第29話 報告
休みだからかけるだけ書いて投稿する。これが俺のJustice
翌朝。いつものように日が昇るくらいに目覚め、日課のランニングなどを済ませ、風呂に入って汗を流した後に朝食を食べる。フィリップに10時に王城と神殿にマリーとセリアの迎えの馬車の手配を頼み、食後のお茶を楽しんだあとにリズを伴ってお祖父様の私室に向かう。ノックをして入室の許可を得ると室内に入る。昨日のうちにセリアとのことを話して置きたかったが、迷宮から帰ってきて疲れたと早々にお祖父様が寝てしまったので朝の報告となったのだ。
「失礼します、おはようございます、お祖父様」
「うむ、おはようクエスト。なんのようじゃ?」
「実は、大変申し上げにくいことなんですが、婚約者が増えまして」
「は?」
「父上と母上には手紙での報告をしたんですが、女神教の聖女であるセリアとも婚約することになりましたので、報告をと」
「どうしてそうなった?」
お祖父様の説明に丁寧に答える。当然、既に婚約者であるマリーとリズの承諾を得ていることをも説明し、陛下の方にも婚約者が増えてしまった報告などを後日するということも言っておいた。最初は呆れていたが半ばあきらめたようにお祖父様も納得する。
「しかし、あと何人お前は妻が増えるんじゃ?」
「いやさすがにこれ以上は…たぶん」
「そう思いたいものじゃが」
お祖父様への報告が終わり、部屋を後にする。その後、二人に出すお菓子を厨房で作ることにする。市場でいくつかの果物が手に入ったので、フルーツタルトを作ることにした。タルト生地を焼き、カスタードクリームを広げ、一口大にきった数種類の果物を散らす。見た目も綺麗で美味しそうだ。自分たちの分だけというのも悪いと思い、お祖父様や使用人達の分も作っておく。あとでおやつにでもしてくれと伝えて、自分達の分は次元倉庫に入れる。
なんだかんだと準備をしているとマリーとセリアの二人が屋敷に到着する。二人と伴って、再びお祖父様の元へと行く。セリアを紹介するためだ。
「セリアと申します。不束者ですがよろしくおねがいします」
「こちらこそよろしく頼むぞ」
挨拶を済ませると、俺の部屋に戻る。リズはお茶を用意してくると言って、厨房に一度向かってポットなどを用意してから部屋に入ってくる。お茶と一緒に切り分けられたフルーツタルトにマリーとサリアが目を輝かせる。とりあえずタルトを食べさせないと話が進まないだろうと思い、まずは食べてもらうことに。とても嬉しそうな表情でタルトを頬張る美少女3人。ごちそうさまです。
「さて、俺達は未来に家族になるわけだが、その前に話していない俺とリズの秘密について話したいと思う。この事は現在、俺とリズ、それからアトモス学院長しか知らない事実であって、それ以外に漏らすことがないことを誓って貰いたい」
「わかったわ。でもなんでアトモス学院長が知ってるの?」
「それに関してはお話を聞けばわかります、マリー様」
俺はマリーに、俺とリズの転生のことを話す。あまりの事実に信じられないという表情を浮かべるが、二人で現在のレベルに表示を戻したステータスカードと神剣と魔王杖を見せることで納得してもらった。見せたあとはステータスカードを下げたレベル(Lv100)に戻す。
「それじゃ私の方からも、マリー様とリズに秘密を打ち明けるね。いいわよね、クエスト?」
「構わないよ」
「あるときは女神教の聖女、またある時はとある辺境伯嫡子の婚約者、その実態はっ!!女神イセリアの分身なのだーっ!!」
「「はぁっっ!!??」」
突拍子もない暴露にマリーとリズが固まる。まぁ普通こんなことを言われて配送ですかとはいえないし。言わない。明らかにおかしいわけだし。
「まぁ、信じられないのは当然よね。ってことで、神力開放ッ!!」
セリアのから神聖な力が溢れ後光が差す。あ、これ神様だわって感じで。たぶん中級くらいのアンデットなら一瞬で消し飛ぶくらいの。
「疲れるからこれで停止っと。どう、信じてもらえた?」
「普通じゃないってことはわかったわ。それから、私に様付はいらないわ。婚約者として対等でありたいわけだし。リズはもう職業柄仕方ないと思ってるから諦めてるけど」
「わかったわ、マリー」
「しかしなぜ、イセリア様が分身とはいえ、この世界に実態になっていらっしゃるのですか?」
「さっきのクエストの転生の話は聞いたでしょ?彼に3度も付き合ってたらこうちょっと気になっちゃって。1回くらい人間と恋してもいいかなって感じで気づいたらもう、結婚したくなっちゃったっていうか」
まったくはっちゃけた女神様である。俺と結婚したいから分身つくって実体化とかもういろいろだめなんだろうと思った。マリーとリズもどう言い返していいのかわからないって表情をする。とりあえず、セリアのことも俺たち4人だけの秘密ということにしておいた。っていうかしないと女神信仰にいろいろ問題が出そうだからだ。
「そうだ、お父様との謁見というか会談は明後日でいいかって言われたわ。迎えの馬車はよこすから準備しておいてって。あとお母様からなにかお菓子が食べたいって」
「了解。リズとセリアも連れて行くことは言ってある?」
「それは当然よ。一応、クエストと一緒に私の友達も来るって伝えてあるわ」
「友達……それが娘と同じ婚約者だったと知ったらどうなるんだろ?」
「大丈夫じゃないかなぁ?」
マリーはそう言ってタルトのおかわりを要求した。
「で、その二人もマリーと同様にお前の婚約者と」
「その通りです、陛下」
「あらあら、クエストちゃんはモテるのね」
「ボクも婚約者は二人いるけど、クエストもさすがだね」
ということで、いま国王一家と会談中である。王妃様とマグナリス様までいるとは聞いていない。俺が来るということできっと予定を開けて来たのはわかる。
「クエストも貴族だし、この国では重婚も認められているから問題ないぞ。っというかミリオンの息子にしてはやりおるのぉ」
「なぜ、父上と比べられるんですか?」
「あやつはすごいモテたんじゃが、ピューリス以外と結婚しようとしなかったからな。お前の祖父も妻は一人しか娶らんかったから、てっきりお前もって思っただけだ。貴族の義務には血を残すことも大切だからな、別に何人と結婚しようが問題ないわ。わしとて、側室はあと3人いるしな」
「そういうことだよ、クエスト。気にすることはないさ。むしろ報告に来てくれてうれしいよ。マリーも大切に思ってくれてるようだし」
「陛下、マグナリス様」
「まだ結婚してないけど、ボクはキミの義兄になるんだ、様付はやめてもらいたいかな」
「兄上、兄者、兄貴、お兄、兄君、兄さん、兄ちゃん、おにいたん……どれがよろしいですか?」
「……シンプルに兄さんで」
「了解しました、兄さん」
やはり無駄にノリがいいなこの国王一族。しかし、王妃様以外に側室が3人も板だなんて知らなかった。知らないうちに弟や妹が増えるのか?そういえばマグナリス兄さんは第2王子だから第1王子がいるはずだが会ったことはない。聞いてみると第1王子は側室で、すでに他国のお姫様の元に婿入りしているそうだ。マグナリス兄さんは王妃様の長男なので、もう少ししたら王太子となるそうだ。
「セリア、それからリーゼロットよ。クエスト同様、娘のことをよろしく頼む」
「「はい」」
「いい娘たちを婚約者にしたな、クエスト……で、あと何人増えるんだ?」
「増えませんよ……たぶん」
「増えるな」
「増えそうよね」
「増えると思います」
「なんだかんだで増えそうよね」
みんなひどいよ、泣くよ?そもそも俺が口説いてるわけじゃないんだけど……。まぁ、増えたら増えたで開き直って全員幸せにしますよ、してみせますよ、ええ。ともかく、陛下から「うちの娘以外にも女を作るとは何事だっ!!」的なことは言われなくてよかった。
しかし、これ以上増えないよね?変なフラグ踏んでないよね?
お読みいただきありがとうございます。
現状はこれ以上メインヒロインは増えないつもりです。でもなにかの拍子にポロっと増えるかもしれません。少なくとも第2章では増えません……たぶん




