に設置された魔道具でフロア登録を行い、そのまま転送機能でダンジョンから脱出した。


「ダンジョンでの素材と魔石の買い取りを頼む。あとカードの更新も」

「はい、皆さんお疲れ様でした。どこまでもぐられたんですか?」

「30階層だよー」

「へー30階層ですかぁ……30階層!?」


 セリアの言葉に受付嬢が変な声を上げる。たしかにまだ未成年のしかも男1女3のパーティーが30階層まで行って帰ってきたなどと言えば信じられないかもしれない。


「と、とにかくカードを確認させていただきますね」


 俺たち4人のカードを受け取り、討伐モンスターなどを確認していく。


「おめでとうございます、セリアさんとマリーさんは今回の探索の結果C+へと昇格致します。それから、皆さん、Bクラスへの昇格試験をお受けになりますか?」

「ん~俺たちはこれから王都へ帰るんで、そっちで試験を受けようと思ったんだけど」

「この街でも王都でも昇格試験内容はかわりませんので、受付だけ済ませるのも手ですよ。試験の達成報告はどちらでも可能ですので」

「そうなんですか、それではお願いします」

「はい、Bランク試験の内容は6人以下のパーティーでタリウスダンジョン30階層のボスの魔石を持ち帰ることです」

「あの…それはつまり…」

「はい、皆さんは達成していますので、そのままBランクへと昇格させていただきます」


 あーそういうことですか、受付のおねーさん、ご親切にありがとうございますって感じだ。俺たちはランクの昇格と戦利品を売った金を受け取り、ギルドを後にした。王都にもどって打ち上げをしようということになり、タリウスを出て少ししたところで、リズの転移魔法を使い王都の近くへと飛んだ。ちなみに転移魔法は闇魔法の上級に位置する魔法で、10人程度まで自分の行ったことのある場所まで転移できるという魔法だ。闇魔法自体に適正があるものが少ない上に、上級以上の使い手となると少ないのだが、リズは極級まで使えるので問題なく使用できたりする。ちなみに俺はまだ中級までしか使えないので無理なのだが。

 王都についた俺たちは、4人でよく行く食堂へと向かい、そこで夕食がてら打ち上げを行う。冒険者もよく使う店で、料理は値段の割にかなり美味い。あと結構量が多かったりするのだが、俺もそうだが、3人も結構食べる方なので、あまり気にしない。明日からはまた学院生活に戻るということで、早めの時間に切り上げ、寮に戻ることにした。





お読みいただきありがとうございます。


ブックマークありがとうございます。これからも頑張って行きたいと思いますので、よろしくお願いします

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