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第35話 料理開始

おまたせして申し訳ありません。

やはり、遅番のシフトの時は執筆が難しいのがつらいです。


「やっぱこの時間に掘らないとな……」


 早朝練習の少し前に寮を抜け出し、そのまま学校の裏手にあった竹林へと向かう。まさかこんなところに竹林があるとは思わなかったが、それはそれでありがたいというものだ。今は春。ということは、筍のシーズンなわけで、朝掘りの筍を求めてやってきたわけだ。学校の敷地内ということで、研究会で使う名目ならば自由に食材をとっても良いという許可は得ているので、気兼ねなく数本の筍を掘りおこすことにした。

 足の感覚でやや土が膨らんできている場所を探す。既に地面から出てしまっている筍では、大きくなりすぎなわけだ。地面から出る寸前のモノならば、柔らかくエグみも少ない。


「よし、1個目発見」


 俺は地魔法を使って筍の周りの土を掘り起こし、1つ目の筍をゲットする。本来なら道具を使うところだが、時間がかかる。魔法を使えばあっという間だ。便利だな、やっぱり。この方法で10本くらいの筍を入手する。半分はそのまま次元倉庫に入れ。もう半分は野外用コンロを出して、この場で下茹でをしておく。放課後に研究会で使うからだ。

 昨日、放課後に研究会に行ったところ、今日の放課後にそれぞれなにかを作るということになり、各自で食材を調達するということになった。リュースやセリアのような試食専門と言い切っているヤツも食材だけは最低一つもってこいということになり、セリアはマリーと、リュースはエピオンを誘って、放課後に郊外へ狩りに出かけていた。帰ってきた二人に成果を聞くと、『明日のお楽しみ』っと言われたので、それなりに何かを採って来たのだろう。俺は学校で竹林を発見し、筍が生えてきているのを確認して、今、採りに来たというわけだ。


 早朝練習は気づくとクラスの連中――特に体力的に不安のあるメンツ――が参加を希望してきたので、一緒にやっている。気づくとなかなかの大所帯になってきた。走った後も筋トレなどをして、基礎力を上げる方向で彼らの面倒を俺がみて、それが必要ないメンツは、模擬戦をするという内容にした。ガンマは戦士タイプ、ベルクは軽戦士タイプに適正がありそうだと俺は思い、二人にそのことについて話す。聞くと、やはりそんな感じっぽい。そこで俺はふと、この二人に武器を用意して少し好みに育てて見ようと思った。


「二人共、ちょっと聞いてくれないか」

「なんすか、クエスト様」

「二人の武器を今度俺が用意しようと思うんだが、武器は同じモノなんだが、戦い方は変えて教えるんだが」

「同じ武器なのに違う戦い方ですか?」

「そう、わかりやすくいうとガンマには剛剣――力メインの一撃必殺を主軸にした剣術を、ベルクには速剣――技や手数を重視した剣術を教えようと思う。で、用意する武器なんだけど、普通の剣と形状を変えた剣なんだ。刀っていうんだけどな」

「刀…ですか?」

「どんな武器っすか?」

「片刃の反りの入った武器で、長さは90センチくらい。まぁ、近いうちに実物を持ってくるから楽しみにしていてくれ」


 せっかくだから、二人には日本の剣術を覚えてもらおうと思う。ラインバッハの侍部隊とか面白そうかなと思って。刀はカリンドの工房を借りて作らせてもらおうと思っている。一応、鍛冶技能はそれなりだし、作り方はわかっている。


 早朝訓練を終え、授業を無難にこなして、いよいよ放課後。研究室の部室へとセリアたちと向かう。マリーとエピオンも狩りを手伝ったということで、試食の権利があるためついてくる。


「みんな集まったようだね。あと、食材確保に付き合ってくれたみんなも揃ったようだね。それじゃ始めようか。それぞれに採ってきた食材を紹介してもらえるかな?」

「新入生は何を採って来たのじゃ?」

「まずは俺から――イノシシを狩ってきた。なかなかのデカブツだぜ。血抜きはもう済ませてある。俺は次元倉庫がないから、一緒に狩りを手伝ってくれたエピオンの次元倉庫の中に入れてあるぜ。ちなみに解体はまだ」

「すごいな、あとで解体場で解体しようか。リュースは解体できんのか?」

「詳しくはわかんねー。マグ先輩できんの?」

「おう、任せとけ。そのうち授業でもやるとは思うけど、教えてやるわ」

「お願いします」

「私は、熊をとってきたわよ」

「こ、今年の新入生はパワフルね…」


 セリアのドヤ顔である。っていうか熊にイノシシってなんだよ。そしてリュースがすごく悔しそうである。


「解体は済ませて、肉だけ用意してあるわ。毛皮と内臓の一部がいい値段で売れたから、会費として納めればいいのよね?」

「ああ、助かるよ」

「なんだろう、この二人のあとで俺が採ってきた食材を出すのはものすごく地味なんだけど」

「クエスト君は何を採ってききたんだい?」

「筍ですよ」

「植物なのはわかるけど、見たことないな。これ食べれるの?」

「裏の竹林でみたことあるな、これ。食べ物なのか?」

「確かに二人にくらべて地味じゃのぉ…」

「既に下ごしらえしたモノは用意してあるんで調理にはそれを使います」


 俺は筍を次元倉庫にしまう。先輩たちも鳥肉や山菜、川魚などを採ってきたと申告する。この後、調理をするということで、食堂へ移動する。リュースとマグ先輩はイノシシを解体すると解体場のほうへ行き、残りのメンツは厨房へ。俺は先輩と交渉して鳥肉を分けてもらう。筍は全員が初めて見る食材ということで、使いたいという人はいなかった。ディルム先輩が持ってきた野菜と一緒に熊肉を使った料理を作るとセリアから肉を受け取っていた。


「あ、リュース。イノシシのバラ肉を固まりでもらえるか?今日は無理だけど今度作るモノに使いたい。当然お前にも分けるからさ」

「おう、まかせとけ」


 リュースのイノシシ肉に予約を付けておく。せっかくなのでベーコンをつくろうと思ったわけだ。

 先輩達がつくろうとしている料理を聞く。ディルム先輩が熊鍋、トリス先輩が焼き魚、ナユタ先輩は焼き鳥のようなモノを作るっぽい。最初は筍とワカメを煮ようと思ったが、先輩たちが主菜っぽいものを作るようだし、それならばと俺は筍御飯をつくろうと思った。

 材料は、筍、人参、鳥肉に油揚げだ。油揚げはラインバッハ領にいるころに開発して、ストックしてある。醤油などの調味料も米も当然あるわけだ。

 まずは具材を適度な大きさに切り分け、鰹節で出汁をとり、醤油と砂糖で味付けをした煮汁の中に入れて茹でる。その間に米を研ぐ。今回は研究会より少し多い人数。夕食前とはいえ育ち盛りの学生だからそれなりに食べるだろうと7合ほど米を用意する。多ければ次元倉庫に突っ込んで後日食べればいい。

 米を研ぎ終わったら通常より少なめに水を貼り、煮汁ごと具材を投入。あとは炊くだけ。厨房のコンロも魔道具で火加減の調節が容易にできるのでありがたかった。米を炊いているといい匂いが厨房に立ち込める。


「美味しそうな匂いだね、クエスト君」

「ディルム先輩の鍋も美味そうですね」

「キミの用意した筍だっけ?あれがどんなのか楽しみだよ。あとはなにげに用意してた油揚げってのも気になった」

「できてからのお楽しみってことで」

「そうだね」


 筍御飯が炊きあがる。茶碗に箸でってわけにはいかないので、俺はそれを全部おにぎりにする。見学してたマリーとセリアにも手伝わせた。マリーはおにぎりを作ったことがあるので、器用に作っていた。セリアも最初は戸惑っていたがすぐに慣れた。形は不格好でも問題ないものだし。


「料理は出来上がったみたいだね。マグ君とリュース君も解体が終わって戻ってきたみたいだし、試食にはいろうか」



お読みいただきありがとうございます

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