表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/49

第33話 二人の教師

夜勤明けに車で往復3時間の映画館に行って映画をみて帰ってきて、布団の上に乗ったらそのまま意識を失いました。

もう若くないですね

「さぁ、朝ホームルームをはじめるわよん」


 壇上にいるのは我がクラスの担任であるイグニス先生。スキンヘッドでマッチョでちょびヒゲの見た感じではいかついおっさんだが、オネェである。分析で能力を見るとものすごく有能すぎてこう、ギャップが激しい。なにこの先生怖いって昨日の紹介の時思ったもんだ。ちなみにレベルは172で、スキルに武芸百般Lv5とかいう分けわからないのを持っていた。スキルを分析してみると『あらゆる戦闘技能を極めている』とか出てた。もうわけがわからない。あとで知ったことだが元Sランク冒険者で武神と呼ばれていたらしい。


「今日から授業が始まるわ。まず初日ってことで午前中に武術と魔法の授業、午後に座学に付いての説明、あとは部活動の説明会というか勧誘会があるわ」


 ほう、この世界の学校でも部活ってあるのか。強制じゃないといいんだが。面白そうなものがあれば入ってみてもいいかもしれない。マリー達も入りたいと思うものがあるかもしれないしな。


「このクラスの武術の授業はあたしが教えるから楽しみにしててね。魔術はジェシカ先生が行ってくれるわ。座学の先生はいっぱいいるからその都度紹介してもらってね。それじゃ、ホームルームを終わるわ。武芸の授業はグランドで行うから、運動着に着替えてから運動場に集合してね」


 イグニス先生の指示に従って早速着替えて運動場に行く。ちなみに女子は女子更衣室が用意されていてそこで着替えている。男子は教室だ。まぁそんなもんだよな。ちなみにのぞきに行こうという猛者は今のところいない。

 運動場には、複数の木製の武器を用意してイグニス先生が待っていた。これから今後の授業の説明をするそうだ。


「この学院で教える武術は格闘、短剣、剣、槍、斧、棍棒、弓を教えるわ。他にもいろいろ戦闘技能はあるけど、基本的にこれってことで納得してね。みんなの中には既に自分の戦闘スタイルが決まっている子もいるかもしれないけど、他の武器の技能を知ることはいろいろ勉強になるから不満に思わないでね。また自分の戦闘スタイルがまだ決まっていない子はいろいろやってみて自分に合う武器技能を見つけるといいわ」


 先生の言いたいことはわかる。対人戦闘では相手の武器の特性などを知っているのは有利に働くし、魔物の一部は武器を使ってくる人型の魔物だっている。そういうことを考えるといろいろな武術を知るというのはいいことだと思う。自分の武器の技能を上げることを考えるなら朝や放課後に自主練したり、冒険者として討伐などの依頼をこなせばいい。というかそのつもりだ。格闘術を学ぶことは特にいいと個人的に思う。この中には貴族やそれに準ずる者の子供も多い。武器が手元にない場合を想定して格闘術は学んでおいたほうがいいと俺は思う。


「クラウスはこの授業で合う武器を探すのがいいかもな。ちょっとだけ俺はおすすめの武器があったりするんだが」

「そうですね。ちなみにおすすめってなんなんですか?」

「ん~とりあえず、いろいろやってみてからってことで」

「わかりました」


 クラウスは少々納得行かない顔をしていたが了承する。実際、俺が勧めればその武器を使うだろうが、やはり自分にあった武器を選んでほしいのだ。それに勧めた武器が合わない可能性もあるからだ。


「今日はまず、簡単に体を動かすことから始めましょう。今朝、このクラスの子の一部もやってたみたいだけど、とりあえず30分、自分のペースで走りなさい。ただし、無理はしちゃだめよ」


 今朝の自主練見られてたみたいだ。今回のランニングには負荷は無しのようだ。たぶん体力などをみたいのだろう。自分のペースで走ることにする。俺とリズ、リュースが先頭集団、その後ろの中間の集団をマリー、セリア、エピオンと幾人かのクラスメイトが続き、クラウスや他のどちらかというと魔法系や文官系のクラスメイトが後方集団っといった感じとなる。


「ふははははっ!!やっぱ走るの楽しいなっ!!」


 体力バカ――当然リュースのこと――がバカ笑いをしながら走る。走るのが楽しいとか言ってる。正確には体を動かすのが好きなんだろう、こいつ。30分後、普段から体を動かしていることに慣れている数名以外は、運動場に寝転がって潰れていた。自分のペースでって言われたのに頑張りすぎたのだろう。


「10分くらい休憩して息を整えてね。そのあとは少し簡単に格闘術をやるからね」


 そんな感じで少しづつ体を動かす授業を1時間半ほど行った。そのあとに15分の休憩時間のあと、運動着のまま魔法演習場へと向かった。演習場には、ゴスロリ衣装を身にまとった美少女が立っていた。額に2本の小さな角がある。今回の人生で初めて出会う魔族である。この世界の魔族は、地球というか日本で言われる鬼である。魔族の中でもいくつか種族があり、力が強かったり、魔法が得意だったりする。角が共通点ではあるわけだが。


「来たわね、新入生諸君!!あたしが魔法の授業を受け持つジェシカよ!!ちなみにもう既婚者だから手を出そうとしてもダメだからね。あたしは身も心もダーリンのイグニスにささげているんだから」


 イグニス先生の……妻……だと!?衝撃の事実にクラス全員が固まる。あのオネェ、既婚者だったのか。それもこんな幼い……いやひょっとすると見た目と年齢が合ってないだけかもしれないが。


「今日は魔力制御の授業をするからね、この中には魔法が使えない生徒もいるかもしれないけど、なんだかんだでみんな魔法を使うことができるのよ。それにはまず、自分の持つ魔力を適切に制御できるようになるのが一番。だから既に使える生徒も基本の基本でつまらないと思わずに真面目にやること。魔力の制御一つで魔法の効果が変わるからね」


 魔力制御はたしかに基本だ。そしてジェシカ先生が言うとおり、この基本をしっかり行える、行えないで魔法の効果も変わってくるのも事実。この基本をしっかりせず、目先の派手な魔法を覚えようとして実力がついてこない魔術師が多いとアトモスも嘆いていた。だからこそ、ジェシカ先生は俺たちに魔力制御をしっかりやるように言っているのだろう。

 すでに魔法を使える生徒は先生に言われるように魔力の制御の訓練をする。魔法が苦手や使えない生徒はジェシカ先生が丁寧に教えてくれている。リュースがそっちの組にいて、やっぱあいつ脳筋なんだなって再確認した。




お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ