俗に言われる異例のタッグ
「なんで自分は吸わないたばこ、渥美が持ってる」
呼び捨てかよ。
ふとその時はじめて自分の名前を呼ばれた何とも言えない感覚に見舞われるや否や、結局はツッコミを優先する形で落ち着いた。
《ニコル?》
「…あぁ。こいつまだ寝ねーのかよさっさと寝かせるよう躾…」
「ねえなんで。なんで。なんでなんでなんで」
「うるせぇえええ!!」
ガタン、とリビングルームの机を蹴る音が受話器の向こうで響く。
「おいおい大丈夫?
乱暴しないでねお願いだから」
《してねえ。叫んだ拍子にスリッパが机に引っかかってだな…》
こめかみに(怒)マークを付けた渥美が、娘を叱るように蛇の目で睨むと、ニコルは頬を膨らませてソファに落ち着いた。
案外めんどくさいぞこいつ。
「とにかくこっちは大丈夫だ。夜中寝付いた頃に連絡してきたら厄介だから連絡するならメールかまた朝にしてくれ」
《いや、だからたばこを…》
「おやすみ」
いい夢見ろよ!一方的にそう叫び携帯の受話器ボタンを連打する。
全くなんだってんだどいつもこいつも。
ピリリリリリ
「人の話を聞け!!」
《本題を言いそびれてた。入院費用のことなんだけど…》
ああそれに関しては大丈夫俺が払うから
保険?知るかそんなもん
はいはいわかった
任せろ
じゃあな。
適当に受話器に向かって返答しようやく携帯から解放される。
もうしばらく見たくない。そういった意味合いで充電器に携帯をセットしその横に煙草を置くと、ニコルへ振り向く。
「おい。貸せ。ライター。あぶねえだろ。おもちゃじゃねーんだよ」
「なんで?」
「いやだから危ないからって…」
「なんで渥美はユースケにそこまでする




