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第16話 初仕事

0時更新がちょっときついので、数日は18時更新になると思います。

 「グゲッ!?」

 へんな悲鳴を上げながら俺の目の前のゴブリンは倒れる。俺が背後から忍びよって一刀の元に切り伏せたからなんだが。攻撃した後は即俺は影に紛れる。俺の姿を見失い慌てるゴブリン共。1匹、また1匹と俺の攻撃で数を減らしていく。――なんで俺がゴブリンを狩っているかというと……


 初仕事ということで、魔物の森の入り口付近に生えているという薬草の採取を受けた。ついでに森近辺にいる魔物を狩って素材を売るということにしていた。魔物の種類によっては、ステータスカードの履歴を見て討伐依頼を後受けで達成出来るからだ。

 とくに魔物との遭遇もなく、普通に薬草を採取していた。この薬草はポーションの材料になるということで、常に採取依頼が出ている。俺みたいな駆け出しの冒険者には小遣い稼ぎみたいな依頼だ。俺とリズはポンポンと見つけて次元倉庫に突っ込んでいく。普通はここまで簡単に見つけないらしい。依頼に出かける前に受付のおねーさんに「そんなに簡単に数は揃えれないとは思うけど、頑張ってね」って言われたのである。もう依頼10セット分くらい集まってる。俺たちは効率よく見つけてるんだろうか?

 そんなことを考えていると俺の危険感知に複数魔物の気配を感じた。リズも感じたようでこちらを見る。魔物はこちらに気づいているようではなく巣に戻っているようだ。魔物の種類によっては倒していいかなっと思ってそちらの方に向かう。俺たちが発見した魔物は、人間の子供くらいの大きさで赤黒い肌をした醜悪な外見の魔物――ゴブリンだ。たしか常時討伐依頼が出ている。なんせ繁殖力が半端ない。しかもこいつら雄しかいない。子供を作るのには人間やエルフなどの多種族の女性を苗床にする。しかも妊娠から1ヶ月くらいで出産し、2ヶ月ほどで成体になる。奴らに捕まった女性は最悪な運命をたどることになる。そうならないために常時駆除しないといけないということだ。


「リズ、女の敵だ。巣を見つけて殲滅するぞ」

「当然です、クエスト様」


 クズを見る目でゴブリン達を見る。俺たちは隠密のスキルを使いながらゴブリンの後を追う。っていうかリズも使えたんだな、隠密。聞いてみると「メイドの嗜みです」と返答された。メイドの道は奥が深いっぽいな。

 ゴブリン達は森のやや開けた場所に集落のようなものを形成していた。何匹くらいいるだろうか?少なくとも30くらいは余裕でいそうだ。


「攻撃魔法で焼き払ってしまいましょうか?」

「さらわれた人がいたらどうするんだよ」

「最悪の運命にあったあとなら死んだほうがマシかもしれませんよ?」

「まだ手遅れになってない場合もあるだろう?一応、俺が行ってくる。多分混乱して逃げてくるヤツがいるだろうから、リズはこの場に待機してそいつらを殲滅してくれ」

「わかりました」


 リズを集落の入り口よりやや離れたところに待機させ、俺は隠密状態で集落に入っていく。幾つかある小屋の中でゴブリン達がくつろいでいる。一つの小屋に5体ほどか。それが6つほどある。そしてやや大きめの小屋が2つ。片方を覗いてい見るとゴブリンが人間の女性を襲っている最中だった。女性の数は3人。ムカついたので、気配を消してゴブリンの背後に回ると無理矢理引き剥がしそのまま殺す。それを一瞬で行う。女性たちは何が起こったのかわからない様子だった。


「とりあえず静かにしていて。俺はゴブリン達を殲滅するからこの小屋に隠れていて。安全のために結界を張るから」


 俺は彼女達の周りに光魔法で魔除けの結界を張る。その後で次元倉庫から水と清潔な布を取り出し、彼女達に渡す。


「あとは、食料もちょっと置いておくね」


 お弁当に持ってきたおにぎりも渡す。そしてゴブリンの死体は次元倉庫にしまう。こんな死体があったら気持ちわるいだろうから。彼女らは小声で「ありがとうございます」と言ってそれらを受け取る。ひょっとすると既に何度もゴブリン共に犯されて子供を産んでいるかもしれない。ただ、まだ彼女らの目が死んでいなかった。だから助けることにした。


「あの、この集落にはホブゴブリンが2匹とゴブリンナイトが1匹います」

「そいつらがここのボスってわけか。情報ありがとう」

「まだ子供のようだけど、大丈夫の?」

「それくらいなら、ザコだよ」


 俺は彼女らから情報をもらい小屋を出た。子供とはいえ男がいたら安心して体を清められないだろう。あとでリズを連れて行って彼女らをちゃんと保護しなければ。

 もう一つの大きめの小屋を偵察する。彼女らの情報通りにホブゴブリンとゴブリンナイトがいる。とりあえずザコから消していこう。騒がれても困るので静かに消そう。

 一つ目の小屋の入り口から痺れ粉を風魔法で起こした風で注入していく。窓から痺れ粉が出ないように空気を操る。数分後小屋を除くと中のゴブリン達が痺れて動けなくなっていたので1匹ずつトドメを刺した。次元倉庫に保管してあるので、ダメになっていることはないと思うが、いろいろと作ってある薬をせっかくだから試そうと思い、まずは痺れ粉からにした。

 次の小屋には普通に毒薬を使った。即死性の毒ではないので苦しんでのたうちまわっていた。死ぬまで放置するのもめんどいので、俺はさくっとトドメをさしていった。

 3つ目の小屋は、混乱の薬。同士討ちをするというよりは強い酩酊状態にして行動がおぼつかないようにする薬だ。当然のように効果を確認したらトドメを刺す。なんか飽きてきた。

 4つ目の小屋は、リズに教えてもらった闇魔法で暗闇を小屋の中に作り出し、俺は潜入する。1匹ずつ始末していく。ゴブリン達は暗闇の中で1匹、また1匹と死んでいく恐怖に恐慌状態になっていっていた。

 5つ目の小屋はどうしよう…なんかもうめんどくなってきた。リズも暇してそうだな。リズを通信魔法で呼び寄せる。リズはすぐにこちらに合流する。


「とりあえず、この小屋と向こうの小屋に5匹ずつゴブリンがいる。それから、あっちの大きい小屋に3人女性がいたから保護しておいた。現在は結界を張って待っていてもらってる。で、あの一番大きい小屋にホブゴブリンとゴブリンナイトがいる」

「ではこちらの小屋を私が、向こうをクエスト様が殲滅させたあとにボスを一緒にってことですか?」

「そうだよ。4つの小屋は穏便に潰したんだけど、なんかめんどくさくなっちゃってね。魔法で派手にいこうか?やり過ぎない程度に」

「では土魔法でいきましょうか、私は」


 リズが楽しそうに返答する。一体何をするつもりだ?


「こんなのはどうでしょうか?」


 リズは大地に手を着くと魔力を込める。すると小屋を巨大な土の槍が貫く。小屋ごとゴブリンがバラバラだ。結構な音がなる。俺はもうひとつの小屋に雷魔法で落雷を落として破壊する。こちらも轟音が響く。さすがに異変を感じたのであろう。ホブゴブリン2匹とゴブリンナイトが外に出てくる。その時には既に俺たちは隠密によって姿を隠している。そして、ホブゴブリンの後ろに回り込み斬り殺す。いきなり目の前に現れた人間に配下のホブゴブリンが斬り殺されたことに驚くゴブリンナイト。しかし、人間の子供と女とあって舌なめずりをする。その直後にリズのデスサイズによって首が落ちる。リズがゴミを見る目でゴブリンナイトの首を見たあと、足で踏み潰す。なんかコワイよリズさん。

 倒したゴブリンの数はステータスカードの履歴に記録されている。ゴブリン自体剥ぎ取る素材もなく放置でいいだろう。森の魔物が食って片付けてくれる。一応、ゴブリンナイトがいた小屋を物色するが、大したものは出てこなかった。

 リズに女性たちのことを任せる。ボロボロの布のまま街まで連れて行くのは忍びなく、リズの着替えを彼女の技能で仕立て直して服と靴を用意してもらった。暗くならないうちに街に戻りたい。野宿はめんどくさいというより、家のほうが帰ってこないとうるさそうだ。そもそも採取依頼に出かけてると言って出てきてるからさすがに泊まりになると過保護な家族のことだ捜索隊を出す可能性まである。


 保護した女性たちに一緒に街まで連れて行くことを告げると、礼を言われた。さすがにここに放置するわけにも行かないから当然なのに。二人しかいないので、前衛を俺、後衛をリズとして彼女らを挟んで行動することにした。幸いここは森の入り口に近い場所なので森自体はすぐに抜けれる。そうすれば街までは平原を1時間ほど歩けば着く。実際、子供と女の足で1時間だし、彼女らも素直に歩いてくれたので、順調に街に着くことができた。門番に彼女らのことを話、ギルドに伝令を送ってもらう。彼女らは自分のステータスカードで身分証明をし、俺達と一緒にギルドまで行くことになった。


「お疲れ様でした、クエスト君、リズさん。伝令で話は伺っています。彼女たちはギルドが責任をもって保護しますので安心してください。

 依頼の方の処理をしますので、ステータスカードをお願いします」


 言われるがままに受付にステータスカードを渡す。受付嬢は討伐記録を確認しながらゴブリンに関する依頼をピックアップして、報酬を算出していた。俺はそこにもともと受けていた依頼の薬草を追加して渡す。その量に最初は驚いていたが、さすがはギルドの受付嬢、手際よく処理をしていく。


「まず薬草の報酬が合計で1000ドネーです。それから討伐での報酬としてゴブリン39匹で3900ドネー、ホブゴブリン2匹で2000ドネー、ゴブリンナイト1匹で1500ドネーとなります。またこのゴブリンの集落の殲滅の依頼が有りましたのでそれを達成ということで5000ドネー、合計で13400ドネーとなります。

 それから、討伐の関係であなた達のギルドランクが1つ上がってE+となります。まさか二人でこれだけの魔物を1日で狩ってくるとは思いませんでしたよ。」


 受付嬢は驚いた様子をだしながら、ランクアップの報告をしてくれる。それから報酬の入った袋をカウンターに置く。この調子で魔物を狩っていればすぐにD+まで上がりそうだなと心の中で思った。報酬をリズと半分にわけ、屋敷に戻った。なんとか夕飯前にはもどれそうだった。


お読みいただきありがとうございます。

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