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第10話 規格外の二人

夜勤シフト終了

人員不足で忙しい4日間でした。お陰で疲れが溜まって予定より寝すぎてしまった。

更新遅れてもうしわけありません。

 リズの淹れた緑茶を飲みながら、お茶うけの胡瓜と大根の浅漬けを食べる。いい出来だ。個人的には米を見つけて糠を手に入れてぬか漬けにも着手したい。梅干しも沢庵も食べたい。沢庵は漬けれる気がしないでもないけど。梅干しは梅が見つかっていない。たぶんあると思う。そういえば白菜も見てないな。白菜の漬物もほしい。

 おっと、思考が脱線した。リズとの今後の方針を決めたことで、前世関連の問題は一段落したつもりだ。ひょっとすると他にも関係者が転生してる可能性もあるがその辺はむこうから接触してくれないとわからない。んーちょっとそのへんイセリアに聞いてみるか。


「リズ、少しボクはイセリアに話をつけて来ます。その間に意識を失うから警護よろしく」


「かしこまりました……って、イセリア様に話をつけてくる?」


 冷静に答えようとしたリズがイセリアの名前で変な声を上げる。それを無視して久しぶりに神託スキルを使用する。


「よ、イセリア、久しぶり」


「リン!?じゃなかった今はクエストか。久しぶりね、どうしたの?」


 神界で暇そうにテーブルでお茶してるぞこの女神。


「ディメルディアが転生した女性と知り合った。彼女も記憶と能力を引き継いでいたんだが…ホントにお前が関与してない?」


「してるわけないでしょ?っていうか同年代に彼女の転生体までいるの?それもあなた同様に記憶と能力を残したまま。なにか起こる前触れなのかもしれないわね。ところで彼女はまだ狂ってるの?」


「いや、俺と相討ちした時に邪神の欠片を破壊したから、正気に戻ってるって言ってた。それに対して感謝もされたよ。今は俺の専属のメイドしてる」


 専属メイド発言になんか口元が引きつってるイセリア。そんなにアレなことなんだろうか?


「勇者と魔王が結託って…それも勇者の下に魔王って…」


 ああ、そういう見方もできるか。たしかに(たぶんだけど)世界最強戦力がコンビ組んでるんだよなぁ。俺が知ってる情報だとうちの国の騎士団長が世界最強クラスらしい。それでもうちのお祖父様とそこまで差はないという話だ。行っててレベル200くらいだろう。レベル差による補正は50くらい離れるとわりと絶望的になる。(にたようなステータスならという前提だけど)そう考えると俺とリズが組むということはヘタしたら二人で無双が可能だ。そもそも俺1人でもたぶん可能だけど。…よくよく考えたら騎士団長よりアトモスの方が強くね?あいつ当時レベル200超えてた記憶あるぞ。


「それで俺が聞きたいのは、俺達の他にあの時代のヤツがこっちに同様に転生してないかっていうことなんだが」


「そんなの私だって把握してないわよ。大体あなただってイレギュラーなのよ?その上にディメルディアまでって。他に転生してる人がいてもおかしくないけど、あなたの仲間関連がこれ以上復活されても…まぁ、あの時代が異常だった気がするわ」


 遠い目をしながらイセリアが語る。まぁあの時はディメルディアが脅威になってたし、モンスターもいまより強かった気がするしなぁ。必死だったから騎士や冒険者たちのレベルも高かった。レベル200くらいがゴロゴロいた気がする。もっとも今はなんだかんだいって平和な世の中だしな。歴史書とか読んでみたが、1000年前のあの戦い以降はそれほど大きな脅威ってのがなかったらしい。なので徐々に人々が弱体化(といっていいかは分からないが)していったのだろう。


「分からないってことか。でもその気になれば探せるんだよな?」


「まぁ、期待しないでいてもらえるとありがたいんだけどね。監理神っていってもそこまで万能ってわけでもないんだから」


「りょーかい。それじゃ俺は向こうへ戻る。なんかあったらまた来る」


 俺はトランス状態を解除する。リズがなにやら心配そうにこっちを見ている。神託中はまったく動かないから不安に思ったのかもしれない。


「ただいま、リズ。どうしたんだい?」


「いえ、クエスト様が全然動かないので少しびっくりしてしまって」


「ああ、事前に説明しなくて悪かったね。女神との交信をする際はあんな感じになるんだ。

 で、イセリアに聞いてきたけどリズのことは把握してなかった。一応、報告はしておいたし、リズは正常だって言っておいたよ。あと他に転生者がいないか確認をとったけど、『分からないから調べておく』って言われたよ」


「わかりました。

 ところで今からのご予定はどうなさいますか?」


「そうだね、食休みには十分すぎる時間をとってしまったし、練兵場に行ってお昼まで体を動かすとするよ。リズも一緒に体を動かすかい?」


「了解しました。それではご一緒させていただきます」


 動きやすい服に着替えてリズと一緒に練兵場へ。練兵場で訓練をしている兵士達は、俺がメイドを連れてきたことで、少し動揺していた。10歳とはいえリズはミレーヌの娘ということもありかなりの美少女だ。ビックリくらいはするだろう。リズを見つめている兵士に教官が怒鳴る。慌てて訓練を再開する。うーん、大丈夫だろうか?俺とリズは簡単に準備運動をすると、練習用の槍を手に持つ。


「教官、いつもどおり、隅の方を借りますね」


「了解であります、クエスト様」


 一応断りを入れてから練兵場の片隅に移動する。


「リズはメイド服のままでいいの?」


「はい、コレが私の戦闘服ですから。この服装で訓練をしないことには有事の際に意味はありません」


なるほど。俺たちはお互いに構えるとすぐに打ち合いに入る。最初は探りあいのような感じで始まる。リズは槍をデスサイズに見立てて動かしている。相手の技量は魔王ディメルディアと同様。つまりお祖父様以上の相手だ。こちらは以前とは違い槍である。現在の俺の槍術のスキルレベルは2。たぶリズの大鎌を使うスキルのレベルは4ないし5だろう。専用スキルなのか、なにかの武器スキルなのかは知らないが。スキルと言う点ではまったくかなわない。

 リズは俺の突きを横に払い、そのまま槍を回転させ、石付きで突いて来る。俺はそれを何とか交わすと槍を構え直し連続突きを放つ。リズはそれを最小の動きで交わしながら間合いを詰める。やばい――そう思った時にはリズは横薙ぎのモーションに入っていた。俺は突きを放ち終わったタイミングだ。案の定リズの攻撃を俺は横っ腹に喰らい、飛ばされる。なんとか痛みをこらえながら大勢を整える。


「クエスト様もすげぇけど、あのメイドの娘もすげぇな」


「俺らより強いんじゃねーか?まだ幼いのに」


 俺たちの打ち合いを見ていた兵士達がざわ…ざわ…というSEを出しながら雑談をしている。どう考えてもまた教官に怒鳴られるぞ。案の定怒鳴られてた。まぁついつい見てしまうのはわからんでもないけど。


「さすがにまだまだ槍術じゃこんなものか。さすがだなぁ、リズは」


「お師匠様にメイドの心得として戦闘技術も叩き込まれていますゆえ…元々の能力もありますが。手加減いたしますか?」


「いや、そのままで頼む。いい練習相手が出来て俺は嬉しいよ」


「ありがとうございます」


 以前の俺にはないスキルを伸ばすのは本当に楽しい。リズの動きはとても参考になる。このまま打ち合ってもらい吸収できるところは吸収しよう。正直、お祖父様のはなんというか野生じみているというか直感に頼った動きというのが入っていて微妙に参考にしづらかった。同世代の気軽に打ち合える相手というのもいいものだ。俺たちは休みなく、昼食前までついつい打ち合いを続けてしまった。



お読みいただきありがとうございます。

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