第37話 鍛冶屋への依頼と買い物
なんかどんどん文字数が減ってる…申し訳ございません
放課後、王都の職人街を一人で歩いている。研究会の方は今日はお休みだ。別に毎日行かなくてもいいらしい。貴族とかの子供もいるから放課後は用事があるって人もいるからな。俺はカリンドの工房に用事があってここに来ている。マリーは王城で用事、セリアはトリス先輩と狩りへ、リズは部活とそれぞれ用事があるとのことで珍しく一人だ。さびしくなんかないんだからね。
「カリンド親方いる?」
「あ、クエストの坊っちゃん。親方なら鍛冶場にいますよ」
俺は店の奥にある鍛冶場へと入っていく。カリンドには既に鍛冶場への出入りの許可を受けており、店員はそのことを把握しているので、誰も咎めない。客の一部には『なんであんなガキが』って顔をする人間もいる。カリンドに直接交渉ができる人物はかなり限られる。彼自身が認めた人間だけで、カリンドに認められるのは一流の冒険者や貴族のステイタスになるほどだ。
「おう、どうしたクエスト」
「ちょっと試作してほしい武器が2種類あってね。一つは構想を伝えるから普通につくってもらえば大丈夫だけど、もう一つは作り方を俺が見せるからそれを親方風に打ってくれ」
「ほう、作り方を見せると…おめぇ、鍛冶の経験があるのか?」
「かじった程度だから、やっぱ本職に造ってもらいたくてね」
「ふむ、まぁ最初の構想だけってヤツを聞こうか」
「えっとだな、長さは短槍の柄くらいの金棒を作ってもらいたいんだ。それの中心辺りに魔法の発動体になる魔石を組み込んで…そうだな、材質はミスリルで作ってもらいたい。太さは槍の柄より少し細い程度でいいや」
「何にするんだそれ?」
「魔術師の護身用武器として試しに作ってみようかなぁってな。ミスリルなら魔力を通すことができるから非力な魔術師でも威力が上げれるだろ?」
「それにしても金属製じゃそれなりの筋力が必要になるぞ」
「ん~まぁ、とりあえず作ってみてくれ」
「わかった、これは別に俺じゃなくても大丈夫だろ?」
「ああ、信頼がおける職人に頼むよ。俺がテストして見てから知り合いに使わせてみたいから」
「了解した。で、もう一つの方ってのは?」
作り方を教えるって言ったせいで、ものすごく楽しみにしてるんだな、この親父。向上心がものすごく高いんだよな。だから彼ら兄弟の中で一番の腕なんだろうが。
「まずなこーやってまず折り返して打って、折り返して打ってっと繰り返して……んでこの柔らかい鉄を芯鉄にして……んでさっき鍛錬した皮鉄をこんな感じて重ねて…」
俺はカリンドに日本刀の打ち方を教える。自分で作っても二流三流程度のできの刀しかできないだろう。カリンドならすぐに俺を超える刀を打ってくれると信じている。
「こりゃ面白い作り方だな」
「今回は簡単に作り方を教えるってことで、鍛錬とか適当にやって短縮して一気に造ってるけど、実際はもっと鍛錬とかいろいろ時間をかけて作るもんだよ」
「わかってる。よし、この作り方で早速、打って見る。そうだな1週間後位にまたきてもらえるか?」
「頼んだぜ、カリンド」
「任せとけ!!あとこないだの清酒をまた頼むぞ。アレはいいものだ」
「今度、父上に頼んどくよ」
俺はカリンドへの依頼を済ませると工房をでる。さて、この後どうするかな。夕飯は寮に戻ればいいし……そういえばラリック商店の店舗があるって言ってたな。訪ねてみるか。
「らっしゃい、ラリック商店へようこそ!!」
威勢のいい兄ちゃんが出迎えてくれた。ラリック商店はラインバッハに本店を構える商店だ。向こうの特産品などをこちらに輸送して販売している。まさか王都まで進出してるとは思わなかった。
「お、牛肉があるじゃないか」
「なかなかいい目をしてるな、坊っちゃん。この牛肉はそんじょそこらの牛肉みたいに硬い肉じゃないぞ」
「知ってるよ。俺はラインバッハ領の人間だからな。トレック村の牧場の牛肉だろう?」
「おやおや、地元の人だったのか」
「まぁな。とりあえずサーロインとヒレ、それからバラを1キロずつもらえる?次元倉庫があるから持ち帰りで」
「あいよ、まいどありッ!!」
この世界の牛肉はまずかった。もう使えない農耕用の牛を潰して食べるからだ。俺は牛肉信仰のある日本の知識を持つ男。美味い牛肉が食べたくて、牛乳用の牧場があるトレック村に交渉して、肉食用の牛を育成してもらった。現在は霜降り肉まで作られている。今度研究会に持って行っていろいろ提供しようと思う。あ、そういえばアレはあるんだろうか?
「お兄さん、牛すじはある?」
「坊っちゃん通だね。あるよ。さすがに内臓肉は持ってきてないけど」
「んじゃそれも1キロもらえる」
「喜んでっ!!」
その他にラインバッハ産の調味料で足りない分を補充しておいた。よくよく見ると清酒も何種類か置いてあったので、今度カリンドに教えてやろう。きっと買い占めるだろう。さて、明日はなにをしようかな。
お読みいただきありがとうございます




