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寡黙なニコルと人間失格  作者: 或田いち
弁護士とハーフ&ハーフ
51/65

病院の禁煙制度もいつかは改正してくれると喫煙者は願ってる


 

《もしもし俺ですけども》


その声を聞いて、渥美は自室の時計を見た。

時刻は夜の0:30を指しており、すなわちとっくに消灯時間は過ぎているはずだ。


「何やってんだ、てめえは」

《ヤニが足りなくて…寝れんのよ

 渥美にタバコ受けとるの忘れてたなって》


それ、今俺も思っていた。悲しきかな。

机上に置いた煙草の箱を取ると、ライターを持ったままのニコルが目を丸くしてこっちをガン見してくる。


《我慢しろ。つーかどっちみち病院じゃ吸えねーだろうが。喫煙所なんてあったか?》

「や、一人部屋だし。窓開けて吸えば、バレないかなーとか」


どうやら渥美の権力と金銭圧力によって得た個室を、人間失格はそれなりに満喫してくれているらしい。

とは言え、一人部屋とか関係なく病院内での携帯電話の使用も、本来なら厳禁のハズだが。とか渥美は脳裏で考える。


期待に沿って伊野はと言えば、自室の窓から身を乗り出して、夜空を見上げていた。


《堪えろよ3日くらい。この際禁煙したらどうだ、》

「無理無理。わかってんでしょーそんなの」



若干の沈黙あって、渥美は、ゆるりと口を開く。

煙草の箱を目下に、なんか言葉を選んでる自分に…



サブイボ。



「カレカノの会話じゃねんだよ」

《………はい?》


なにこの感じ。首を傾げる伊野、

不快感炸裂の渥美。その長身の脇腹に、何かがしがみついてきて、慣れない感覚にびくりと反応する。


「っぁあ!?」

《どったん。あ。ニコル?》


「なんで?」


ニコルは、ライターを持ったまま渥美にしがみつき、見上げていた。


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