第21話 はぢめての迷宮
5/28の更新はないと言った…でも5/29の0時に更新しないとは言っていない(ぁ
っということで睡眠とって起きてから書きました。
タイトルの方も(仮)とってなんか長くなりました。
これからもよろしく尾根がしいます。
王都にいるのもあと3日だ。今まで何をしていたかというと、作ったお菓子をもってマリーやマグナリス様たちとお茶をしたり(王妃様がプリンを大変気に入り、レシピを王宮の厨房に渡すといったことも起こった)、マリーがお忍びで王都を回るのに付き合ったりしていた。あれ?俺、リア充じゃね?一番驚いたことは、リズを紹介した時、マリーとリズが二人切りで2時間ほど話し合いを行い、ものすごく意気投合したことだ。一体なにがあったんだ、この二人?
そんなこんなで、俺は今、王都より徒歩で3時間ほどしたところにある迷宮都市タリウスに来ている。迷宮都市とはその名の通り、ダンジョンの周りにできた都市であり、この街は王都に最も近いダンジョンがある場所である。当然、冒険者たちも多い。そこにせっかくだからとグラント達と来ている。
ダンジョンは、それぞれに等級が定められており、その等級によって挑戦できる冒険者ランクの下限が決まっている。ここタリウスのダンジョンはE級のダンジョンで、冒険者ならだれでも挑戦できる。しかしE級と言われているが、未だに踏破者はいなかったりする。序盤は駆け出しの冒険者にちょうどいいレベルの魔物が多く、奥に進めば手応えのある魔物が出てくるということで幅広いランクの冒険者に人気のダンジョンなのだ。
ダンジョンとフィールドの違いというものがある。フィールドの魔物は倒したあとに剥ぎ取りにより素材などを確保する。しかし、ダンジョンの魔物は倒すと消滅し、魔石とその魔物にちなんだ何かしらの素材をドロップする。なぜそのようになっているかは未だに議論されているらしいが、最近の通説では、ダンジョンが魔力によって魔物を構築し、徘徊させて侵入者に対処しているということだ。魔力でつくられた擬似生命体なのでその魔力が固まった魔石を落とし、なぜかモチーフとなった素材が落ちるということに今のところなっている。冒険者にとっては、『こまけーことはいいんだよ』って感じで、魔石と素材を売ることで金を得ている。ホント細かいことはどうでもいい。考えたらきっと負けだ。
「グラント達はこのダンジョンはどのくらいまで進んだの?」
「俺たちか?ここはそんなに籠ったことがないから30階くらいだったか」
「30階のボス倒して戻ってから入ってないわね、たしかに」
30階か。たしか現在の攻略終了した最下層が48階だったと持ったので、結構下まで行っている。それも昔の話っぽい。さすがはグラント達である。
「ボスってどんなのがいたの?」
「たしかゴーレムだったと記憶してるよ。めちゃくちゃ硬くてね」
「その時のボスドロップで出た鉱物で作ったのがこの剣さ。以後、俺の大切な相棒だ」
グラントの剣はこのいダンジョンのドロップ産だったのか。鋼の大剣かと思っていたがそうとは違うみたいだ。思い入れのある剣なんだな。
「っとそこの曲がり角曲がったところに魔物がいるね」
「そうみたいだね。クエストの索敵能力もなかなかに高いね」
「本職にそう言ってもらえると光栄だよ」
まぁ、俺もある意味本職だけどなっ!!どっちかっていうと暗殺者に近いけど。
俺とエリックが索敵した通り、曲がり角を曲がったところに魔物はいた。オークが5匹だ。大した相手ではない。ぶっちゃけ瞬殺だった。ドロップは魔石が5個にオークの牙が3つ、オーク肉が2つ。困ったことにこいつら食べれるんだ。わりと一般的にくわれてたりする。まぁ豚だしな。豚の獣人って表現はなんか違う。ホント2足歩行で前足が腕になっているだけの豚。この世界の獣人は基本、元の獣の耳と尻尾の付いた人間だからなぁ。
見学ということでまだ浅い階層なのを幸いし、サクサクと魔物を借りながら先を進む。ダンジョン内で1泊する予定で潜っている。当然、父上には許可をもらっている。今はまだ5階でまだまだ序盤だ。なにも考えずに目についた魔物を狩りながら進む。当然、罠にも気をつけているが、罠が本格的になるのは10階以降だという話だ。本日の目標は10階のボスを倒して11階で野営、翌日20階まで行って帰ると行った予定だ。
ちなみにダンジョンはなぜか親切設計でボス部屋前に水晶球が設置されており、そこから地上まで帰還できる。ボスは無理だと思ったら帰ればいい。ボスは5階おきに存在し、逆をいうとボス前までいかないと自力で帰還しないといけないわけだ。
「5階のボス部屋のようですね」
エリックが扉の隣に水晶球が設置されている部屋の入り口を指さす。ちなみに5階のボスはキマイラらしい。もっとも俺たちの相手ではないだろう。ランクDの6人パーティーで対等に戦えるレベルらしい。
「俺たち6人なら余裕だろうな……クエストとリズだけで戦ってみるか?」
「あんまり無理させたら、ミリオン様に怒られない?」
「俺たちだけでやらせてもらえるなら、やるよ」
「やばそうだったらすぐに加勢するからな」
ボス部屋に入る。中には、獅子の顔、山羊の体、毒蛇の尻尾を持つ魔物が部屋に侵入してきた俺たちを睨みつけている。俺とリズが前に立つ。
「ロックバレット」
小手調べとしてリズが地属性の攻撃魔法を使う。拳大の石を相手に飛ばす魔法だ。魔法だけど物理攻撃だったりするけど。キマイラは突然の攻撃に驚いたっぽいが、即座に横に跳ねてロックバレットは躱す。リズのロックバレット発動と同時にキマイラに向かって走り出していた俺は、回避行動をしたキマイラとの間合いを詰めていた。
「まずは一撃っと」
剣で、キマイラの尻尾の毒蛇を切り落とす。毒は厄介だ。…あ、俺は状態異常耐性あるから効かないけど、そのことをグラント達は知らないから突っ込まれるとうるさいだろう。
キマイラは尻尾を切り落とされて叫び声を上げるが、即座に俺たちを睨みつけると息を吸い込む。そして口から勢いよく火炎のブレスを吐き出す。俺は水魔法で、リズは地魔法で即座に防御壁を展開し、火炎ブレスを防ぐ。
「めんどくさいので、死んでください」
火炎ブレスを吐き終わった硬直状態のキマイラの首にリズは魔王杖を振り下ろす。その有り様は命を狩る死神の鎌。簡単にキマイラの首を跳ね飛ばした。
「おいおい、一撃で首を跳ね飛ばすかよ」
「すごいわね、あの子」
グラント達も驚いている。俺はもうちょっと戦闘を楽しもうかと思ったけど、めんどくさいってリズ……。
キマイラからは魔石とキマイラの皮を4つほどドロップした。成果してはそこそこらしい。皮を半分グラント達に差し出すと、「お前らで使えよ」って言われて返される。半分は換金して、半分は鞣してマントにでもすると言うと、「それがいいかもな」っと言われる。換金して金にすれば、最後にグラント達への分前も増えるだろう。
ボス部屋の奥の階段を下りて下の階層へ。徐々に強くなっていく魔物をまだまだレベル不足だとばかりに蹂躙していく俺たち。
「お前らホントにCランクか?俺たちとほとんどかわらねーな」
「その気になればBランク行くんじゃないかな?学院卒業まではBランクの試験受けないつもりだけど」
「こんな子供がBランクでは目立ちますからね」
「いやいや、既にCランクの時点で目立ってるから」
「え?目立ってたの?」
目立ってたのか。まぁ、街に来たばかりのバカ冒険者が絡んできたら問答無用でぶちのめしたりというテンプレ行動も何度かしたことあるから、目立ってるんだな、きっと。
「よし、10階のボス部屋だな」
5階でみたのと同様の部屋が……だが、俺は行き止まりになっている壁が気になった。なんか妙に違和感がある。俺はその壁を軽く拳で叩いてみた。そのあと別の壁を叩く。違和感のある壁は奥に通路があるっぽい。
「エリック、ここの壁がおかしくない?」
「そんなところに何もないでしょう?どれどれ……奥に空間があるね」
エリックと一緒に壁を調べる。そうするとこの壁が横にスライドして開く隠し扉担っていることがわかった。隠されたスイッチを発見し、壁を超えると更に奥へと続く通路になっていた。通路に入ると再び壁が戻り入り口などなかったようになる。一瞬焦ったが。此方側にも同様のスイッチがあり、開閉できることがわかるとほっとする。いざとなったらぶち壊して戻るんだけど。俺たちはそこを先に進むと、ボス部屋と同様の入り口にたどり付いた。
「隠しボスの部屋ってとこかな?」
「そうみたいね。それも10階のボスより強そうよ。部屋の外に魔力が溢れて来てる」
「どうするのグラント、行ってみる?」
「多少強くても俺たちならなんとかなるだろ?ここに隠しボスがいるってのは聞いたことないから楽しみだな」
「どんな魔物がボスでいるかな?」
グラント達も冒険者である。やはり未知との遭遇に心が踊るっぽい。かく言う俺も、隠し通路の後のボス部屋にほんのちょっと期待をしていたりする。
「扉に罠と鍵はありません」
「よし、お前ら、いくぞ」
グラントがボス部屋の扉をあけると、俺達は中に入っていた。
お読みいただきありがとうございます。




