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第2話 状況把握

 忍者について説明して置かないといけない。

 歴史などで出てくるいわゆる忍者(大名などのスパイや隠密として活躍するアレ)は忍者というカテゴリーとしてはかなり下の存在となる。彼らは体術のみに特化した存在であり、本来の忍者は実のところ、マンガやアニメ、ゲームなどでお馴染みの荒唐無稽で派手な術を使うものであったりする。

 そもそも忍者とは俗にいう魔法戦士なのである。

 現代において魔法というモノはほとんどがその存在を確認されていない。当然忍者がそのような存在として歴史に記述されていないのも先達がそれらを隠蔽したからに他ならない。

 本来の忍者の任務はこの日本を怪異から守る存在である。それは現代においても引き継がれている。そのような怪異の存在を世間には当然公開できないわけで、俺が神坂忍時代では表向きは古本屋の店員、裏というか本来の職業は政府直属の怪異対策チームの一員であったわけだ。

 当時は若き忍者マスターとしてトップエースであったわけだが、突然なんの痕跡もなく日本から消えたのだ、きっと現場は混乱しただろうことは予想できる。

 さすがに生まれ変わったなどということを信じてもらえると思っていない霧島燐時代は忍者としての修行をしつつも彼らとは接触しなかった。

 まさかそのまま、また異世界に来ることになるとは思わなかったわけだが。


 さきほど、言ったが忍者は魔法戦士である。

 正確には魔法も使える戦士であり斥候職である。超ハイブリットなクラスである。ちなみに俺のスキルにある次元倉庫は忍者必須のスキルである。よくマンガなどで忍者が大量に忍具などを持っている描写があるだろう。アレの秘密はこれである。忍者は無限倉庫に入れているわけだ。そして必要な時に取り出す。実はこんなネタがあったわけだ。

 当然ながら火遁や動物の使役などは魔法である。俺は更に異世界で忍術にない魔法も覚えたわけで更にハイブリット化したわけだが。

 更に忍具や毒、丸薬などを作るために鍛冶や調薬までも精通しなければいけない。当然ながら体術や感覚系のスキルなども必要という。だからあんな感じのスキル編成なのだ。料理は完全な趣味だが。我ながらよく18歳で極めたものである。もっとも極めたと言われただけで、俺自身はまだまだのつもりだったんだが。


 そこで、俺は今回の人生をどうするかというものである。現在のフォルセリアの状況が分からない。俺が知ってるフォルセリアは1000年前である。現在もまだ剣と魔法のファンタジーな世界かどうかはわからない。部屋の感じからして1000年前に比べると多少は文明が発達したようだが、それでもまだ中世を抜けたかどうかといった感じだ。

 この数日、この部屋でわかったことをまとめてみる。

 まず俺の両親は、父親はミリオン、母親はピューリスという名前だ。

 父ミリオンは金髪碧眼のイケメンで20代半ばくらいのやや筋肉質の体付きをした男だ。どうやら貴族っぽいが、さすがに爵位まではまだわからない。身のこなしなどを見る限り武術の心得はあるらしい。強さもかなりのものと想像できた。

 母ピューリスは銀髪に赤い瞳の美女である。年齢は20歳くらいだと思われる。胸はそんなに大きくないっぽい。息子として吸ったり揉んだりしてる。授乳的な意味で。とーぜん下心的なものはない。だって母親だぞ?そーいう趣味はない。父親と違って武術をやっているような感じはないが、魔力を感じることから魔法使いの可能性が高い。

 美男美女の組み合わせであることを考えると俺もイケメンにそだつんじゃないだろうかと勝手に想像する。赤ん坊だし、鏡みたことないから確認できないけど。

 この他に俺の専属のメイドとしてミレーネがいる。年齢は20代くらいのそこそこ美人のメイドさんだ。話を聞くに娘がいるらしい。俺がこんなだから、手のかからない坊ちゃまで嬉しいとか言ってた。もっとも有能っぽいから仕事の手を抜くなどはしてないっぽい。

それから、ウチの執事を務めるスチュワート。ミレーネの父親らしい初老の男だ。よくマンガなんかでみる完璧執事って感じだ。


「がはははははーーーっ!!クエストの様子はどうだっ!!」


 大笑いと共に部屋に入ってきたのが俺の祖父に当たるガラハッド。どうやら家督は父親に譲ってる隠居ジジイらしいが、なんというか老人マッチョである。そりゃーもうびっくりするくらい元気だ。なんで引退してんだこのジジィって思うくらい。

 この5人が今のところ俺が確認できる家族と関係者である。どうやら俺は長男で、ジジィにとっては初孫のようだ。 この他にも両親や祖父の友人などが挨拶にきたりもするがその辺はまださすがに覚えられない。


「クエスト、ワシがもうちょっと大きくなったら武術を教えてやるからなっ!!楽しみにしておるのだぞっ!!」


 ジジィが俺を抱きながら俺を鍛える宣言をする。確かにこのTHE武人ってジジィなら確実にそう持っていくだろうな。っていうか毎日俺にそう言ってる。まぁ、わからんでもない。そーいう時代なんだろうきっと。


「お義父様ったら、いまから張り切って。でもお義父様なら安心しておまかせできますわ」


「父さん、ボクも教えたいから時々は譲ってね」


「よいぞ、ミリオン。二人で立派な武人に育てようなっ!!がっはっはっ!!これで我がライバッハ辺境伯家も安泰だっ!!!」


 俺の人生が家族によって決められてしまっている気がする。まぁいいか。っていうかなにげに爵位が判明したな。――辺境伯か。たしか結構上の爵位だよな。あれ?俺ってもう勝ち組か?長男だから確実に跡取りだしな。よっぽど俺がアレじゃなければだけど。そーいや前世から受け継いでる金って今でも使えるんだろうか?かなりの額があった気がするが使えなければ意味が無い。まぁ、金貨と銀貨は溶かして売ればいい気がするが。


「そういえば、坊ちゃまの魔力適正はどうなんでしょうね?」


 ミレーヌがそんなことをいう。魔力適正を測定なんてあるのか。1000年前はなかったよな。どうやるんだろう?っていうか赤ん坊でもできるのか?


「楽しみね。私の血も引いてるんだからきっと魔術師としても適正があるんじゃないかしら?」


「はっはっはっ、そうしたら魔法騎士として育てようか」


「それも良いなっ!!」


 女神様、両親と祖父の期待が重いです。いやぶっちゃけその能力は十分あるんで重いかと言われたらそうでもない気もするが。こっちはまだ言葉が喋れないわけだし、大きくなってからだな、その辺を家族と話すのは。さすがに「元勇者の転生体です!」なんて話は信じないと思うが。必要になったらその時には打ち明けよう。いまはまだ赤ん坊でいよう。




お読みいただきありがとうございます

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