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第24話 グラントの剣

 城塞都市ラインバッハに戻ると早速、グラント達はケリンドの工房へと向かった。俺と父上は屋敷に戻る。グラント達への報酬は後日ということになった。屋敷に戻ると母上とピュリアが俺たちを出迎える。俺はピュリアにおみやげに王都で買ってきたぬいぐるみを上げる。熊のぬいぐるみだ。結構ディフォルメされていて可愛いと思う。ピュリアもものすごく嬉しそうにぬいぐるみを受け取ると抱きしめた。父上と母上は抱き合っている。そのあと父上はピュリアも抱きしめた。その時ぬいぐるみは母上が持っていた。

 屋敷に戻ると休憩として家族でお茶を飲んで休んだ。その時にはお祖父様もその場に来ていた。お茶うけはブラドが作ったクッキーだった。


「っということで、クエストはマリーメイア殿下の婚約者になったから」

「あらあら、クエストったらどんな風に口説いたの?」

「口説くだなんて、特になにもしてないよ」

「しかし、我が家に王室から嫁を迎えることになろうとはな、でかしたぞクエスト」


 なんだかんだと家族に祝福され、俺とマリーとの婚約の報告は終わった。マリーとの婚約の発表は近々王都で国王陛下が宣言するらしい。すでに決定されていることなので、俺からなにかいうこともなく、その時を待てばいいらしい。


「父上、ステータスボードというモノを知っていますか?」

「ステータスカードじゃなくて?」

「はい。カードよりより細かく自分のステータスをみることができるモノなんですが…」

「そんな便利なものは知らないなぁ。なにかの魔道具かい?」


 父上は不思議そうに答える。ついでに母上やお祖父様の様子もみるが、「そんなもの知らない」っと言った表情だ。


「魔道具ではなく、個人が持っている能力のようなものらしく、過去にはそれで自分のステータスを確認してスキルなどを知っていたようです」

「そんなことができたのか」

「正確には今もできるはずです。試しに『ステータスオープン』っと念じて見てください」

「……うわっ!?」


 いきなり目の前に開いたモニターにビックリしたのだろう。父上だけでなくその場にいた全員が試したようだ。視線が自分の前方に釘付けになっている。


「これは興味深い…このスキルの隣にあるレベルはどんな感じなんだい?」

「魔法でいう下級・中級・上級・真級・極級の5段階と一緒です。魔法スキルを持っているならそこまでの魔法は使えるということです」

「なるほど…ボクは剣戦闘がLv4か。魔法でいうところの真級クラスの剣の使い手ってかんがえればいいわけか」


 みんな思う所があってブツブツと言っている。数値化された能力値も聞かれたが詳しくはわからないと俺は言った。本当に詳しくしらないし。それから父上とお祖父様が二人で俺が言った実戦経験の話をしていた。お祖父様は、『久々に冒険者として活動する』っと言い出し、スチュワートを呼んで昔の仲間に伝令を送った。いやあんた年を考えようよっておもったがこの人、元気の固まりだから問題ないか。父上もこの後、主だった部下と打ち合わせをすると言っていた。母上も『屋敷に篭っていてもしかたないし、たまにはお義父様とご一緒しようかしら』とか言っていた。ピュリアも付いて行きたそうな顔をしていたが、それはまだ早いということで、家で魔法の練習をするということでみんなで説得した。ものすごく不満そうだったが、ある程度魔法を覚えたら連れて行って上げると母上が言ったので、「すぐ魔法を覚えてついていく」っと意気込んでいた。


 お茶会が終わったあと、ケリンドの工房に顔をだす。街にもどってきてから結構時間が経っていたと思ったが、まだグラント達がケリンドとなにかを話していた。俺たちが来たことに気づくと、軽く手を上げてくれる。


「どうかしたの?」

「いやぁ、グラント達が持ち込んでくれた素材なんだが、うちの工房ではちょっと手に余ってな。腕の問題というよりは設備の問題でな。」

「それでどうしたもんかと相談していたんだ」

「設備的な問題ってなにがあるの?」

「まず、最低でもオリハルコン製のハンマーと金敷がほしい。あと炉の火力も足りないっとないないづくしさ」


 設備の問題か。これが聖鋼を量産できるなどということなら父上に掛けあって投資も考えられるけど、今回はグラントの武器を作るだけだ。ハンマーっという点ではなんとかなりそうだけど、金敷と炉の火力か…


「ハンマーは、ダンジョンで一緒に見つけたアリアのハンマーじゃダメなの?」

「そーいやそれがあったか、ケリンド、このハンマーでいけるか?」


 アリアからハンマーを受け取りケリンドに見せる。ケリンドは驚いた表情をしながらハンマーを見て満足そうに微笑んだ。


「戦闘用のハンマーだがこれならなんとかなるじゃろうな…しかし、金敷と炉の火力がのぉ…ここはラインバッハじゃ一番の設備じゃからそれを考えるとの…」

「王都あたりにいけば上の設備の工房がある?」

「うーむ、王室御用達の工房ならあるだろうな……しかし、あそこは」

「なんかあるの?」

「兄貴の……カリンド兄貴の工房を借りるってのは俺のプライドが」


 ご長男は王室御用達の工房主かよ。すげーな、おい。


「グラント、兄貴に紹介状を書いてやる。兄貴なら、俺より腕も上だ。きっと素晴らしい剣を鍛えてくれる」

「しかし、俺はケリンドに造ってもらいたいんだが」

「さっきは設備のせいにしていたが、俺はギリギリ聖鋼を扱える程度の腕なんだ。そんな俺が剣を打っても俺もお前も満足する物ができるはずがねぇ!!すまねぇが、兄貴のところに行ってくれ」


 ケリンドは悔しそうにグラントに言う。グラントは少し考えるがすぐにわかったというと、王都と剣ができるまでの間に使う剣をケリンドに注文する。ケリンドは見事な大剣を倉庫から持ってくる。グラントはその剣と手紙を受け取ると工房を後にする。


「ケリンド、いいのか?」

「坊っちゃんか。いいんだよ。本当だったら俺があいつの剣を打ちてぇ。でも満足もいかない物であいつの命に関わることになっちまったら悔やんでも悔み切れねぇ。兄貴は俺より数倍腕のいい鍛冶師だ。兄貴になら俺は任せれる」


 少し悲しそうな目をするが、すぐにいつものケリンドに戻る。その後は仕事があると行って奥の方へ行ってしまう。俺も用事はもうないので、屋敷に戻ることにした。


――そして何事もなく2年が過ぎた。


お読みいただきありがとうございます。


あともう少しで1章が終わります。終わったらキャラ設定を上げようかなと思ってます。

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